【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(あんこーる)

ライトノベル・『ほうかご百物語』(峰守ひろかず著、電撃文庫) http://goo.gl/BI3Kh のシリーズに登場する妖怪の元ネタ・モチーフと思しき妖怪譚などについての呟きをまとめるリスト。 ※このまとめは覚書です。じっくり精査するのではなく、思い付いたネタやちょっとだけ調べた事項をまとめておくためのものです。 ※個人のメモですので、緩く見てください。 ※「作中との比較」の部分は、「この部分は文献を参考にするとこういうことであるに違いない!(断定)」ではなく、「もしかしたらこういうことなのではないだろうか?」という一つの可能性の「提案」を行うものである、ということを予めご了承ください。 続きを読む
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アルム=バンド @Bredtn_1et

さらに『ほうかご百物語』9巻・あんこーるから、黒坊主。

2012-07-16 16:53:06
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参考文献は[1]『図説 江戸東京怪異百物語』(湯本 豪一著、河出書房新社、2007)、[2]『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)。

2012-07-16 16:53:25
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黒坊主は文字通り黒い坊主の姿の妖怪で、大入道や海坊主などがこの名前で呼ばれることもある[2]。熊野地方(三重県~和歌山県にかけて)では、近付くにつれて大きくなり、最後には巨大な化け物になる妖怪の名前として知られる[2]。この場合は見上げ入道のような妖怪と考えられるか。

2012-07-16 16:53:32
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しかし、これらとは異なる特徴を持つ黒坊主も存在する。『郵便報知新聞錦絵』六六三号では、神田福田町の某大工の家に毎夜十二時頃になるとどこからともなく真っ黒な坊主が現れ、眠っている大工の女房の頬や口を舐め回した、という話が載せられている[1][2]。

2012-07-16 16:53:46
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しかもその跡には強烈な生臭さが残るため、女房はついに病気になって親類の家に泊まり込んでしまった。するとこの坊主は親類の家には現れなかったという。ところが、家に戻ると再び現れたという[1][2]。

2012-07-16 16:53:48
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…という、なんとも不埒な妖怪である。

2012-07-16 16:53:55

※作中との比較

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『ほうかご百物語』9巻やあんこーるではちらちらと名前が見受けられるが、いずれも会話に名前が出てくるだけで深く言及はされていない。

2012-07-16 16:54:07
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しかし、9巻の場合は話の流れから『郵便報知新聞錦絵』六六三号に出てくるものを指していることが分かるし、あんこーるも前後で山地乳が出てくるからなぁ…これも『郵便報知新聞錦絵』六六三号の黒坊主だったのではないだろうか。狙われた人は大変だっただろう。ということで以上。

2012-07-16 16:54:15

※ヤナについて

※文献を基にした概説メモ

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今日は8(や)7(な)なのでヤナの日と勝手に決定。ということで『ほうかご百物語』(あんこーる)より「ヤナ」。

2012-08-07 19:36:45
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参考文献は[1]『東洋文庫504 遊歴雑記初編2』(朝倉 治彦編訂、株式会社平凡社、1989)、[2]『東洋文庫137 増補 山島民譚集』(柳田 國男著、関 敬吾/大藤 時彦編、株式会社平凡社、1969)、[3]『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)。

2012-08-07 19:37:01
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ヤナは埼玉県川越市の川越城趾にまつわる怪異。『十方庵遊歴雑記』に拠れば、その昔に太田道灌が築いた川越城を取り囲む堀をヨナ川といった。この堀にはヨナという主(ヌシ)がいて敵を寄せ付けないために川の名前がある。その正体について土地の人に尋ねても、みなヨナを怖れて多くを語らない。

2012-08-07 19:40:00
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東南の方の芦が深く茂ったところに棲む、女である、といったことくらいしか分からない。ヨナを『十方庵遊歴雑記』の著者(釈敬順(十方庵敬順?))はおそらく大蛇の類だと推測している[1]。

2012-08-07 19:40:15
アルム=バンド @Bredtn_1et

これについては柳田國男も『山島民譚集』で「ヤナ」という名前で触れている。川越城の三芳野天神の下の外堀にヤナという主がいるとし、川越城が攻められ敵兵が搦手(からめで)の堀の端まで迫るとヤナは忽ち霧を吐き雲を起こし魔風を吹かせて四方を暗夜のようにしてしまう。

2012-08-07 19:40:57
アルム=バンド @Bredtn_1et

また、洪水を起こして敵兵の方向感覚を失わせたというような話もある[2][3]。太田道灌はヤナを城の防衛に利用したという。

2012-08-07 19:41:11
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ところで、太田道灌が川越城を築く際にヤナを利用したという話は、先の『十方庵遊歴雑記』くらいにしか記述がないという[3]。一方で太田道灌が川越城を築くに当たり龍神と問答をし、世禰(よね)姫という女性を人柱にして漸く川越城を完成させた、という伝説はあるようだ[3]。

2012-08-07 19:42:14
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『妖怪事典』はこの伝説に登場するヨネ姫の名とヤナとの関連性について考察している。『十方庵遊歴雑記』ではヨナという名前だったが、これはヤナとヨネの中間辺りにある気もする。これらを総合すると、ヤナとヨネ姫の間には何か関連があると考えられそうだ。

2012-08-07 19:42:25
アルム=バンド @Bredtn_1et

なお、ヤナが霧を吐いて雲を起こすという話は、川越城内の霧吹きの井戸のことらしい[3]。 ヤナという名前について、また川越城にまつわる水関連の伝説を収集・精査・整理すると面白そうだ。といった辺りで概説メモは終わり。

2012-08-07 19:43:12

※作中との比較

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続いて『ほうかご百物語』(あんこーる)との比較だが、話の中では某天狗が戦ったことがあると漏らしたのみで特に詳細はなく。

2012-08-07 19:43:53
アルム=バンド @Bredtn_1et

どうやったら防御特化で自らは動きそうにないヤナと戦うことになったのかという経緯や、ある意味要塞のような鉄壁防御のこの妖怪にどのような方法で勝ったのか、色々と聞いてみたいところではある。ということで以上。

2012-08-07 19:44:04
アルム=バンド @Bredtn_1et

あ、ヤナは経島先輩が一言解説していた。霧を操って闇夜を作り出すっていうのは伝承通り。巨大妖怪っていうのは大蛇という記述からか、あるいは城一つを雲霧の中に隠したというスケールの大きさに伴うイメージか。どちらでも理由としてはありだとは思う。

2012-08-07 20:42:28

※オハチスエについて

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