「ワルプルギス」考(結果から原因へ)
やはり昨夜に時間は固定してしまうべきか。条件は因果収束値、閾値を超えた状態でかつ占星術的に有意な事象が展開していること、それとレイライン周りの符合。これらを満たした場所と時間にある確率で出現する。発生したものの齎す現象は嵐、地震、火山噴火、疫病など多岐に亘る。
2012-05-01 08:04:27齎すと云うか、条理の埒外にある力への感受性の無いものにはそう観測される、と云うものだけれども。感知できるなら、目の辺りをぼんやり光る四角形で覆われた、太くても細くても大きくても小さくても無個性な貌を至る所に見出すことになる。
2012-05-01 08:12:23青に捧げる
今年も、来たか。入って来た女を見遣りながら、そう思う。ならば、こいつの出番だ。と、棚に並ぶ一本をカウンターに置く。スポットの光を吸って、その瓶は中身を蒼く輝かせている。
2012-05-14 03:19:53炎のような、と云うべきか。緋色を濃く凝らせたような、深い赤みを湛えた濃い色の髪。黒いリボンで無造作に結い上げ、流れ落ちるに任せるのは相変わらずだ。耳許に一点、蒼く輝く石も変わらない。
2012-05-14 03:46:41(あのセンセイの、教え子……か)彼女がここに顔を出すようになって、何年経つか。もう遅いから、今年は来ないかと思ったが……そんなことも無かったか。「——」その名は、余人にはおよそ聞き慣れないであろう。「実際、ボトルキープみたいなものですよ」と云えば、照れたような笑いで応える。
2012-05-14 04:07:40そんな銘柄をどこで知った、と訊いた覚えがある。「旅先でね。ラベルが気になってさ」と、やっぱり照れたような表情で答えたものだ。ラベル。よく聞く、チェーンの喫茶店のマークにも似たそれは……人魚、だと云う。ラベルに似合わず、女が生のまま口にするには些か強い、火のような酒だった。
2012-05-14 04:16:09耳朶を穿つ
とすると開けてたのは詢子さん辺りで、それでちょっと憧れてみたいなことを口にしたことがあるんだろうな……それを、杏子は憶えてた。そんな感じの背景かな
2012-05-22 02:53:09それでも詢子さん右の方が多そうではある つうこたさやの字もそうなんだろうなあとか、それを憶えててその後意味をなんかで知るのは開けてからかな 開けたいって云ってたのと対になる方に、やっぱり意味を知る方が後だな
2012-05-22 03:15:29でも、油断すると塞がっちまう。それがつまり、生きてるってことなんだけど。あたしがこの孔を穿けたのは、ホントに若い頃の話になる。あいつが、あの人のしてるのを見て憧れてたのはもっとずっと昔のことだ。なんでかそれをあたしは忘れられなくて、それで代わりにあたしが、とか思ったのかもな。
2012-05-22 03:51:11「外面用のアリバイでもいいですよ。……オレ、ねえさんのために何かしたいってだけっすから」「嬉しいこと云ってくれるじゃないの。心配すんなって、お前に助けてもらう程あたしは落ちぶれてないつもりさ」「でも……」「でもじゃねえ。気持ちも受け取らねえ、そんなのはもっといい相手に取っとけ」
2012-05-22 04:12:03少年はまだ、気付かない。気持ちだけでも、とすら云わせない拒絶が彼女なりの精一杯の優しさだったのだと云うことを。知るには些か、若過ぎたか。
2012-05-22 04:20:46たとえそれが裏切りでなくても・他小ネタ