タイムリープのように
「よかったね、知らなくて」
青の終楽章・それから
ソラに、蒼い流星。運河のような、線路を駆け上がるように吸い込まれてゆく——幽かな桜色の残光を漂わせて。見上げる人影には、その意味が痛いほどよくわかっていた。「思ったより、派手だったね」と、黒い影。「きっとね。迷いを振り切るのに、あれくらいの助走が必要だったのよ」白い影が返す。
2012-06-07 02:57:21会場には、入れない。私はこうして祈ることしか出来ない。さっき見たのは、大きな流れ星だったのだろうか。訳も分からぬ不安を抱いたまま、もう一度窓の外を見る。と、その時。駅のほうで、空に向かって光が伸びるのを見た……ような気がする。それは、蒼色……だったろうか。ひどく、懐かしくさえ……
2012-06-07 03:06:21それからのこと。気掛かりで、眠れないことがある。無論、彼女のことだ。あの大災害の、少し前か。わたしは彼女と、賭をした。いや、それが賭だと思っていたのは——私だけかも知れないが。そうして、私は勝った——のだろうか。ほんとうに? 確かめる、べきではないのか。
2012-06-08 01:30:11そう云う、気後れのようなわだかまりは——ずっとあったと思う。あの一件以来、彼女とは随分疎遠になってしまったような気もする。私からも、それは。家の用事と云うものもあることだし、安穏と過ごしていられる日々などもう数えられるほどではあったのだ。
2012-06-09 02:50:08などと、身内の恥を晒すようではあるが、過日さる令嬢と同席の折、それとはなしに尋ねたことがある。私の家はかの令嬢の御父君とは付き合いも長く、あの突然の御不幸のことも聞き及んでは居たのだが。
2012-06-09 02:55:21友人と、そうお呼びするには少々縁は遠いでしょうか。ひとつ歳下の、幼い頃からお付き合いのある家のご息女です。どうにも浮かぬお顔をしておいででしたので、ついなんの気なしに”視て”しまいました。——後悔、すべきなのでしょうか。まだ真実を告げる時ではない、そのように思いましたので。
2012-06-09 03:05:37「たしかに。その資質はキミに備わっている、それは事実だ、覆しようはない。だがキミは、理を歪めてまで願う何かはないのだと、そう云ったね。それは実に賢明な判断だよ。この契約の果てに待つのは、本来なら痕跡一つ、それすら残らない完全な消滅、無だ。強要はしない……残念ではあるけどね」
2012-06-11 03:09:07理の貌(かたち)
或いは「究極終焉態」とかそう云う。まあ観測者の主観により形象化されただけで、本来三次元空間上からは現象としてしか観測できないのだろうが。
2012-06-09 02:19:44