「創発」の概念について

「創発」の概念について、今後付け加えていくためにとりあえずまとめてみた。
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木下秀明 @khideaki

創発①創発も暗黙知と同様過程という動画的なイメージの概念だ。どのような過程かと言えば、上位と下位の階層として捉えられる二つの階層が移りゆく過程と考えられる。二つの階層は、それを静止画として捉えれば理解しやすい。しかしどのような過程を経て変化していっているかを考えると捉えられない。

2012-05-27 21:34:40
木下秀明 @khideaki

創発②人間の脳を細胞の階層として捉える下位の状態と、その機能として思考が行われる状態の上位の階層に分けると、両方の階層の元では様々な観察が出来る。ある思考をしているとき、どの細胞が動いているかさえ観察できるだろう。しかし細胞の運動が思考を生み出す過程は見ることができない。

2012-05-27 21:39:53
木下秀明 @khideaki

創発③どのような過程を経て脳細胞の運動が思考になっていくかを具体的に語ることは出来ないがその過程を「創発」と名付けることによって理論を構築することが出来るだろうか。抽象的対象を設定することでその対象の性質を定義することが出来その前提の元で論理的にどう振る舞うかを考えることが出来る

2012-05-27 21:43:53
木下秀明 @khideaki

創発④創発のイメージを連想するために、現実にはその存在が確認できないが、抽象的対象を設定して理論化することによって新しい知見が得られるというものを考えてみようと思う。その一つは数学における虚数というものだ。2乗して(-1)になる実数は存在しない。それをiとして表す。

2012-05-27 21:47:36
木下秀明 @khideaki

創発⑤虚数iは、現実には存在しないが、2乗すると(-1)になると言う性質を満足する抽象的対象として概念化される。このiを使って理論を構築するとすべての2次方程式に解を持たせることが出来る。そして解にiが登場するとその2次方程式で表される関係は現実には存在し得ないという解釈も出来る

2012-05-27 21:52:15
木下秀明 @khideaki

創発⑥虚数iは見ることができないが、理論展開において有効に利用できる。創発という概念においてもそのような面が見られるだろうか。思考の誕生というのは、創発の概念で新しい知見を見出すことが出来るだろうか。それとも、この過程を具体的に見出さない限り新しい知見は持てないだろうか。

2012-05-27 21:56:16
木下秀明 @khideaki

創発⑦安冨さんが語る「自己増殖オートマトン」におけるルールとパターンの階層をまたぐ現象の説明は「創発」の概念の有効性を考えることが出来るかもしれない。自己増殖オートマトンは想像することが難しいのだが無限の広さを持つオセロの盤面を想像する。オセロのルールは挟み込んだ駒の色を変える。

2012-05-27 22:06:00
木下秀明 @khideaki

創発⑧無限のオセロ盤は初期状態の違いによって白と黒の現れるパターンが違ってくる。しかし適当なものを選んでやると同じパターンを隣に作り出すようなものに出来るという。ルールの表す意味にはこのような自己増殖は入っていない。適当な初期状態を選ぶことにかかっている。ここに階層の違いがある

2012-05-27 22:13:00
木下秀明 @khideaki

創発⑨自己増殖オートマトンにおいては初期状況が決まればパターンも自動的に決まる。ここには、上位の階層を「生み出す」という創発の過程が見られないと安冨さんは語る。それは生み出されるのではなく、自動的に変化するだけなのだ。初期状態の決定は現実的には確率の問題になる。

2012-05-27 22:16:13
木下秀明 @khideaki

創発⑩自動的に変化するものは、たとえ階層をまたぐ変化であっても「創発」と呼んでいない。創発と呼べるのは、新たなものが生み出されるという「創造」に関わっているようにも感じる。この創発とそうでないものとを区別する概念の特徴が、その有効性に関係していないだろうか。

2012-05-27 22:20:59
木下秀明 @khideaki

創発⑪創発の特徴の一つとして安冨さんは失敗を語っている。自動的に変化するものは法則に従って変化するので失敗のしようがない。この特徴は創発の概念に深く関わっているのではないだろうか。創発の過程が具体的にすべて分かってしまったら、それは法則に従った変化と同じものになるのではないか。

2012-05-27 22:23:29
木下秀明 @khideaki

創発⑫創発の概念には、本質的にどうしても解明できない部分が残るのではないか。過程のすべてが解明できたら創発でなくなるのではないか。だからこそ創発と名付けて対象化するのではないか。虚数iのように。これは暗黙知にも通じる性質になるのではないか。階層の違いを知ることとのつながりは。

2012-05-27 22:28:23
木下秀明 @khideaki

創発⑬階層の違いを知ることが本当の意味で「知る」ことになるのではないか。目の前の現象を観察し、それを見たままに表現するのはまだ「知る」ことにならないのではないか。そこに階層の違いを見つけ、それがなぜ階層のちがいを生み出すかが分かったとき我々は「知る」を体験するのではないか。

2012-05-27 22:31:42
木下秀明 @khideaki

創発⑭抽象的な科学法則が成立する世界は例外が起こらないルールの世界になる。ここには創発はない。すべて初期状態を与えればその後の運動は決定してしまう。形式論理が支配する世界になる。だが、これが適用される現実は階層の違いが生まれ、法則の適用には「創発」という過程が見つかるのではないか

2012-05-27 22:38:29
木下秀明 @khideaki

創発⑮現実の世界は、抽象的な法則の世界がそのままでは実現しない。そこには法則適用の際の誤差が必ずあり、失敗の可能性が伴う。この誤差は確率的な現象になり、それは100%正確な予測をするのは不可能だ。観察も出来ない、確定不可能な過程が見られる。「決定論的カオス」と呼ばれるイメージかも

2012-05-27 22:44:03
木下秀明 @khideaki

創発⑯創発の概念は放射線被害を考えるのに利用できないだろうか。放射線被害は、ルール的には放射線が遺伝子のDNAを破壊するものとして理解できる。だがその破壊が身体機能の障害を生むという階層に行き着くかどうかは分からない。そしてその解明は不可能であるようにも見える。

2012-05-27 22:53:45
木下秀明 @khideaki

創発⑰放射線を浴びた現象と、その後何らかの障害が生じた現象との階層の違いは、具体的な過程を解明することが出来ない。しかし創発という概念がその橋渡しをすると考えられれば、放射線を浴びたことが原因で障害が発生したと解釈できないだろうか。具体性なしの因果関係が見出せないだろうか。

2012-05-27 23:00:24
木下秀明 @khideaki

創発⑱創発の概念は暗黙知の概念と隣り合わせにある。安冨さんは『複雑さを生きる』の中で「知識が生成するような階層の形成過程をさらに一般化し「創発」と呼んだ」と書いている。知識の生成には暗黙知が過程として必ず関わっているという指摘もある。この二つの暗黙の過程をどう理解するか。

2012-06-03 21:40:59
木下秀明 @khideaki

創発⑲暗黙知で考えた一筆書きの不可能性の問題において、実際の一筆書きの運動とそれに対応した点と線の分類は階層の違いがある。一筆書きは変化を伴った運動であり動画的に記述される。奇数点と偶数点は、それに集まる線を数えることで記述される、静止画的なものだ。両者は構造的な対応をしている。

2012-06-03 21:43:47
木下秀明 @khideaki

創発⑳両者の構造的対応を発見し、一筆書きの不可能性を奇数点が多数存在することに結びつけて理解することが新たな知であり、その知の発見に暗黙知が働いている。これを、暗黙知という個別的なものへ注目するのではなく、全体性の把握のために考えられたのが「創発」という概念だと言えるだろうか。

2012-06-03 21:47:19
木下秀明 @khideaki

創発21:創発には、何かを創り出すというイメージがある。一筆書きの場合は、奇点と偶点という新たな対象を生み出しているとも考えられる。暗黙知の場合は、何か分からないが「知」という対象が動いているのを感じるが、創発の場合は新しいものが生まれて来て、新しい階層へ転換するという感じがする

2012-06-03 21:51:46
木下秀明 @khideaki

創発22:一筆書きの判定を公式化すると、そこには暗黙知も創発も見えなくなる。判定方法は、点から出ている線を数えて、奇数本出ている奇点が2以下であれば一筆書きが出来ると判断できる。公式化して覚えてしまえば、そこには思考活動はいらない。線を数えるだけの機械的対応ですむ。

2012-06-03 21:54:04
木下秀明 @khideaki

創発23:一筆書きの判定が分からない状態から分かる状態へ移行することが階層から階層への移行でありそこに創発が見られる。そして分かるという現象の中に暗黙知が動く過程が見える。この暗黙知や創発の概念はこのように一般化することで何の役に立つのだろうか?それは真の知を偽物と区別するため…

2012-06-03 21:59:10
木下秀明 @khideaki

創発24:公式を暗記して判定したものも、構造を把握して判定したものも、一筆書きが出来るか出来ないかの結果においては変わりはない。結果を見ただけではそれが本物の知であるか偽物の知であるかは分からない。しかし偽物の知には暗黙知も働かず、創発も見られない。これがないとどうなるのか?

2012-06-03 22:01:41
木下秀明 @khideaki

創発25:暗黙知も創発も、知の獲得過程には必ず見られるものであるなら、それが見られないようなら新たな知が獲得できないのではないかと予想できる。その公式は既知のものにはすべて正しく適用できるが、未知のものに対しては適用を間違えると言うことが起こるのではないか。

2012-06-03 22:06:37