絶対リスクと相対リスクの意味の混同

「放射線被曝により、がんが増える」ということについて多くの人が言及しています。ところが、「どれくらい増えるか」ということに対する見積もり方法に関して世間に流れている情報は必ずしも全面的に正しくはないというのが現状です。特によく間違えられるものとして、がんで死ぬ確率が何パーセント増える、あるいは何倍増える、ということに関する解釈があります。典型的な誤りを自身のブログでしている@MAKIRIN1230さんとのやり取りを中心にどうすればリスクを正しく評価できるかについて考えてみましょう。
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まずは、自分でわざわざ誤ったブログをツイート

地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 しかし、相手をデタラメと批判するこのブログの内容、あなた自身とんでもないデタラメを書いていますよ。http://t.co/Pt8tHMMz 

2012-05-27 20:30:02
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

えーと、ですからhttps://t.co/nEd9pXsEにも書きましたが、@MAKIRIN1230さんは中川氏批判ブログで.. http://t.co/iQSAQ7Iy

2012-05-28 23:38:35
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

ご連絡ありがとうございます。「このようなことは絶対にやらないし」のこのようなことを具体的にご指摘していただけるとありがたいのですが。お手数おかけしますがよろしくお願いします。 @tonkyo_hanage

2012-05-29 00:01:00
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

http://t.co/asVTIgLx でのリスクの見積もりは、 放影研http://t.co/W0xzJLJE 「 放影研における原爆被爆者の調査で明らかになったこと」 http://t.co/fzNf08lG を参考にしているつもりですが。 @tonkyo_hanage

2012-05-29 00:36:05
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 さん、ご連絡ありがとうございます。承知しました。多分、これは別個に論じたほうがよいと思いますので、@でツイートしていきます。 http://t.co/2eA5x7gI

2012-05-29 23:05:04
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 まず、話を簡略化するためにLSS studyの結果に絞って話を薦めたいと思います。この際、その結果を簡潔にまとめた資料として、こういうものがありますhttp://t.co/gPY7dube (後ろはかけているのですが、掲載範囲で充分です)。

2012-05-29 23:15:12
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 一方、図4.2の寄与リスク(ここでの使われ方は臨床分野の用語で、疫学では寄与リスク割合)は、(D1-D2)/D2で定義されます。つまり、一定の観察期間に被曝群の過剰死亡者が被曝していない群の死亡者に比べてどれだけ増えているか、いうことを意味します。

2012-05-29 23:34:55
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 更に、絶対リスクの差(過剰絶対リスク)はD1-D2で定義されます。このとき、分母は観察している集団の人口初期値であることになります。「リスク上乗せ」とはこの数値のことで、「リスクが何倍に」というのは相対リスクの数値のことになります。

2012-05-29 23:40:11
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 ですので、http://t.co/Pt8tHMMz で「上乗せ」と書かれている数値を掛け算として使ってしまうのは正しくありません。ただ、では中川氏のように単純に足し算をするのが正しいか、というとそれも正しくありません。

2012-05-29 23:42:46
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 この先については明日ツイートします。

2012-05-29 23:56:10
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

放影研ではhttp://t.co/zh8IqxtG において、総固形がん死亡に対する放射線による過剰相対リスク(ERR)の線量反応関係を調べています。(図4) http://t.co/fzNf08lG はそれを簡単に説明したものです。 @tonkyo_hanage

2012-05-30 00:01:26
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

チーム中川のブログでは元々http://t.co/NS62oNSn を参考にして、慢性的な100mSvの被曝によって生涯の発がんリスク(後にがん死リスク訂正)が0.5%と増加するとしていたのですが、(続 @tonkyo_hanage

2012-05-30 00:12:44

MAKIRIN氏は自身のブログで
(引用はじめ)
>訂正後でも

「日本人の生涯累積がん死亡リスクは、2009年データに基づくと、男性26%、女性16%になりますから、男性の場合、100mSvの被ばくで、がんで死ぬ確率が、26%から26.5%に増加することになります。」

と実効線量100mSvでは0.5%の上乗せという計算をしています。
(引用終わり)
と中川氏のブログを引用し、これに対して
(引用はじめ)
これらの計算はteam nakagawaのブログでリスクの見積もりの参考資料としてリンクしている放影研の資料http://www.rerf.or.jp/rerfrad.pdf

に基づいて計算したのなら、どちらもデタラメです。

ここでのリスク上昇が0.05というのはリスクが0.5%上乗せされるのではなく、1.05倍になるという意味です
(引用終わり)
ここがまずおかしいですね。
この引用先には、
(引用はじめ)
100 ミリシーベルトでは約1.05 倍、10 ミリシーベルトでは約1.005 倍と予想されます。また、上記のようなデータを基礎として、放射線被曝によりその後の生涯においてがんで死亡するリスクを推定した結果では、30 歳で約100 ミリシーベルト被曝した場合、がんで死亡する生涯リスクは、放射線被曝がない場合の生涯リスク20%に対して、男女平均して21%になる(1%多くなる)と考えられます。なお、原爆は一瞬の被曝であったのに対して、環境汚染などにより被曝する
場合は長期間の慢性被曝です。慢性被曝の場合には、放射線の総量は同じでも急性被曝の場合より影響が少ない(1/2 あるいは1/1.5)とする考えがあります。この考えに従うならば、約100 ミリシーベルトの慢性被曝による生涯リスクの増加分は0.5%-0.7%ということになります。
(引用終わり)
と記載されています。つまり、ここには明確に相対リスクの増加(1.05倍)と絶対リスクの増加(1%多くなる)が記載されています。がん死リスクが20%であるという前提であれば両者は等価ですので記載として整合的、つまりそれぞれの定義に従い20*1.05=21もしくは20+1=21とするということはいずれも正しいことになります。
更に引用部分の最後にDDREFを考慮すれば、リスク増加を約半分と見積もることができるということが記載されています。そして、その限りでは上記リンクを引用して絶対リスク増加に基づき記載した中川氏の主張は正しい。
それを、「ここでのリスク上昇が0.05というのはリスクが0.5%上乗せされるのではなく、1.05倍になるという意味です」と書いているということは。明らかにピントがずれています。可能性としては、①提示したリンクの引用部分の最初の部分以外を全く読んでいない、あるいは理解していないということ(このリンクの引用部分か相対リスクと絶対リスク双方について言及されているのは明らかです)、②絶対リスクの増加を足し算ではなく掛け算でするものだと思い込んでいた、のいずれかだということになります。

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

訂正後も、http://t.co/NS62oNSn に基づいたその見積もり方をチーム中川は理解していないということをhttp://t.co/asVTIgLx のブログでは説明しただけです。 @tonkyo_hanage

2012-05-30 00:16:50
リンク renormalization 『中川恵一が率いるteam nakagawaによる安全デマ』 makirintaroのrenormalizationの記事、中川恵一が率いるteam nakagawaによる安全デマです。

そして、第一の論点ずらし。
私は一貫してリスクの数値が定まった後の計算方法の誤りについて言及しているのに、リスクの数値の導出方法について得々と語り始めました。

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

放影研で用いられる重み付けした結腸線量とICRPで用いられる実効線量は正確な意味は異なりますが、実効線量は防護量で実測できない量なので、それらの値は大体同じぐらいの値になると考えることで関係づけています。 @tonkyo_hanage

2012-05-30 00:23:55

次の間違えです。彼はそもそも使用する資料が2次資料(http://t.co/zh8IqxtG)更にそれを簡単にした3次資料(http://t.co/asVTIgLx)、しか参照とせず、普通なら当然あたるべき1次資料(英語の論文http://www.rerf.or.jp/library/rr_e/rr1104.pdf)に一切言及することなく(英語が読めないんでしょうか?)その研究がどのような方法で、どのような前提で行なわれているかをわかっていないという事がこの時点で判明しました。つまり、もしこれをきちんと読んで理解しているならば、私がこのツイートhttps://twitter.com/tonkyo_hanage/statuses/207475181579546624で引用したリンク(これは2次資料ですが)と1次資料が著者も重複しており、かつ同じ方法で行なわれている(2次資料で言及されているもと論文とここで示した1次論文が同じ方法で値が導かれているということが、1次資料の材料と方法の所に明記されています)ことをわかっているならば、このような返答はできません。、

MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

tonkyo_hanage さんは、http://t.co/asVTIgLxhttp://t.co/zh8IqxtG の図4(最新版)とhttp://t.co/NS62oNSn に基づく話であったという認識がなかったのではないでしょうか。 @tonkyo_hanage

2012-05-30 00:29:17
リンク renormalization 『中川恵一が率いるteam nakagawaによる安全デマ』 makirintaroのrenormalizationの記事、中川恵一が率いるteam nakagawaによる安全デマです。
MAKIRINTARO @MAKIRIN1230

よろしかったら、田崎さんの説明を参照ください。 http://t.co/lpTnca6s @tonkyo_hanage

2012-05-30 00:46:02
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 ご連絡どうもありがとうございます。これらのものは全て私のほうでも把握しておりますが、それらも間違っているのです。大事なのは、現在得られている過剰絶対・相対リスクとも約50年間のコホート研究(LSS study)の結果導かれた結果です。

2012-05-30 22:38:09
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

@MAKIRIN1230 で、これらの間違えの根本は生涯死亡リスクに過剰相対(あるいは絶対)リスクを上乗せしてしまっていることにあります。これは正しくありません。これでは単純にある集団の死因のうちがんが原因の死者の比率が増えたというだけのことになってしまいます。

2012-05-30 22:40:29
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