ミノタウロス関連のツイート

個人的なTLメモ
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@sorekara346

より「人外度」の高い兄をみてみよう。彼にとって言葉は母に無理やり着せられた「おもちゃの兵隊のような服」だった。そこに無理やりに押し込められることによって、人間へと教育される過程にあったが、それも戦争によって壊れてしまう。徹底して彼が話さないのはそういうことだ。

2010-07-12 16:41:16
@sorekara346

ヴァシリの言葉は本質的に外国語のテキストにあるような受け答えのパターンと変わりはしない。ただ、極めて高度なレベルでなされているというだけだ。それ故にヴァシリの語りは「揺らがない」。彼は、端から言語によって成立した「自己」を持たないからだ。

2010-07-12 16:45:01
@sorekara346

私たちは時折、言葉によって規定された「私」とのずれを感知し悩むこととなり、それがある種の「文学」を生みもするが、ヴァシリはそのようなことが無い。ヴァシリはどのような破壊や死を目にしても壊れることが無い。端から「人間」として成立していないから。ある意味、端から壊れているから。

2010-07-12 16:52:41
MATSUMOTO Yukako🐦️ @snowystreet

.@sorekara346 チフスと大陸、特に戦場での蔓延、虱駆除…は歴史の定番ですよね。で、ウルリヒがやたらきれい好きで、虱が嫌いで、風呂や水浴びなどを強制させる。最初たんに彼の性格を示すエピソードかと思ったけど、チフスが出てきて、ああそうかそのための繰り返し描写だったのかと

2010-07-12 22:54:08
MATSUMOTO Yukako🐦️ @snowystreet

私は逆にその時点から先の未来の飛行機なんだなと考えて(『月まで飛ぶロケットに似たそれは』『ウルリヒが口にした速度はぼくには想像もできないものだった』)、「真横からでは小魚のような曲線を描いていた」p.336 とあるので RT @zazie_k: ホルテンHo229

2010-07-12 23:03:44
MATSUMOTO Yukako🐦️ @snowystreet

.@zazie_k で、ヴァシリが「月まで飛ぶロケットに」p.336と言っているからには、ヴァシリは、そしておそらくウルリヒも、ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』やジュワフスキなど十九世紀から二十世紀初頭の科学小説を読んでたんだと思います。『月世界旅行』の映画も見てるかも

2010-07-12 23:21:33
@zazie_k

@snowystreet そうですね、ヴァシリがメリエスの『月世界旅行』を観ていたのでは、と@sorekara346さんとお話したことがあります。ウルリヒも科学小説や映画で「月まで飛ぶロケット」を知っていたなら、未来の飛行機を描くことになりますね!お返事ありがとうございます^^

2010-07-13 00:21:54
MATSUMOTO Yukako🐦️ @snowystreet

@zazie_k @sorekara346 ウルリヒならヴェルヌなどの科学小説を知らなくても彼自身の力で未来に出現する様な飛行機を描き得たと私は考えます。彼の叔父はたいそうな技術発明家であってそこに入り浸っていたのですから天性の素質素養は十分あったでしょうし

2010-07-13 00:45:43
@snowystreet

@zazie_k @sorekara346 k ですので、p.336は、ウルリヒという天才で技術者として大成していたかもしれぬ(この時代のドイツ人技術者の優遇、地位なども、背景になっている)若者がこのような状態に陥っている痛ましさや…

2010-07-13 00:53:38
MATSUMOTO Yukako🐦️ @snowystreet

@zazie_k @sorekara346 …そのウルリヒにたいして、ヴァシリのプチブル的知識人ぶり、そして未来を見せるような幻視的な美しさなど様々な含蓄のある非常に素晴らしいシーンだなあと私は思いました。

2010-07-13 00:55:00
@snowystreet

父の遺産で成人すれば受け継ぐはずの農園は強請まがいのカタになっていたり社会情勢もあいまって、「形」も(放火)、権利そのものも、そっくり失われてしまう。贅沢な品に囲まれてぬくぬく暮らしていたヴァシリは人を殺すに至り、直後、毛皮のコートを着たまま放浪する「運命」に陥る。突然の大転換。

2010-07-13 11:24:37
@snowystreet

佐藤亜紀『ミノタウロス』、セルバンテス、行列、カーニバル、バフチン、ドストエフスキー…だよな、やっぱり。というのは素直な読みにすぎるかしらん。

2010-07-14 12:32:44
@orionaveugle

作品と、時代背景とのギャップを考えに入れると楽しめると思います。『ヘルマンとドロテーア』の背景が仏革命だったように。RT @snowystreet 『ミノタウロス』の「のらくらの国」探求に勇躍出かけるでぇ!と思ったら美しいけど/ http://bit.ly/dkeVj8

2010-07-14 12:39:18
岡和田晃_Akira OKAWADA @orionaveugle

「のらくらの国」問題はここが参考になるかも。自分用メモ。http://www.nastassja-kinski.jp/filmo/mawarimichi/wilhelm.html

2010-07-14 12:43:50
@snowystreet

帝政ロシアの貴族だったトルストイは街道沿いにトルストイそっくりの子どもが200人いるといわれてた。とか米原さんのエッセイか週刊朝日百科「世界の文学」で読んだっけ。性欲…若かりしころ、農奴の娘が抵抗できないのをいいことに。『ミノタウロス』の兄などのエピソード、「地主の若様」が被る

2010-07-14 12:54:36
@snowystreet

『ミノタウロス』で地主連中の女漁り、手ごめ、というのは、少し前の時代であれば(19世紀であれば)それなりに許されていたしそれが可能だった。が、ヴァシリの20世紀ではもうそういう時代じゃなくなっていた…という読み。/農奴はもういない、とか、村の小屋に住む娘と若様の話p.340とか

2010-07-14 13:02:23
MATSUMOTO Yukako🐦️ @snowystreet

.@Ooh1024 佐藤亜紀『ミノタウロス』でヴァシリの七つ年上(p.22)の兄は19世紀のルール?でいけた(許された)人、1901年生まれと思われるヴァシリは頭の中味は19世紀なのに実行できるようになると時代は20世紀で間に合わなかった人。

2010-07-14 13:16:35
@sorekara346

ヴァシリをミノタウロスというのは間違い。正確には半分正解。ヴァシリはダイダロス。ダイダロスにしてミノタウロス。/佐藤亜紀『ミノタウロス』

2010-07-14 20:24:24
@sorekara346

円・円環・迷宮・・・『ミノタウロス』中にはヴァシリ達の逃避行しかり、「円を描いてぐるぐる回って」(P338)いた世界しかり、これこそがミノタウロスの迷宮(labyrinth)であろうと思わせるイメージが散見される。

2010-07-14 20:26:40
@sorekara346

しかしながら、最大の迷宮はこの『ミノタウロス』であり、それは「全ての小説作品は迷宮的である」といったような意味においてではない。作品の各所に見られる様々な照応。それは、同じように生えた苔であり、同じように崩れた壁であり、同じような曲がり角だ。

2010-07-14 20:28:09
@sorekara346

私たちは迷宮内部の探索行において、同じような場所を通る度「あれ?ここさっき通らなかったっけ?」という既視感に襲われる。様々な照応はまさに「それ」なのだ。そしてラスト、外の明かりが見えてきたかに思えた私たちを襲う唐突な幕切れ。

2010-07-14 20:29:46
@sorekara346

何故あのような結末が用意されているのか?あのラストは再び迷宮へと読者を誘うトラップだ。それにより私たち読者は、いくばくかの放心の後再読へと誘われる。

2010-07-14 20:31:26
@sorekara346

ヴァシリは、自分たちが最早彼が書物で読んだ様な「人間」ではないと知った。周りの誰よりも「人間の言葉」に精通する彼は、18~19世紀の「人間の言葉」でもって迷宮を造り、20世紀以降のミノタウロスたち(そこにはヴァシリ自身も、我々読者も含まれる)を封じ込めたのだ。

2010-07-14 20:33:29
@sorekara346

「いやしかし、私たち読者はテセウスでないのか?」という声に対しては、テセウスとはミノタウロスを倒し迷宮を突破した者のことであり、それは不可能に近く困難なことに思える。だが、ヴァシリはずっとそこで待っているのかもしれない。あなたの手にアリアドネの糸が握られていること願うばかりです。

2010-07-14 20:36:33
@sorekara346

ここは迷っているところだけれども、テセウスたる可能性があったのがウルリヒ。アリアドネの糸はウルリヒの描いた未来の飛行機。存在しない未来の飛行機が「糸」であることが指し示すものはご存知の通り。

2010-07-14 20:44:43
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