ハートネットTV「シリーズ貧困拡大社会 File.5 漂流する路上生活者」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

NHK・Eテレで6月18日に放送されたものを文字起こししています。 司会:山田賢治アナ ゲスト:倉田真由美(漫画家) 湯浅誠(反貧困ネットワーク・事務局長)
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とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 頼れる家族や知り合いはいないという三浦さん。所持金も底をつき、バッグに入った持ちものが全財産だといいます。所持品の中に最も大切にしているという1枚の紙。毎週、都内各地で開かれる炊き出しの予定。火曜の昼食は代々木、水曜の夕食は新宿。

2012-06-19 17:12:19
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<ナレーション> 曜日ごとに決まった場所で配給される食事をもらい、なんとか命をつないでいるというのです。三浦さんはどんな生活を送っているのか。同行取材をさせてもらうことにしました。夜9時、食事を終えた三浦さんは、ひたすら歩き続けていました。

2012-06-19 17:17:39
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<ナレーション> 路上生活を始めた当初は、他のホームレスと同じように公園で寝泊りをしていたという三浦さん。しかし夜の寒さや酔っ払いの騒ぎ声、さらにはホームレスどうしの縄張り争いもあり、夜路上で寝ることができなくなりました。

2012-06-19 17:21:23
とし @toshihiro36_sub

三浦:なかにはホームレスの人でも、置き引きとかをする人もいるんで。それ、1回遭ったことがあるんで。それで、寝れないですね、自分は。

2012-06-19 17:25:10
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<ナレーション> 夜11時、新宿から2時間歩いて池袋にやってきました。お金を使わずに過ごせる深夜営業の店が多いため、夜安心して過ごせるのだといいます。池袋について向かったのはレンタルビデオ店。明るい店内にいる方が落ちつけるといいます。

2012-06-19 17:30:24
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 店員に怪しまれないよう音楽やビデオの棚を見て回り、3時間いつづけました。レンタルビデオ店のあと向かったのはコンビニエンスストア。雑誌の立ち読みができる店を選んで時間をつぶします。深夜営業に店を渡り歩いては、疲れると警備員のいない場所を探して休憩する。

2012-06-19 17:37:12
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> そして毎晩、夜が明けるのを待つのだといいます。

2012-06-19 17:37:57
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三浦:もう、ほとんど開き直ってますね。つらいと思ったら、気持ち的にも沈むから…なるべくそうはしないようにしてるんです。

2012-06-19 17:42:48
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 夜が明けはじめた午前4時、地下街に通じるシャッターが開くと同時に三浦さんは中へ入りました。屋外よりも暖かい地下街で、商店がシャッターを開けるまでの数時間、仮眠をとるというのです。かつては建設会社で正社員として働き、順調な生活を送っていたという三浦さん。

2012-06-19 17:51:48
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 8年前、不況の影響で仕事を失ったのをきっかけに、生活が一変します。離婚した妻の実家を出ざるをえなくなったのです。その後、ホテル暮らしをしながら仕事を探しましたが、正社員として雇ってくれる会社はありませんでした。大きなネックとなったのが、住まいがないことでした。

2012-06-19 18:05:15
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 結局、見つかったのは建築関係の住み込みの仕事ばかり。工事が終わったり、寮での人間関係が悪くなったりすると、新たな住み込みの仕事を探しては、各地を転々とする日々が続きました。お金をためて家を借りようにも、うまくいきません。

2012-06-19 18:09:28
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> ある寮では1日の寮費が3000円かかり、月々9万円を支払わなければなりませんでした。毎月、手元に残るのは4万円ほど。食べていくのに精一杯でした。

2012-06-19 18:13:54
とし @toshihiro36_sub

三浦:アパートは借りようとは思いましたけど、やっぱり給料が少ないんで。まあ、そりゃ無理かなという感じで…

2012-06-19 18:15:47
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 住み込みの仕事を始めて6年目、三浦さんはNPO法人の代表を務める男性から、生活保護を申請しないかと声をかけられました。しかし受給が決まると、NPOの宿泊施設に押し込められました。

2012-06-19 18:22:19
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> そして8万円の保護費のうち7万円近くを、利用費と称して払わされる…いわゆる貧困ビジネスの被害に遭ったのです。結局、三浦さんは宿泊施設から逃げ出し、生活保護の受給も途絶えてしまいました。

2012-06-19 18:25:30
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> その後、ふたたび役所に生活保護の相談に行ったこともありましたが、対応は冷ややかだったといいます。

2012-06-19 18:25:53
とし @toshihiro36_sub

三浦:役所に行っても「仕事探せ」しか言われないから。自分あたりだと40歳だから、働けるという感じにしか見られていない。病気もしてないし。生活保護っていう自体、話が来ないっていうのも現実なんですよね。

2012-06-19 18:30:44
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 安定した仕事を見つけ、自立する以外に将来を切り開く術はない。三浦さんはこの春40歳を迎えたのを機に、職探しに専念することを決断。住み込みの仕事をやめ、路上生活をしながら就職活動をすることにしました。はじめは1カ月もすれば、定職につけると考えていました。

2012-06-19 19:59:16
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> しかし食事にありつくためには炊き出しのある場所を渡り歩かねばならず、それだけで1日の大半は過ぎてしまいます。時折、食事を抜いてハローワークにも通っています。しかしここでも、住まいがないことが大きな壁になっています。

2012-06-19 20:03:33
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 正社員の求人は書類選考の段階ではじかれ、派遣会社は住所がないため登録することすらできません。  5月中旬、三浦さんは住まいを失った人たちを支援する東京都の事務所を訪れました。

2012-06-19 20:10:51
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 炊き出しの時この事務所の担当者と出会い、住宅資金の貸し付けから仕事探しまでさまざまな支援を行う、都の事業があることを教えてもらったのです。三浦さんは、まず家を借りるための資金について相談しました。しかし、ここで問題が生じます。

2012-06-19 20:15:03
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 貸し付けを受けるためには、直近6か月以上都内で生活していることが条件になっていました。三浦さんは路上生活を始める4月までは、神奈川で住み込みの仕事をしていて、この条件を満たしていないというのです。結局、三浦さんは求人の紹介をしてもらうしかありませんでした。

2012-06-19 20:18:35
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> 三浦さんの希望は、できる限り長期間働ける仕事。興味を示したのは、住む込みで働く旅館の求人。3か月の試用期間で働きぶりが認められれば、契約社員として採用されます。これまで住み込みの仕事で、たびたび辛い目にあってきた三浦さん。

2012-06-19 20:25:44
とし @toshihiro36_sub

<ナレーション> じっくり考えてから、返事をすることになりました。  翌日、三浦さんは求人に応募することを決め、面接までこぎつけました。その結果を待つ間も、いつものように炊き出しを求めては街を歩き続けていました。

2012-06-19 20:30:32