かおるさとーさんの『氷菓』#9 解説

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かおるさとー @kaoru_sato

次に羽場さんは、推理重視の捉え方。彼はおそらくミステリオタクですが、どうも推理に傾倒して、お話のおもしろさは後回しにしているようです。でも古典ミステリはあまり読まないのかも。ホームズを馬鹿にしてましたけど、たぶんこの人、ホームズ読んだことほとんどないんじゃないかな……。

2012-06-23 22:33:43
かおるさとー @kaoru_sato

そして沢木口さんは、広義的な捉え方。「ミステリー=推理もの」というのは、ミステリーの狭い捉え方です。広義ではミステリーは「不思議な事件や出来事が起こる話」全般を指します。当然ホラーも含まれます。推理ものも含まれますが、一ジャンルに過ぎません。

2012-06-23 22:34:58
かおるさとー @kaoru_sato

沢木口さんの考え方は、奇抜に思えるかもしれませんが、私はすごく納得しました。というのはですね、以前私がある雑誌を読んだとき、「ミステリー&ホラー特集」という企画があったのですが、そこに掲載されていた小説に推理ものは一つもありませんでした。

2012-06-23 22:36:14
かおるさとー @kaoru_sato

かといってホラーばかりだったわけでもありません。ほのぼの空気の青春ものさえ、そこにはありました。ミステリーと謳ってはいましたが、イコール推理ものという認識がそこには一切なかったのです。その青春ものは、現代を舞台にしたちょっとファンタジックな内容でした。

2012-06-23 22:36:36
かおるさとー @kaoru_sato

ミステリー≠推理もの、という考え方はたしかにあるのです。謎どころか、不思議要素さえ含んでいればミステリーと捉える見方は、商業誌にさえあるという実例です。その観点からいけば、『十三日の金曜日』も『エルム街の悪夢』も広義のミステリーに入ると言えるかもしれません。

2012-06-23 22:37:27
かおるさとー @kaoru_sato

さて、次は古典部の4人に注目してみます。

2012-06-23 22:39:19
かおるさとー @kaoru_sato

まず奉太郎。今回の話には正直乗り気ではない彼ですが、請け負ったからにはそれなりに頭を働かせます。自分から手がかりを集めにいくような真似はしませんが、手短にオブザーバーの役割を果たしていきます。ただし、いいかげんなことは言いません。奉太郎なりにきちんと矛盾点を指摘していきます。

2012-06-23 22:39:45
かおるさとー @kaoru_sato

省エネ主義とはいっても、それは決していいかげんなものではなく、彼は心の奥に誠実な面を持っているのだと思います。引き受けた以上は(手短にではあるけれど)役目をまっとうします。そして、それゆえに3人の案をことごとく葬ってしまいました。どれか一つでも採用できればよかったんですけどね。

2012-06-23 22:40:10
かおるさとー @kaoru_sato

「この案でいいと思います」とか、てきとうなことを言わなかったあたりに誠実さを感じます。実は気に入ったという沢木口案にさえ、奉太郎は矛盾点を挙げてみせました。彼の人となりを知る上で、この誠実さは無視できないと思います。

2012-06-23 22:42:20
かおるさとー @kaoru_sato

そんな彼の推理小説歴は、それなりです。「文庫本をいくつか」とアニメでは言ってましたが、原作では「黄色い背表紙の文庫を幾つか」と言っています。黄色い背表紙の推理小説文庫といえば『創元推理文庫』ですね。ミステリといえば東京創元社です。

2012-06-23 22:43:06
かおるさとー @kaoru_sato

続いて里志。彼はデータベースを自認していますが、今回もその役割を果たしていましたね。メモ帳を用意して書記を務めたり、自作の見取り図を提供したり、うーん、便利。しかし彼には奉太郎のように矛盾を指摘することはできません。せいぜい話題や質問を振る程度です。

2012-06-23 22:44:02
かおるさとー @kaoru_sato

そういえば4人の推理小説歴を確認したのも里志でしたね。そんな彼はシャーロッキアンに憧れていると摩耶花が言います。シャーロッキアンとはシャーロック・ホームズの熱心なファンのことですが、ただの熱心なファンではありません。マニアやオタクの部類に入ります。ある意味フリークです。

2012-06-23 22:45:33
かおるさとー @kaoru_sato

ホームズについて、あるいはホームズの周りの人間や環境について、いろんな要素を研究し、考察するような人のことを言います。それに憧れていると里志はいうのです。ホームズそのものではなく、そのファンに憧れるというのがまた里志らしいですね。シャーロッキアンにはなれないと考えているのです。

2012-06-23 22:46:48
かおるさとー @kaoru_sato

これは8話のAパートで出てきた話とつながります。彼は自分に才能がなく、どの分野でも第一人者にはなれないと考えています。それはシャーロッキアンにおいてもそうなのです。マニア的嗜好においても、彼は自分が憧れ止まりであると思っています。

2012-06-23 22:47:38
かおるさとー @kaoru_sato

(……少しずつ、福部里志という人間が見えてきた気がしませんか?)

2012-06-23 22:48:15
かおるさとー @kaoru_sato

次に摩耶花。彼女は真面目な性格ですから、今回のミステリーに対しても、彼女なりにきちんと考えようとします。彼女は“普通”にクリスティ作品などを読むそうですから、ミステリにもそれなりに詳しいでしょう。「物理的トリック」「心理的トリック」という用語も出してましたし。

2012-06-23 22:49:03
かおるさとー @kaoru_sato

ただ、真面目なミステリ読みゆえに、3人の説はどれもお気に召さなかったようです。唯一、羽場案には一応の賛同を見せてましたが、心情的には否定したかったのでしょうね。「迂闊に賛成なんかするんじゃなかった」とがっくりきていました。

2012-06-23 22:49:58
かおるさとー @kaoru_sato

摩耶花は自分に厳しい性格なので、羽場さんのように驕りません。自分の意見が間違っていたらきちんと認めますし、羽場さんの態度が気に入らなくても、感情でその説を否定するようなことはしませんでした。素敵です。

2012-06-23 22:50:39
かおるさとー @kaoru_sato

最後に千反田さん。彼女はミステリーを読まないそうです。「わたしはあまりミステリーを楽しめないのかもしれない、と思うぐらいまでは」読んだそうですから、昔読んだことがあるのでしょう。部室でよく読書をしているにもかかわらず、一切読まないというのは意外ですね。

2012-06-23 22:51:28
かおるさとー @kaoru_sato

前回持ってきていたチョコレート。中身はウイスキーボンボンでした。新製品の試供品だそうですが、千反田さんはパクパク食べていきます。他の4人がむせていたのとは対照的ですね。沢木口さんが来るまでに、いつの間にか10個ほど食べてしまったようです。……10個?

2012-06-23 22:52:17
かおるさとー @kaoru_sato

できれば7個にしてほしかったです。

2012-06-23 22:52:41
かおるさとー @kaoru_sato

なぜ7個にこだわるかといいますと、これが前述の『毒入りチョコレート事件』のパロディネタだからです。『毒チョコ』では被害者が、毒入りのウイスキーボンボンを7個食べて死んでしまうので、原作ではお遊びとして千反田さんがチョコレートを7個食べて酔いつぶれる展開になっています。

2012-06-23 22:53:37
かおるさとー @kaoru_sato

しかし、他の古典部員3人が2個ずつ食べて(毒チョコでは2個食べた人はセーフでした)、中城さんと羽場さんが1個ずつ食べたと仮定すれば、千反田さんが7個食べた計算になるので、画面外でこっそり奉太郎たちが食べていた可能性も決して0では(ry

2012-06-23 22:55:16
かおるさとー @kaoru_sato

まあどうでもいいといえばどうでもいい部分ですけど。

2012-06-23 22:55:34
かおるさとー @kaoru_sato

酔っ払った千反田さんは、丁寧な口調はいつものままですが、それ以外がかなりおかしなことになってました。しかし、そんな状態でも気になることはあったみたいです。たとえば脚本、たとえば議事録、ホームズ、メモ書き……どうして気になったのでしょうね?

2012-06-23 22:55:58