山本七平botまとめ/「父と子の隠し合い体制」がもたらす科学否定の”神がかり”/~公害問題を科学的に処理できない理由とは~

山本七平著『「空気」の研究』/「水=通常性」の研究/141頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

25】だがこうなってしまうと、自由なる発想も探究もすべて情況に支配されて原則的には不可能となり、人間はあらゆる面で、情況に対応した一つの結論から脱却も前進もできなくなるはずである。

2012-06-23 12:21:33
山本七平bot @yamamoto7hei

26】一言でいえば、保守化せざるを得なくなる――もちろんそれを自由とか進歩と名付けるのは勝手だが。それでは公害解決の面でも、また他の面でも、まず「公害問題」が解決しない限り解決せず、その解決の方向も「問題の解決」の方向であって、公害の解決にはなり得なくなるはずである。

2012-06-23 12:58:27
山本七平bot @yamamoto7hei

27】そうなると、そして「それではいかん、本当に公害を解決せよ」となると、前に記したように「全工場をストップせよ」的な「人が死ねばガンがなくなる」的になるか、あらゆる「父と子隠し合い体制」を破壊しなければ、どうにもならないという発想が生れる。

2012-06-23 13:21:30
山本七平bot @yamamoto7hei

28】これらの発想に基づく破壊は部分的には行なわれたわけだが、破壊によって招来された自由は、否応なしに、その通常性に基づいて秩序立てられていくから、さらに、伝統的文化的規範の強いものになっていく。それは新左翼諸集団の鉄パイプ相互殲滅戦を見れば明らかであろう。

2012-06-23 13:58:38
山本七平bot @yamamoto7hei

29】そして各集団がこれを繰りかえして行けば、結局、「一君万民」的体制へと回帰していくわけである。そしてこれは、実をいうと明治以来、さまざまに表現を変えながら、まるで宿命のように絶えず繰りかえしている一つの現象なのである。

2012-06-23 14:21:09