双子でＤＱ風パロ～ロッカクカクの兄弟～

煌＠妄想専用【ベカ☆ひと300】 @kou_humo

「アンタたちも静寂の玉を探しに来たのかい？ムダムダ、こんな狭い洞窟にお宝なんかありゃしないよ」洞窟の入口にいた商人風の男が二人を見るやいなや言いました。「静寂の玉？」「魔法の力を封じるアイテムだったと思うけど」「そんなのいいよ、サエを探してさっさと帰ろう」 #テニプリＤＱパロ

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暗くてジメジメした洞窟が大嫌いなリョウは顔をしかめながら進みます。しかしすぐに商人の言葉を思い知りました。洞窟は少し進んだだけで行き止まりだったのです。「なにこれ、サエは…？」「おかしいな、何か不思議な気配はするんだけど…」 #テニプリＤＱパロ

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二人は辺りを見回しますが、時おり魔物が現れるだけで階段らしきものはありません。「どうする？帰ってあの嘘つきスライムぶっ飛ばす？」「まだ嘘とは限らないよ」「メラで火あぶりとギラで火あぶりどっちがいい？」「だからまだ嘘とは限らないし火あぶり一択だろそれ」 #テニプリＤＱパロ

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すっかり捜索に飽きたリョウを尻目に、アツシは注意深く辺りを見回します。そして妙な模様が入った床を見つけました。「これは…」「どした、アツシ」アツシが模様に手を触れた途端、ガタガタと大きな音が響きました。「！？」「アツシ！？」 #テニプリＤＱパロ

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アツシの立っていた辺りの床が突然沈み始めます。リョウは慌ててアツシの傍まで駆け寄りました。「なんだこれ！」「たぶん…魔力に反応するカラクリだ」「だからさっきのおっちゃんには見つけられなかったのか」二人が会話をしているうちに下の階層に着き、床は静かになりました。 #テニプリＤＱパロ

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二人は洞窟の奥に進みます。途中宝箱を見つけたリョウは大喜びでそれを開きました。中には薄汚れたランプひとつだけで肩を落としましたが、それは火を灯すとたちまち夜を呼ぶ闇のランプだとアツシに説明され、放り投げようとブンブン振り回していた腕を止めました。 #テニプリＤＱパロ

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二人はさらに同じような床の仕掛けを駆使して最下層にたどり着きました。綺麗な水の流れる場所で一人の青年が水を組んでいます。「サエ！」リョウが叫んで駆け寄ります。その声を聞いたサエキは驚いたように顔をあげ、二人に気づいて笑顔を浮かべました。 #テニプリＤＱパロ

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「リョウ！アツシ！」「サエ、やっぱりここにいたのか！」「怪我の具合は大丈夫なのかい？」サエキの体には痛々しい傷跡がありましたが、どれも塞がっている古傷のようでした。「ああ、今はもうなんともないよ」「よかった…」「二人はどうしてここへ？」 #テニプリＤＱパロ

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サエキの質問に、アツシが答えました。サエキが姿をくらませた後、自分達も敵討ちの為に村を出たこと。久しぶりに家に帰り、スライムからサエキの話を聞いたこと、そして同じ志を持つであろうサエキをむかえにやってきたこと。「そうだったのか…」サエキは頷きました。 #テニプリＤＱパロ

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「バルザックの凶行から師匠(せんせい)を護れなかったのは俺の責任だ。だから傷を癒し、バルザックの出方を窺っていた」「それはサエの責任じゃ…」「だとしても、二人にまでそんな思いを抱かせたことは師匠に対して申し訳ない。俺が黙っていなくなったりしなければ」「サエ…」 #テニプリＤＱパロ

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「今、止めたところで二人は決意を曲げたりしないだろう。俺も二人と一緒に行かせてくれ」「ああ、勿論だ！」「よろしく、サエ」サエキを仲間に加えた二人は早速地上に戻ろうと踵を返します。「待ってくれ！」それを止めたのはサエキでした。 #テニプリＤＱパロ

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「どうした？サエ」「この洞窟の先に、静寂の玉と言う魔法のアイテムがある。まずはそれを手に入れよう」「静寂の玉を？」「魔法を封じるアイテムだっけ？なんでさ、俺は早く出たいんだけど」「バルザックは…師匠と俺にどこかで身に付けた魔法で攻撃したんだ」「「！」」 #テニプリＤＱパロ

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「とても凄まじい魔法だった。俺と師匠も抵抗したけど奴に負わせた傷はたちまち回復されてしまって、なす術もなく…」「そう、だったのか…」「……」「だから静寂の玉はとても役に立つはずだ」サエキの言葉に二人は頷きました。さらに洞窟の探索を続けます。 #テニプリＤＱパロ

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サエキは錬金術師を目指していましたが、実は剣の達人でもありました。魔法使いである双子にとってはとても心強い存在で、洞窟探索もスムーズに進みます。「名付けるなら『剣の錬金術師』」「リョウ、独りドヤ顔でぼやいてないで先に進んでよ」 #テニプリＤＱパロ

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洞窟の一番奥には物々しい宝箱が鎮座していました。お宝大好きなリョウが小躍りで蓋を開きます。中には澄んだ色をした丸い小さな石が納められていました。「これが…静寂の玉…」「とても魔力に満ち満ちているよ」「…よし、洞窟を出よう！」 #テニプリＤＱパロ

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洞窟を出た三人は、まずはこの国のお城、キングルド城を目指します。というのも以前、リョウが「王様が代替わりして以来城の様子がおかしい」という噂を聞いていたのです。「王が変わったのは父さんが殺されたすぐ後だ。そして王座は王家の血筋ではない人間に譲られたらしい」 #テニプリＤＱパロ

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キングルド城にやってきた三人の前に頑丈な扉が立ちはだかります。魔法で施錠されているらしく、押しても引いてもびくともしません。「ダメだ、入れそうにない」「俺に任せて」「…サエ？」サエキが扉の前に立ちました。「師匠に教わったあの秘技なら…アバカム！」 #テニプリＤＱパロ

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サエキがそう叫ぶと同時に素早く切れ目に剣を振りかざし、勢いよく蹴りをかましました。すると扉がガッと変な音を立て、ゆっくりと開きます。「開いたよ！さすが師匠直伝のアバカムだ！」超いい笑顔です。「…あれ、力ずくって言わないか？」「父さん、一体何を教えてたんだよ…」 #テニプリＤＱパロ

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サエキのアバカム(自称)で扉は開きましたが、たいした成果を得ることは出来ませんでした。噂の王様は隠し部屋に籠っているらしく、唯一場所を知る大臣は口を割りません。解ったのは大臣がとても臆病なことと何かの研究のため城には若い女性が集められていることだけでした。 #テニプリＤＱパロ

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行き詰まった三人は新しい情報を得るために港町ババロアにやってきました。そこは大国ヒョウテールに渡る為の船が出る場所です。しかし乗船券を発行してくれる国王が厳しくなって以来、船はほとんど出ていないようでした。 #テニプリＤＱパロ

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「大国ヒョウテール…賑やかな街並み、憧れのカジノ…一度は行ってみたいな」リョウが海を眺めながら呟きます。「リョウがヒョウテールに行ったらカジノから出てこなくなるよ、お宝とお金に目がないんだから」「…うるさいな」「ははは」二人のやりとりにサエキが笑います。 #テニプリＤＱパロ

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「バルザックを討ったら、ヒョウテールに行ってみるのも悪くないかもしれないよ」「サエまで…」「いつか三人で行こうぜ！」「ああ」「そうだね…」三人は遠くにある大国に思いを馳せながら、改めて敵討ちの意思を強く固めるのでした。 #テニプリＤＱパロ

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ババロアでは有力な情報が手に入りました。かつて大臣の部屋の前で火薬を誤爆させた召使いが気の弱い大臣をパニックにさせた罪で牢に入れられたと嘆いていたのです。同じことをすればきっと驚いて王の元に逃げるはず。三人は火薬を求め鉱山の町エッリイトを目指します。 #テニプリＤＱパロ

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「ここが…エッリイト？」「ひどい…」「一体、何が…」エッリイトにやってきた三人は口々に言いながら顔をしかめました。鉱石の採掘で賑わっていたはずの街はすっかり寂れ、そして至るところに墓が並んでいました。「君たち！何をしてるんだ！」逞しい青年が駆け寄ります。 #テニプリＤＱパロ

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「すみません。僕たちは火薬を分けてもらいたくて…」「火薬？それなら坑道にたくさんあるけど…」「じゃあちょっと坑道にお邪魔していい？」「とんでもない！危険すぎるよ！！」リョウの言葉に、青年は大きく首を振りました。「危険？どういうことですか？」 #テニプリＤＱパロ