第3回MRSAフォーラム（2012年7月14日）まとめ

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】愛知医大におけるLZD長期投与症例の現状とそれらへの対応（山岸由佳先生．愛知医大）：愛知医大ではLZDを2週間以上投与されている症例に対してICTが便培を依頼して腸球菌，ブ菌が検出されればLZD薬剤感受性試験を行っているとのこと．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】（つづき）LZDが14日以上投与された175例中，実際に便培が実施されたのは15例13例（7.4%）．13例はすべて腸球菌・ブ菌は培養陰性．LZD耐性GPC検出スクリーニングは行うべきか？医療経済性の問題はあるがまだしばらく継続予定とのこと．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】バイオフィルム産生MRSAによるデバイス感染に対するマクロライド系薬併用除菌療法の基礎的検討（藤村茂先生．東北大）：バイオフィルム産生MRSAに対するCAM＋VCMの有効性をin vitro・in vivo両方で確認した注目すべき報告．優秀演題に選ばれている．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】（つづき）in vitroではVCM単独では除菌効果なし，CAM＋VCMでバイオフィルム除去と除菌が確認された（AZMでも同様の効果を確認している）．CAM＋LZDの併用ではバイオフィルム除去は認めたが除菌は不完全であった．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】（つづき）in vivoではマウスにバイオフィルム産生MRSAが付着したワッシャーを骨近傍に挿入して感染モデルを作成し，抗菌薬3日間投与後にワッシャーを取り出して走査電顕で観察．CAMおよびVCM単独投与では除菌効果は見られず，CAM＋VCMでは除菌確認

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】（私見）表皮ブ菌の検討だが，マクロライドはバイオフィルム産生抑制を示さない報告（AAC 2008;52:137-45/2009;53:3205-10）を見ていたためバイオフィルム産生GPCでは無効と思ってた．CAM＋VCM併用が有効なのは意外だった

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】黄ブ菌臨床分離株に対するLZDのMICの経年的変化（福岡大筑紫病院）：2007-2011年の黄ブ菌648株のLZDのMICを測定．耐性株は認められなかったが，MRSAにおいてはMIC上昇，すなわち感受性域でのMIC creepが認められた

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】CHDF施行中患者におけるLZDの薬物動態（井手岳先生．兵庫医大）：LZDは腎機能低下時でも用量調節は不要だが，CHDF施行患者では腎機能正常患者と比較してクリアランスが低下し，半減期が延長していたとする注目すべき報告．優秀演題に選ばれた．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】（つづき）海外と違い，比較的低流量である本邦におけるCHDFの条件ではLZDの除去は比較的小さく，血中濃度が予想以上に上昇していた；関西敗血症フォーラムでの発表を皮切りにいくつもの学会でこの報告を見かけた．それだけインパクトは大きい

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】VCMのtrough 15-20mcg/mLに対応した初期投与法の必要性について（浦上宗治先生，佐賀県立病院好生館）：VCMのhigh targetへの到達率調査．コンセンサスレビュー群，サンフォード群，Kullar群いずれも40%以下．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】（つづき）到達率はコンセンサスレビュー群36.1%，サンフォード群31.0%，Kullar群40.0%；達成できた患者のの共通因子を質問させていただいた．共通因子は解析では特になし（高齢が関係？）

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】TEICの新たな目標トラフ値の検討（植田貴史先生，兵庫医大）：TEIC使用症例334例の解析で，治療開始4日目の改善傾向を有意に高める因子は初回トラフ値≧15mcg/mL，低下因子はT-Bil>1.2mg/dL，抗癌化学療法，呼吸器感染．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】GPsの早期至適トラフ値到達が治療効果に及ぼす影響について（鈴木克典先生，産業医大）：140例の解析．VCM，TEICにおいて至適トラフ値に早期に到達すると臨床効果，細菌学的効果においてよりよい効果；TEICの治療成績の悪さはローディング不足から来てると思う

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】MRSA菌血症の臨床的検討（賀来敬仁先生，長崎大）：MRSA菌血症83例の後向き解析．30日以内の死亡の危険因子はWBC≦4000（OR 31.5），Alb≦2.5（14.7），SOFA≧15（38.6），30日以内のキノロン系使用歴（6.2）

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】黄ブ菌HCAPの診療実態と予後に影響を及ぼす因子の検討（川崎聡先生，新潟市社会事業協会信楽園病院）：HCAPにおいて黄ブ菌分離患者（MSSA48例，MRSA65例）で抗MRSA薬使用率は21.5%にとどまり，多くの症例では抗MRSA薬を含まない単剤治療で治癒

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】NHCAPにおける喀痰MRSA分離例の予後（橋本重樹先生，市立池田病院）：NHCAP患者において喀痰MRSA分離例は重症例が多く死亡率も高いが，肺炎で死亡するわけではなく，初期治療としての抗MRSA薬カバーは必ずしも必要でないと考えられた

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】NHCAPにおける抗MRSA薬投与の必要性に関する検討（丸毛聡，市立岸和田市民病院）：NHCAPで入院時喀痰MRSA検出例40例の解析．NHCAP患者入院時喀痰でHA-MRSAが検出された場合，抗MRSA薬投与が必要となる可能性は高くなると考えられた

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】MRSA感染症におけるPCT値の有用性（谷口巧先生，金沢大）：重篤なMRSA感染症においてPCT値はむしろ低値をとることが多く臨床経過とは相関しなかった；今年の日集医学会でも岐阜大学からの報告でもグラム陽性菌のPCT半定量陽性例は53%しかなかった

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】日本におけるCA-MRSA株の特徴とその臨床像（山口哲央先生，東京医大）：北関東8病院のMRSA株41株の解析でPVL遺伝子陽性例は11株あり，検出頻度は病院によって異なり，5割を越える病院も存在した．優秀演題に選ばれた．

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】DAPが奏功しなかった重症MRSA感染症の2症例（志馬伸朗先生，京府医）：心血管手術後MRSA感染症でVCM長期治療でも経過不良な症例にDAPを使用したが奏功しなかった2例．DAPのMICは治療開始前後で1→4，0.25→0.5といずれも上昇していた

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】トピックレクチャーは座長が東京医大微生物学講座 松本哲哉教授．トピック①「黄色ブドウ球菌の定着とバイオフィルム形成」慈恵医大細菌学講座 水之江義充教授．②「MRSAの病原性を抑制するpsm-mec」東大薬学系研究科・薬学部微生物医薬品化学教室 関水和久教授

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】健常者の10人に3人は鼻腔に黄ブ菌を保有する．一方，表皮ブ菌は全員が保有している．黄ブ菌を保有しない人が保有する表皮ブ菌はバイオフィルム破壊因子Espを産生しており，黄ブ菌のバイオフィルムを破壊し，定着を阻害していることが分かった．臨床応用が期待される

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【ﾌｫｰﾗﾑRev】Espに関する論文→Nature 2010;465:346-9／J Appl Microbiol 2011;111:1406-15．