uxとエスノグラフィーあるいはエスノメソドロジーの最近の関係について
@masaya21 はじめまして。都内で社会学を教えたりしております秋谷と申します。特にuxでのエスノグラフィー受容にずっと関心をもっているのですが、どうも日本の受容の仕方にいろいろ疑問があります。お手すきの時間にでも以下の点について教えていただければ幸いなのですが…
2010-07-08 20:21:00@masaya21 まず、エスノグラフィーという呼称にはこだわらないということですが、ではその手法はどのようなものなのでしょうか。どうも私にはuxの方々がエスノグラフィーということばを使う含意がいまひとつよくわからないのです
2010-07-08 20:22:27@masaya21 それと、uxのエスノグラフィー受容の歴史においては、サッチマンの『プランと状況的行為』がその源流であることは疑いないことだと思いますが、なぜ日本のuxの方々は「エスノグラフィー」を口にするとき、サッチマンの採用した手法に触れずに、構造主義的なエスノグラフィーの
2010-07-08 20:24:53@masaya21 の古典を引っ張ってくるのでしょうか。もちろんルーツは同じですから、それはそれで間違いではないのですが、サッチマンのインパクトは、エスノメソドロジーの視点でエスノグラフィーを行った点にあるわけですから、その違いに留意するのが普通のように思えるのですが、EMには
2010-07-08 20:26:13@masaya21 ほとんど目が向けられていないように思います。さらに言うと、サッチマンのプラン〜から、EMの視点でのワークプレイス研究がCHIやCSCWといった領域に盛んになったという経緯があります。で、それから企業も多くのエスノグラファーを雇うようになったわけですが、その発展
2010-07-08 20:28:40@masaya21 の歴史からもわかるとおり、その多くはエスノグラファーというよりは、EM的エスノグラファーでした。それからしばらく時を経て、近年日本に輸入されてきたという経緯があります。ならば、uxの方々が学ぶべき歴史はこの辺の領域で議論されてきたことであるとも言えるはずです
2010-07-08 20:31:09@n_akiya ありがとうございます! 大変面白い議論です。ただ、140字の制限が(笑) エスノメソドロジストの方とお見受けします。なぜ、エスノメソドロジの話がでないのか、そこにこそ、UXにエスノグラフィを、という主張の根本の一つがあるやに思います。うむ。140字は厳しい。
2010-07-08 20:32:14@masaya21 しかし、繰り返しになりますが、この歴史にはまったく目が向けられていない。たかだか20年程度の話なのに。私はこの「ねじれ」がどうも気になっています。箕浦先生のご著書は私も拝読しておりますが、uxとエスノグラフィーの歴史を踏まえれば、ミクローマクロという二分法を
2010-07-08 20:34:13@masaya21 を容易に受容している「マイクロ・エスノグラフィー」は、あまりそぐわないでしょう。また、EM的エスノグラフィーというものにちゃんと目を向けていれば、それを「方法論」などとは呼ばないはずです。この点からも、あまり目を向けてる人はいないんだなあと思う次第です
2010-07-08 20:35:49@n_akiya まず、実を言えば僕の博士研究の指導教員のうち、お一人は状況論で、エスノメソドロジを応用したHCI研究の第一人者の方です。「認知的道具のデザイン, 状況論的アプローチ」の加藤先生です。エスノメソドロジによるUIデザイン論はある上での最近のエスノグラフィの論議ですね
2010-07-08 20:38:26@masaya21 以上長文になってしまい申し訳ないのですが、あらためてご質問をさせていただくと、日本のuxはなぜその方面に目を向けていないんでしょうか?せっかく領域横断的な取り組みができそうなのに、もったいないです
2010-07-08 20:38:37@n_akiya 議論の整理ありがとうございます。正直言うと、同感ですがそうなってない。なぜか。と、その前に、UXでエスノグラフィがはやっている、というのはかなり(私も含めて)扇動的に言っていて、UXだけでなくビジネス全般の流行。まずそこは、議論の前提でよろしいでしょうか?
2010-07-08 20:42:58@n_akiya 繰り返しですが、エスノメソドロジはUIデザインなどにおいて、一定の成果を上げています。ただし、それは研究分野においてだと思われます。一方で、同じUIデザインにおいても、エスノグラフィックアプローチは、90年代からモバイルフォンなどの研究で取り入れられています。
2010-07-08 20:46:23@n_akiya これは、Paay 2008 in Handbook of Research on User Interface Design & Evaluation for Mobile Techonologyに詳しいです。
2010-07-08 20:47:49@masaya21 その前提は共有しています<UXでエスノグラフィがはやっている、というのはかなり(私も含めて)扇動的に言っていて、UXだけでなくビジネス全般の流行。まずそこは、議論の前提でよろしいでしょうか?
2010-07-08 20:48:42@n_akiya Hughes et al, 1992; Millen, 2000; Paay 2008らは、この分野でエスノグラフィと呼ぶのは、文化人類学での手法と同義でなく、決まった方法論や定義はない、と述べている。
2010-07-08 20:51:55@masaya21 補足ですが、Hughesらランカスター大のグループは、94年頃から自身の取り組みのことをethnomethodology oriennted ethnographyだった、と説明しなおしてますね
2010-07-08 20:53:39@n_akiya で結局のところ、何をやっているとかといえば、フィールドワークにより、現場のユーザを調べる、ということを、“エスノグラフィ”と呼んでいたわけですね。この用語は、むしろ誤用であったわけですが、何しろこの分野ではそういう風に呼ぶ土壌がありました。
2010-07-08 20:58:24@n_akiya あ、議論が長くなるので、結論からいうと。これは私の意見と断った上で、エスノグラフィ的アプローチが注目される理由は 1)アンケートやインタビューなどでは、ユーザが言語化できず表出されにくい、無意識的行為及び理想とそれらとのギャップの発見による潜在的ニーズの把握
2010-07-08 21:02:19@n_akiya これは、Squires, S. & Byrne, B., 2002の朝食時の母親の理想と行動のギャップみたいなことです。
2010-07-08 21:03:21@n_akiya もう一つが 2)デザイナー自身が、フィールドに参加することで体験を拡張させ、洞察を得、ビジネスやデザインのヒントを得ることの効果・効率を再発見したこにあると思いいます。
2010-07-08 21:04:28@n_akiya 従来、調査といえば、事業探索もニーズ探索も、調査担当者任せだったということが背景にあるのでしょう。
2010-07-08 21:06:05