ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/07/24
#twnovel 夏休みを計画的にすごそうと宿題の予定表を作っていたら、おとうさんがオレに言った。「夏休みの宿題は最後の3日間に大あわてでやるべきモノなんだ。その体験と記憶が人生には必要なんだ」 おかあさんが台所でため息をついたので、たぶんろくでもないことを言ったんだと思う。
2012-07-24 07:01:31「かんとりまあむもらったにゃ!二枚にゃあ!」コネコが踊っています。「コーヒーにうにうまだにゃ?」「はいはい」「ココアとバニラ、どっちにしようかにゃ」「どっちかくれるの?」「どっちから食べるか考えてるにゃ」「くれないの?」「…にゃ」コネコはけちんぼです。 #twnovel
2012-07-24 11:54:15ドラゴン鰻の生態は長らく謎だった。直接、鰻に話を聞ければ解決じゃん、と思いKは鰻語の研究に勤しんだ。十年の歳月を費やし鰻語翻訳機が完成。古老の鰻に話を聞く時がきた。Kは子供時代を尋ねたが、沼の主でもあった鰻は沼宇宙始まりを壮大なスケールで語り出すのだった。 #twnovel
2012-07-24 12:06:02#twnovel 18歳のとき、僕は僕を僕と呼ぶことにした。8歳まで僕は僕を僕と呼んでいたが、周囲の大人たちに「矯正」されて私になった。でも僕は僕だった。高校の卒業式の日、駅のトイレで脱いだセーラー服を、コインロッカーの中に入れておいた荷物と入れ替える。そうして僕は町を出た。
2012-07-24 19:33:17#twnovel 眠る眠れず、海の底にある死霊の酒場。「おらの人生は失敗だらけだ」「人生に失敗なんかないさ、生きてりゃ人生はつづく」「そりゃあ困った、あんたもおらも死んでいる」「まあ一杯やんな旦那、今日はいい酒が流れ着いた」「ありがてえ」海の底に縛られた自殺者達の酒場。
2012-07-24 21:00:52人の世は儚い、と呟いてため息をつく女神に、僕は苦笑した。神にしてみれば確かに儚いであろうが、僕らには十分起伏があり充実している。「そんなにつまらないですか?」問うと女神は僕の頭をそっと撫でた。「たった何十年かでお前が消えると思うと、愚痴りたくもなる」 #twnovel #妖草紙
2012-07-24 21:01:57センチメンタルラ族は夏が好き。汗が体を伝う感触も、小麦色に焼けていく肌の色も、夏のラあればこそ。ちりん。窓辺の風鈴が鳴る。センチメートルラ族からのお中元だ。いい文化があるものだ。心地よい音で夏のラを楽しめる。センチメンタルラ族は目を細める。ちりりんと風鈴が鳴る。#twnovel
2012-07-24 22:37:32静かな空気を切って走ると、境内の大きな欅の木に出会う。洞の中に手を入れれば、一枚だけの手紙が入っている。メールじゃなくて、癖のある文字が嬉しい。この神社で鬼ごっこしてた時、私たちに性別はなかった。朝のランニングの励みは、おはようの手紙を交換したいから。#twnovel
2012-07-24 23:32:08悪戯好きの小人がいる。どうやらそれは、私にしか見えないらしい。勝手にコンロをいじったり階段の上でじゃれついてきたりする困った子。危ないって分からないみたい。大事な友人だから、危険な目に合わせたくないのに。ほら、目を離すとすぐだ。「こら、油なんていじっちゃダメよ」 #twnovel
2012-07-24 23:59:05