ついったSS

クロノ @c_hrono

「先輩！椎名先輩っ…！」血相を変えて走ってくる後輩に、思わず動揺する。「どうした」「大変…なんです…俺の…コロッケパンが……………売り切れてたんです」「…」おい。「お前らくだらねぇコトして遊んでんじゃねぇ！」爆笑しながら走り去る背中を、本気のダッシュで追いかけた。 @yauzzz

クロノ @c_hrono

「あっコラ逃げんな」逃走失敗。首根っこを掴まえられた。「は、離して」「逃げないって約束するならな」顔が見れなくて俯く。「忘れてって…言った」先日の告白は、無かったことにしたはずだったのに。「普通返事も聞かずに逃げるか、バカ」チラ見した顔は少しだけ、赤い気がした。 @non118z

クロノ @c_hrono

「カズさん！好みのタイプなんですか！」「なしてそぎゃんことば聞く」「それは痛ってぇ！」どこからか昭栄の頭に小石が飛んでくる。「まあ、強い女は嫌いやなか」「聞いたか！強い女やって！」昭栄が水道の影に向かって大声で呼びかけると、聴き慣れた「バカ！」が返ってきた。 @kotomaria

クロノ @c_hrono

「魔界のひとも、年を取るのよね」「そりゃ、当然だろ？」温かい腕の中で呟くと、予想外に返事がきた。「起きてたの」「こんなに幸せな時間を寝て過ごすなんて勿体ないだろ」作り物の様に美しい顔。優しいアーチを描く目尻を指でなぞった。「ハッピーバースディ、ゆうこ？」 @yuko_shina

クロノ @c_hrono

「…なにしに来たの」「なんだよその言い方」車のドアを閉めて彼が近づく。「ほんとにバカだね」「離してよ！」振りほどこうと腕を上げる。「離さないよ」「…」掴まれた手首が、冗談みたいに熱い。「…バカだよ」突然の優しい声に、顔を上げる。「誕生日おめでと、ゆうこ」 @yuko_shina

クロノ @c_hrono

「あと少しで、卒業ですね」「ん？ああ、でもまだ3ヶ月はあるぞ」冷たい風が、膝を撫でる。「卒業したらもう、こんな風に制服で一緒に…帰れないんですよね」白い息と一緒に、声の最後が揺れて消えた。「…そんな顔するな、頼むから」大きな手が、私の頭を優しく撫でた。 @tanikawamari

クロノ @c_hrono

「藤代くんの好きな子って誰！？」「あいつの好きなやつって誰だと思う！？」…。「知らない間に付き合ってたらどうしよう！」同じ台詞を時間差で一日二回も聞いた。もしかしてこの二人、ずっとこのままなんじゃないだろうか。思わず漏れたため息を、ノートの間に挟んで閉じた。 @lostazure

クロノ @c_hrono

「姉ちゃんはお兄と結婚しないの？」「…ああ、そろそろな」あまりに軽々交わされる会話にお茶を吹きそうになる。「飯食わすのが3人も4人も変わらねぇし」「…そういう言い方、しなくてよくない」ニヤリと笑う顔に目がけてクッションを投げつけると、笑い声が三つ、踊った。 @Hibiki0510

クロノ @c_hrono

「好きじゃ」言われた言葉に、感じたそのままを顔に出す。「なんじゃその顔は」「いや、普通に信じれるわけないし」心外だとでも言いたげな目で私を見る。「アンタに騙されるくらいなら、オレオレ詐欺の方がマシ」彼は心底楽しそうに、そういう所じゃ、と呟いた。 @yuzuhi_seno

クロノ @c_hrono

「ありえない。1ヶ月放置とか」電話の向こうで、代わりに怒っている友人に苦笑する。「不安になったりしないの？」「ならないわけじゃないけど、」出かけた言葉を止め、部屋の窓を開けて身を乗り出す。「充分なの。だって」私の為に走ってくれるだけで、こんなに嬉しいから。 @Hibiki0510

クロノ @c_hrono

「もーすぐクリスマスか…」「どーせみんな暇だろ？翼んちに集まろうぜ」「なに勝手に決めてんだよ」「たこパしようやたこパ！」「ナオキが張り切りすぎてウザい」「ケンタ食おうぜケンタ！」「何時に集まる？」「適当」「小林何時に行くー？」「あ、俺彼女と出かけるから」「！？」 @yauzzz

クロノ @c_hrono

「ねぇ」「んー」生返事を寄越しながら、カタカタとキーボードを打つ。目は画面から動かない。「ねぇってば」「んー」「…」「うぉわっ！」無防備な首根っこをひっ掴んで、そのまま引き倒す。「…わかったよ、構えばいいんだろ」マウスをいじる私の腰を、大きい手が引き寄せた。 @lostazure

クロノ @c_hrono

「ねえ、これかけて！」手に取ったサングラスを、呆れた顔でかけてくれる。かけた姿を見て爆笑。「似合いすぎるやばい！」「そーかよ」ひたすら笑い続ける私の頬を片手で掴んだ。やめて、それするとヒヨコみたいな口になる。「楽しそうでなによりだ」楽しそうでなによりです。 @yauzzz

クロノ @c_hrono

「うわ、顔やばっ」震える足で教室に戻ってきた私を、親友の容赦ない一言が突き刺さる。「す…ストレートすぎて…逃げてきちゃった…」「筧…アメリカ帰りだもんね」憧れのクラスメイトからの突然の告白と、触れた感触が蘇る。沸騰する頬と口元を手で覆って、へたりこんだ。 @Hibiki0510

クロノ @c_hrono

鼻先で首筋に触れる。たまらなく落ち着く、たまらなく動かされる彼女の匂い。「…あったかい」独り言のように呟くと、背中に回した腕でぐっと引き寄せられる。「守ってもらえるのって、ほっとするね」得意分野だからな、と笑って、小さく漏れた吐息ごと飲み込み、手を握った。 @aoi_k0729

クロノ @c_hrono

「それでね陸、」ふと気がつくと、いつの間にか相づちが寝息に変わっていた。こうしてゆっくり会えたのは本当に久しぶりだったから、嬉しくて、ついはしゃいでしまった。「…疲れてるもんね」毛布を引っ張って、自分ごと包んだ。肩にかかる頭の重みが愛しくて、嬉しい。 @Hibiki0510

クロノ @c_hrono

学校帰り、コンビニの前で食べる肉まんは格別だ。それが奢りなら尚更。「なにニヤニヤしてんだよ」「うへへ」わしゃわしゃにした私の前髪を、自分で直してくれる。そういうところが好き。「まさき、ありがと」素直なことを言うと、いつも目を逸らす。「…バカ」「うへへ」 @yauzzz

クロノ @c_hrono

「小林いる？」昼休み、部活の先輩が廊下から教室を覗きこんできた。途端に女子の黄色い声が上がる。アイドル顔負けの容姿を持ったその人は、文字通り学校のアイドルだ。ただし性格はそんな可愛いものじゃない。「オイ、なにボーっとしてんだよ。目開けて昼寝でもしてんのか」ほらね。 @yauzzz

クロノ @c_hrono

頭で考えるより先に動いたのは、中二のときが初めてだったと言っていた。「なぜだ」「え？」神妙な顔をして、彼は私を見つめる。「お前といると、あの時と似た感覚になる」「何時でも、何処でも、お前に触りたくなる」真面目な顔をして言うものだから、思わず笑ってしまった。 @lostazure

クロノ @c_hrono

「あっはっはっはー！」「笑いすぎやアホ」「ひっ…ひーっははは！た…誕生日前日に振られるとか！」「楽しそうやな自分」「はーおなかいたい」「…ちょっとは慰めろや」「ハイハイ誕生日に従兄弟の彼女に電話してくるイケメン侑士くんきっとすぐ彼女できるよ」「余計傷ついたわ」 #忍足おめでとう

クロノ @c_hrono

「…えーっと、誰宛？誠二？それとも三上先輩？」いつもことだと軽い気持ちで手紙を受け取る。彼女はぽかんと口を開けた。「っそのまま！です！」真っ赤な顔で絞り出すように言うと、逃げるように走って行く。3秒後、宛名に書かれた自分の名前を見て、一気に顔に熱が走った。 @totoko88

クロノ @c_hrono

「背伸びなきゃよかったのに」それまで機嫌の良かった顔が一気に変わる。「…オイ今なんて言った？」「ごめん、つい」口に出す気は無かったけど本音だ。もし背があのままなら、中学からの友達だからってこんな手紙を頼まれたりするのも、もっと少なかったかもしれないのに。 @yuko_shina

クロノ @c_hrono

なぁ、知らないだろ。「ただいまー…あれ、来てたのー？」くにゃりとした声。「ちょっと飲み過ぎちゃっ…」ブーツを脱いでいた手を掴んで、壁に押しつけると、酒で少し潤んだ目で俺を見る。「結、人…？」知らないだろ、今日俺ずっと、お前の部屋で、お前のこと考えてたんだよ。 @achuuuu8

クロノ @c_hrono

「黒川ー」「あ？」「今暇？暇ならさ、ちょっと体育倉庫の裏とか行ってみない？」「は？なんでだよ」「今行くと世にも珍しいカブトムシが見れるかもよ」「…はぁ？」「超可愛い猫もいるかもよ」「……お前な、そういうのは普通に言え」「だってお前がモテてんのムカつくんだもん」 @yauzzz

クロノ @c_hrono

「椎名先輩」「ん？」「この前昼休みに告白されてましたよね」「…見てたのかよ」「なんて返事したんですか」「そんなこと聞いてどうすんだよ」「…あの子、俺が好きな子なんです」「…！」「嘘です」「！？」「びっくりしました？」「お前…後で覚えてろ」 @yauzzz