ニコニコ生放送「図書館の今後を考える」(2012/7/23)の文字起こし その2 【武雄市図書館問題】

 このまとめは、2012年7月23日(月)の14時30分からニコニコ生放送で配信された「図書館の今後を考える」の、(00:43:00)から(01:08:20)頃までを文字起こししたものです。 http://live.nicovideo.jp/gate/lv100876286  菊池尚人・慶應大学特任准教授が指定管理者制度について概説し、根本祐二・東洋大学教授は、高コスト体質の公共図書館は民間運営への移行を積極的に検討すべきと説きます。  この後、番組は中村伊知哉・慶應大学教授のプレゼンへと続きます。 続きを読む
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 武雄市図書館問題は、プライバシー、個人情報保護法制、指定管理者制度、地方自治、図書館司書の労働問題、CCC(TSUTAYA)とライフログなど様々な領域の問題が複合していて、極めて複雑です。
 概略を把握するには、以下のまとめに目を通すことをお薦めします。

まとめ 武雄新図書館構想 問題点のまとめのまとめ 問題点のまとめをまとめました。 13754 pv 31 9 users 1

 
 この問題を取り巻く状況は、7月25日にCCC事業計画書の内容が一般に明らかになるなど、随時変動しています。
 最新の動向は twitterの#takeolibraryハッシュタグのチェックをお薦めします。


主な発言者

  • 菊池尚人  慶應大学特任准教授、武雄市市政アドバイザー
  • 根本祐二  東洋大学教授
  • 樋渡啓祐  佐賀県武雄市市長

【司会】

  • 松原聡   東洋大学教授、武雄市図書館デジタル化推進協議会会長

菊池尚人氏による指定管理者制度の概説

(00:43:00)
【松原聡・東洋大学教授(以下松原聡)】ここからちょっと具体的な議論に入っていきたいんですが、今、武雄市が条例を変えて図書館を民間委託できるようにしましたけれども、その制度は指定管理者制度っていうんですね。そのあたりのところを、ちょっと菊池さんに説明いただこうと思います。

【菊池尚人・慶應大学特任准教授(以下菊池)】ニコ生の皆さん、たぶん画面がそれほどよく見えていないと思うんですけれども、指定管理者制度っていうのはですね、これまでいわゆる第三セクターとか地方自治体の関連するような会社や団体にしか業務を委託できなかったところが、NPOとか株式会社にも委託できるようにしますという制度でして、平成15年6月に法律が改正されて9月に施行、今年で10年目を迎えた制度です。地方自治法を改正しまして、この目的としては民間事業者などが有するノウハウを活用することによって住民サービスの向上を図ると。これで施設の設置の目的を効果的に達成する。施設を設置するのは、作るのはあくまで公、自治体でして、それを運営するのが株式会社やNPOといった具合です。で、どんなものが実際にあるかといいますと、例えば野球場とかテニスコートとか、プールとか、スキー場、レクリエーション・スポーツ施設ですね、これが非常に多いんですが、それから展示場、大規模な公園とか駐車場、下水道の処理場なども指定管理されています。それからここで問題になっています図書館ですとか、美術館、博物館も多くの例がありますし、病院とか保育所、障害者自立支援センターなどもあるといった格好です。

(00:45:25)
【菊池】で、指定管理者制度っていうのは契約じゃないんですね。行政処分、許可とか認可とかと同じで、これを条例で定めて議会の議決が必要というところが、これまでの管理委託制度といわれるものと違いまして。で、一体全体、今、指定管理者制度全体で公募がどれくらい行われているかといいますと、40パーセントくらい、4割くらい。で、文化施設、博物館とか美術館に限りますと23パーセントが公募されていて、私がですね、これは良くないだろうと思うのが、これまで財団法人とか、第三セクター、地方公共団体の外郭団体にやらせていたのをですね、そのまま公募せずに行っているということがありますけれども、これはあんまり芳しくないんじゃないかなあと、あとで根本先生に訊いてみたいと思っています。で、一体全体、図書館の指定管理者がどうなっているかといいますと、特別区を除く市町村の数ですと136、今朝の日経の数と違っているのは特別区が入っていません。今の市町村というのは1,719、昔3,000くらいあったんですけれども平成の大合併でだいぶ減りましたけれども、8パーセントくらいが導入しています。で、導入していない自治体はなぜ導入しないかというアンケートを取ったところですね。えーと、これは総務省さんが取られたやつですね。首長部局、まあ市長とか町長とか村長とか、それから教育委員会が導入しませんといった判断をするといったことで、まあ高度な政策的な判断によって導入するかしないかが決まっているといったところです。で、株式会社の指定は、これは驚いたんです、けっこう拡がっていまして、市町村ですと半分、半数ですね、それから特別区、この136に含まれていない特別区(23区)ですと、もはや90パーセントが株式会社を指定管理者として図書館に参入しているといった格好です。それからですね、大田区なんかですと分館がたくさんあるんですけれども、分館ごとにいろんな業者を入れていたり、北九州市なんかは本館は直営でやって、分館は複数の会社を入れているといったかたちです。あと、自主事業を有料で行っている、これはあとで樋渡さんに訊こうと思っているんですけれども、カフェとかそうなるんですかね。それから選書はですね、本を選ぶのは、多くは自治体が指定管理者を入れても行っているというのが多数です。で、司書は自治体が雇用を続ける場合と、指定管理者が雇用する場合、この場合は従前の司書を再雇用するようなものもあるとのことです。

(00:48:40)
【菊池】まあ、この辺まで解説なんですけれども、で、この後ですね、事業開始に当たっては、協定による体制というものを、協定をつくって、ここで体制とか、たぶんここらへん大切だと思うんですけど、リスク分担をどう決めるかというのは、重要だろうと思っています。で、これまでもですね、いろんな議論がされてきたと思うんですけれども、ルールとかシステムは重要です。ただ、それ以上に、じゃあどんなオペレーションするんだというところと、あの、モニタリングですね、1年たってどうする、2年たってどうする、3年たってどうするといったことを逐次モニタリングしていく必要はあるでしょうということと、さっき樋渡さんが5年の指定管理、まあ15年という風なスパンを考えたとしても、結局ですね、これが継続するのか、内容を一部変更して続けるのか、管理者が交代することだって可能性としてはないわけじゃないですし、直営に戻す可能性だってないわけじゃないですので、その辺を踏まえたシステム設計というのが必要だろうと思っています。それから、ただしですね、これはなるほどと思って、文部科学省の調査に書いてあったんですが、適切なインセンティブを付与しないと事業者誰も寄ってきませんと。せっかく指定管理制度を使って民間のノウハウを活用すると言っているので、自主提案などですね、創意工夫のある提案を引き出すための措置というのは用意しなければいけないんだろうと思います。で、最後になりますけれども、まあいろんな議論があるかもしれませんけど、結局最後は利用者利便の向上ということに尽きると思います。一般的な方々、児童生徒、高齢者、障害者といった利用者利便、住民の利用者の方々に満足いただけるかどうかというところがポイントであって、まあこれができない限り、緻密な議論を重ねたところで、単なる神学論争だなという風に思っています。

(00:50:32)
【松原聡】指定管理者制度というのを、条例を変えて指定していってということで、相手をCCCに決めていったわけですが、そのうえでということで、菊池さんからいくつか指摘がありましたので、ニコ生の方の前に、菊池さんのコメントにちょっとお答えいただきたいんですが、オペレーションが大事だよねと、そのときのモニタリングとか、一括して任せてさあそれでおしまいというわけにはいきませんよね、とこういうような指摘がありました。それからもうひとつは、5年過ぎた後・・・めでたく再選していたらっていう〔笑〕、これはまあどうかわかりませんが、5年でさあおしまいというわけにはいかないわけで、その継続性についてどう考えていくのかとか、それから今はたぶん非常に話題になっていたり、あるいは樋渡さんとCCCとの関係の中で、CCCが比較的安いお金で手を挙げてくれたかもしれないけれども、そのことを含めた、次がちゃんと出てこれるのかな、みたいな。この3つですね、モニタリング、オペレーションについてと・・・このあたり、いかがでしょうか?

【樋渡啓祐・武雄市市長(以下樋渡)】えと、これね、行政がやると凄くいいのはね、モニタリングは機会があるんですよ。毎年、予算で、ほら、決算の特別委員会があったりとか。あとはもうこれだけ衆目にさらされていると、毎回一般質問が来ますよ。それからあとね、うちは図書館の運営協議会というのがあって、そこでこれはすごい関心をもたれています。あとはメディアですよ。そりゃあもう今でもこんなにさらされているわけですから。大丈夫ですよ。

【樋渡】それから、継続性で5年というのはね、これは意外だったんですが、議会でもっと長くしろと言われたんですね。指定管理者というのは、そもそも3年なんですよ、一般的に 。で、長くしようねということで5年にしたんですけど、今回5年できちんとやればね、次は10年にしようと思っています。そうしないとねえ、やっぱり安定性っていうのは担保できないじゃないですか。ですのでね、それは今後踏み込みたいと思いますね。

【樋渡】最後、松原先生からの、次が来れるのかって(件)。僕ね、全部の図書館が今3,000・・・このあいだTRCの社長にも話したんですけど、3,200くらいあるらしいんですよ。自治体の数が1,700、そうですよね?で、図書館は3,200あると。だから、僕は組み方を提示したかったんですよ。要するに今までね、図書館といったら自前でやるというのが本流じゃないですか。だけど、我々はCCCと組むと。で、あるところは例えばGoogleと組むとかね、あるところは東洋大学と組むとか、そういう風に組み方を提示したかったんですね。だから、サービスを官僚というか公務員が独占する時代というのはとうに過ぎましたよ。ですから、組んでお互いのいいところを引っ張り出してね、行政サービス、ああ、サービスにつなげていこうというのが僕の狙いです。

【松原聡】それじゃ、ここでニコ生の方のお話を聞いてみましょう。

【松原真倫(以下松原真)】やっぱりその、選定過程というところにけっこう突込みが来てまして、建築とかだとコンペで決まったりするじゃないですか。そういうかたちでTSUTAYAに決定したんじゃないのか?という意見。あと、わざわざTSUTAYAに来てもらうんだったら、それこそ代官山の蔦屋みたいに、公立図書館を蔦屋化するんじゃなくて、蔦屋立図書館を誘致するというのでは駄目なのか。今、二つくらい出ているんですけど。

【樋渡】これね、凄くよく言われていて、コンペするべきだって。公募ですよね。だけどね、それはものによるんですよ。少しでも安くするためには公募でいいんだけれども、今度はコンテンツですから。で、しかも、そもそも指定管理者(制度)そのものが、公募のほかに、こういう風に随契(随意契約)というのはもう想定しているんですよね。で、我々は法令にのっとってその第二の手段を選んだに過ぎません。だから、これで無茶苦茶を言うというのは、法律を読んでいないということなんですね。

【樋渡】それと、蔦屋立図書館。たしかに図書館法では私立図書館というのがあるんですよ。非常にハードルが高いんですね。ですので、そうであるとするならば、せっかくある公立図書館をCCCのノウハウを活かして(蔦屋化)した方が僕は現実的だと思ったし、CCCも、自前でね、すごくハードルの高い私立図書館を作るかといったら、もしそういう思いだったらとっくに作ってますよ。そりゃあハードルが高いし、そこまでのことをする必然性がなかったからやんなかっただけであって、僕らはあるものを活かすという観点からCCCと組んだということになります。

【松原真】あと、こんなのも。CCC(TSUTAYA)が倒産するとどうなっちゃうの?って。

【樋渡】直営に戻します。うん、簡単。だってね、これ売却したわけじゃないんですよ。ですので、あくまでも図書館法に基づいて、我々、公の団体がね、設置権者ですから、運営をCCCに今回委ねたわけですよね。で、もし万が一潰れたらそりゃ直営に戻すと。で、そのときにまたいいのがあるなと思ったら、またお願いをするということになるんじゃないですかね。
 

根本祐二氏による図書館のコスト論

(00:55:40)
【松原聡】はいあの、今、菊池さんから、指定管理者制度についてお話しいただきました。ここで、最初にちょっとご紹介しましたように、東洋大学の根本先生、この分野の専門でありまして、特に図書館に限って、これを指定管理することの意義みたいなものについて、お話と問題提起をお願いしたいと思います。

【根本祐二・東洋大学教授(以下根本)】東洋大学の根本です。えー、この会に初めて参加して、全然慣れなくてですね、どぎまぎしているんですけど、一応資料を作ってきましたので、これに沿ってお話をしたいと思います。あの、事前に松原先生のほうからいただいたのが、図書館に民間委託はふさわしいかという点で、市民サービスの観点から本当に民間ができるのかということ。それからもうひとつは、お金が本当に安くなるのかということ。この2点について何か言いなさいということで、まあ指示をいただいて、それについてちょっとメモを用意してきましたので、簡単にちょっとご紹介をしたいと思います。で、あらかじめ申し上げておきますが、私は御用学者ではないんですけれども、最終的には市長のご意向よりも先に、たぶんバックアップするだけでなくですね、もっともっと先に行ってほしいとこう思っているので、あんまり私の話を広げても議論にならないかなと、えー、思います。

【根本】まずですね、市民サービスの観点からどうかということで、よくですね、おそらくそういう意見もあると思うんですけれども、「図書館は公共サービスだから民間委託はふさわしくない」という意見が伝統的にありますよね。で、これは「図書館」のところは何を入れたって別にいいんですよね。「学校」であったり「病院」であったり「公民館」であったり何でもいいんですけれども・・・今、公共サービスとして行われているものは公共サービスなんだから民間を入れるべきでない、という意見というのは、これはもう、とうの昔に消え去った滅びた意見だろうという風に思います。今は違います。ただですね、それはやみくもに民間委託するということではなくてですね、これはややアカデミックな、テクニカルな用語なんですけれども、「細分化」ということですね。一つのサービスを細かく細かく分けていくと、その中には民間委託可能なものがあるでしょうということで、歴史的に一番有名なのが刑務所の事例なんですけれども・・・

(00:58:05)
【根本】刑務所はですね、絶対に官がやらないといけない、まあ国ですけれどね、政府がやらないといけないと誰もが思っていた。経済学者もそう思っていて、経済学の教科書にはそう書いてあったんですけれども、今、世界で民間委託している施設の種類の中で一番成功しているのが刑務所なんですね。これは日本も同じです。で、刑務所の仕事というのは、刑務というのがあって、究極は死刑の執行みたいなのがあるんですけれども、身体(からだ)の拘束を伴うようなものは官、これは当たり前。これを民にやらせるというのは、それはない。だけど、それ以外のことは民でもできるんですね。で、設計、建設、いろいろありますけれども、理髪とか医療とか接遇とか、こういうのはまあ民間ができる。で、今一番日本で注目されているのは職業訓練ということで、今、日本の刑務所に入るとですね、ホームヘルパーの2級を取得する研修が当然無料で受けることができるわけですね。そうすると出所した後、再犯をする可能性が低くなりまして、国民の安全が守られ、なおかつ刑務所を増設する必要がなくなるという、非常にいい効果が現れています。えー、まあ、このおかげで、「刑務所」と今は言いません。「社会復帰促進センター」と言っているんですけれどね。民間の知恵で公共施設の中身自体、目的自体が変わってくるということですね。

(00:59:30)
【根本】で、図書館にも同じことが言えると思います。えー、図書館という一つのまとまったサービス、単一のサービスがあるわけではなくて、図書館のサービスを分ければ、設計、建設から始まって、レファレンスだとか資料収集だとか事業企画だとか諸々あるわけで、このうちのどれが民間にふさわしいのかというのをそれぞれの地域で考えて、で、全部を官がやるのがふさわしいと思えば公立だし、建物から全部民間にやってもらうという場合は、究極は民営化だし、あるいはPFIという手法が用いられていて・・・まあ既存の建物があるのでそれを若干手直しをして運営をお願いしようというのが指定管理者なんですね。なので、それぞれ一番いいと思うような方法を選んでもらえばよくて、民間委託がアプリオリにいいとか悪いとか、そういう議論は意味がないと思います。ということで、市民サービスの観点から行くと(図書館の民間委託は)十分にふさわしいし、どの地域でも必ずそうかということは分かりませんけれども、少なくとも武雄市の場合はそれがいいという風にご判断をされたということなので、まあそれ以上何も議論はないんじゃないかなという風に思いました。

(01:00:40)
【根本】えー、もう一つ。費用の関係なんですけれどもね。これはちょっと話が膨らむかなあと思います。これも同じようにですね、「公共的」だから「効率的」でなくてもいい、という風に言いがちなんですね。で、これは間違いですよね。我々は納税者なので、ちゃんと税金を有効に活用してもらわないと困るわけで、「公共性」と「効率性」は両立させるべきだと思います。で、そのためにはですね、費用対効果を表す客観的な指標というのが必要で、この議論を十分にしないで、いいか悪いか、オール・オア・ナッシングの議論をしがちだと思いますね。これは図書館に限りませんけれども、どういう分野でも程度というのがあるので、この程度だったらやっぱり民間に出すべきだよとか、これだったらもう官がやったほうがいいんじゃないかとか、いろいろあると思うんですけれども、もうちょっと緻密な議論を数字を出してやった方がいいだろうと思います。

【根本】で、図書館というのはですね、えー、いろいろ指標の取り方がありますけれども、例えば、貸出者数1人あたりのコスト、このコストの中には施設費、修繕費とか減価償却費とか、あと人件費とか、えー、ガス代・電気代とかですね、もちろん資料・図書費というのも全部入れて、それを貸出者数で割ったらどのくらいかかっているんだろうか、どのくらいだったら税金として許容できるのかという質問を、あちこちで今まで講演会等のたびにやってきました。おそらく通算1万人ぐらいの人に同じ質問をしてきたと思います。で、300円くらいというのが一番多いですね。これはまさにTSUTAYAのレンタルのコストが相場観になっているんだろうと思いますね。まあ、300円くらいがだいたい多くて、100円とか、500円が非常に高いほうで、1,000円というのはですね、多いところでも1割くらいしかいないです。同じ質問を教育委員会の方にしても、1,000円は高い、1,000円もかけてやることではないという風にお答えになるんですね。

【根本】じゃあ実際にかかっている費用はいくらかっていうのをご覧いただきます。実はですね、相場が1,000円かかっているんですね。日本全国の図書館、えー、ここには二つだけ出してきていますけれども、A市とB市という首都圏の比較的大きい都市です。ですから、首都圏のような人口密度の大きいところの大都市だからけっこう利用頻度が高いだろうと思うにもかかわらず、A市もB市もトータルコストは1,000円かかっているんですね。なので、教育委員会の人すら認めないような高いコストをかけて今まで公立図書館を提供してきたということですので、実はこの質問をする前に「図書館はあった方がいいですか?無くてもいいですか?」という質問をすると、100人が100人、あった方がいいという風に手を挙げるんですけれども、この数字を出した途端にですね、それが劇的に変わります。えー、まあ無くてもいいんじゃないかという人が、ものすごい数にのぼっていくんですね。少なくとも、もっともっと下げるべきであるという意見に変わります。えー、1,000円かかってもいいよという意見は、残念ながら100人のうち10人もいないということなんですね。で、まあおそらく、これをご覧になっている方々もですね、数字を見ると、ちょっと気持ちが変わるんじゃないかなと思います。

【根本】えー、まず1,000円かかっているという事実。それから、もうひとつ大きなのが内訳なんですね。1,000円かかっているというと、図書館大事だという方は、「いや、本にお金がかかるんだから、当然それはかかって当然だ」とおっしゃるんですけれども、実は図書・資料購入費は、先ほど市長もおっしゃいましたけど、えー、10パーセントもないんですね。数十円のお金しかかけていない。それ以外に何かというと、ひとつは施設費。えー、箱を作る。もうひとつが人件費ですね。で、人件費が半分以上ですということですので、まあ図書館にかかっている税金というのは、実は人件費と施設費で、本代にはあまりかけていないと。で、これはやっぱりおかしいんじゃないのかなという風に多くの方が思うと思います。まあ、「思う」前に「驚く」と思うわけなんですよね。なので、施設費を減らし、あるいは人件費を減らすということによって、図書館・・・まあ、あるものを潰すというのはできないとして、できるだけ1,000円をどんどんどんどん低くしていって、その分、納税者の負担を減らしてあげる。場合によっては減税してもいいかもしれないし、福祉に廻してもいいかもしれないし、まあ、その分、本を余計に買ってもいいのかもしれないけれども、そういうところの「効率化」の知恵というのがですね、公立図書館だからやらなくていいということは全くない。えー、そのために我々は税金を払っているので、ぜひそいうことを考えていただきたいと思います。で、実は公立図書館のまま、それをやるとですね、なかなかやはり難しいということで、指定管理者制度を使おうという風に考えるところは非常に多くなっていまして、その課題というのもないではないんですけれども、基本的な方向性としては、やっぱり民間の知恵でこういったコストをできるだけ下げようという方向は全く正しいという風に思いますし、まあおそらく相当、先ほど半額、半分になるとおっしゃったので、これはやっぱり劇的な効果があるだろうなという風に思います。えー、以上です。

(01:06:45)
【松原聡】えーと、ありがとうございました。根本先生の今のところで、全国の平均的な金額がおおむね1,000円程度と。で、人件費が5割以上で、図書購入費は1割以下だよねと。武雄の図書館もだいたいこれと似たような状況だと思うんですが・・・あの、先ほど、トータルの金額が委託によってどう変わるかというお話がありましたけど、このあたりの配分が、CCCに委託することによって、どこのところがどれくらい変わってくのかとか、ちょっとお話しいただけますか?

【樋渡】えーと、これがちょっと、あれなんですね。9月議会で改めてまた提出することになるんで、あの、方向性だけ申し上げるとね。今まで、例えばね、植込み費があるじゃないですか?図書館のエントランスに、あれに年間50万も60万も使っていたりしたわけですよ。だから、メタボリックな部分というのは劇的に下がります。そして、今1,200万強の図書購入費というのは1,300万になります。ですので、そういった意味からしてもね、今まで根本先生がおっしゃったように、箱にものすごいお金をかけざるを得なかったんですね。しかも、公がやるとものすごく単価が高いし、公共事業ですので、それが民間のオペレーション、あの、システムを使うことによって安くなるっていうことになりますので、だから1億4,500万が1億1,000万になったとしても、それは全く問題がないという風になります・・・なんでこんなときにクーラーつけるんだろうかって、けっこうやっぱありますもんね?公共意識がないから、うん。ですから、喜んでるのは九電だけですよ、はい。九州電力ね、はい。