K_hisane氏による映画「宮本武蔵」へのツッコミ

神無月久音 @k_hisane

せっかくなんで、例の「宮本武蔵」の感想をいくつか抜粋＆適当に補足して載せてみましょうか。しかし、もう3年前の話なんで砂…。

神無月久音 @k_hisane

その① 「物語」ではなく、あくまで「押井監督の宮本武蔵考察」。シーンが細切れ過ぎて、「宮本武蔵」の物語として見るのは無理。

神無月久音 @k_hisane

その②　そこでの主張は「武蔵は求道者ではない」なのだが、では、なんなのかというと、それが曖昧模糊としている。

神無月久音 @k_hisane

その③　一応「武蔵は大身の身を目指した”非合理的な合理主義者”」と話してはいるが、その割に、「なら、武蔵は大身を目指すため、どのように行動したのか」に殆ど言及が無い。（武芸の腕を磨いた、というのは大身を目指す行動とは言わないのでは）

神無月久音 @k_hisane

その④ 一応、武蔵が大身にこだわった論拠として、「替え馬を引ける身に」と細川家に要求した、という話は引用しているが、当時の「一騎の士」は200石程度が平準ラインの筈だから、500石あれば十分「替え馬を引ける身」になれたはずなのに、500石級の仕官の誘いを次々断った、と延べてて謎

神無月久音 @k_hisane

その⑤　つか、軍を率いることのできる3000石以上の身を望んだのだ、とあるけど、ただの浪人をいきなり3000石で迎える家が何処にある。「30代職歴なしだが腕は凄いので年収３億(&部長待遇)で雇え」とか言ってるようなもんですし喃。”合理主義者”がそんな要求するか？

神無月久音 @k_hisane

その⑥ また、騎馬武者を目指した理由として「関ヶ原で騎馬武者に圧倒されたから」と説明しているが、これは後述の「武蔵の二刀流は馬上戦闘を想定していただろうから」を論拠にしており、そちらでは「武蔵は騎馬の身になりたかったから馬上戦闘を想定した剣を編み出したのだ」と延べており卵と鶏状態

神無月久音 @k_hisane

その⑦ というか、武蔵は関ヶ原には参陣しておらず、九州で戦ってたという説の方が現状主流ですし、なんか全体的に使ってる資料が古臭い感じ。

神無月久音 @k_hisane

その⑧ 大体、「真実の宮本武蔵云々」というキャッチコピーにしては、元ネタの大半が五輪書・武公伝・ニ天記ってのはちょっと…。そりゃ吉川武蔵や講談本を元にするよりはナンボかマシですが、せめて関わりのあった大名家の史料を使うとかできんかったものか。

神無月久音 @k_hisane

その⑨ 話を戻すと、二刀流は構えその他から見て馬上戦闘を想定していた剣であり、即ち、武蔵が騎馬の身になることを目指していた証だ、としているのだが、もしそうなら、もっとストレートに五輪書内で「馬上での操剣について」言及してるはず。話中でも、「武蔵は合理主義者」と描いてる訳ですし

神無月久音 @k_hisane

その⑩ 実際、同時代の柳生宗矩の場合、その伝書(外の物の事)にも「馬上の事」って項目があって、槍、薙刀、刀、組み打ちと、それぞれの馬上での心得に言及してるので、武蔵が書かない理由がない（馬に乗った経験がなかったから書けなかったのだ、とすれば「馬上戦闘を想定して」という話が崩壊する

神無月久音 @k_hisane

その⑪ つーか馬と弓の話が長過ぎ。押井監督って犬じゃなくて馬に乗り換えたんでしょうかね？

神無月久音 @k_hisane

その⑫ なんだかボロクソ書いた趣ではありますが、とりあえず、「押井監督が自身の武蔵観を述べる話」という風に当方は受け取ったので、その主張の是非については別として、最終的な感想としては、「本で出せばいいのに」というところでありました。

神無月久音 @k_hisane

その⑬ これ、どう考えても主張に対して尺足りてないですし、殆ど解説役が喋ってるだけですから、映像でやる必要性無いんじゃなかろうかと。武蔵のシーンとか細切れ過ぎて話になってないですから、挿絵で十分事足りますし。

神無月久音 @k_hisane

その⑭ ちなみに、「主張の是非」についてあれこれ書こうとすると、結構手間がかかりそうなので、いずれ気が向いたらやるかもですが、気が向くことはあるのかしらん？…と書いたのが3年前の7/21だったのですが、率直に言って「主張として成り立ってないので何書けばいいかわからん」というところ

神無月久音 @k_hisane

その⑮ あと、観終わって作品の感想とは別に思った点として、「ウチのやる夫スレ（やる夫で学ぶ柳生一族：http://t.co/k2LlrG8j ）も解説多いけど、あんな風に見えてたらマズいなあ。話で語れる部分は、話にするように気をつけねば」というものがあったり。