オリンピックとカメラ戦争 白と黒と

酷い変態ツイートしかしない人が、カメラマン目線のオリンピックの隠れた戦いを解説していたので。
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Raymond Rambert @rambert_oran

時事ドットコムの五輪写真特集に「フォトグラファーズEYE」というコーナーがある。五輪に派遣されている時事通信写真記者の装備などを詳しく紹介している。カメラやスポーツ写真に関心のある人にはオススメ。ちなみに時事の写真部はキヤノンを標準装備。 http://t.co/gFfoCftz

2012-08-08 00:05:57
Raymond Rambert @rambert_oran

カメラメーカーはいろいろあるのにどうして五輪ではキヤノンとニコンが占めているのか、と不思議に思う人もいるかもしれない。これは、性能や耐久性の高いボディと、広角から800ミリといった超望遠までレンズを揃える社がほかにないことと、会場に大規模なサポート部隊を派遣しているから。

2012-08-08 00:32:09
Raymond Rambert @rambert_oran

いわゆる一桁代のフラッグシップ機や超望遠レンズは、コストも高く市場も大きくないため、企業の儲けには直接大きく影響しない。それでもキヤノンとニコンがしのぎを削るのは、技術と信頼がプロに認められるというブランド力のため、という要素が大きい。

2012-08-08 00:39:17
Raymond Rambert @rambert_oran

キヤノンとニコンにはレンズの互換性がないから、ボディとレンズをセットで使うしかない。五輪のカメラ席に並ぶ白いレンズ(キヤノン)と黒いレンズ(ニコン)の割合は、カメラの割合とイコールとなる。プロがどちらを選んだかが一目瞭然となるため、両社は総力戦を繰り広げる。

2012-08-08 00:53:21
Raymond Rambert @rambert_oran

「カメラ戦争」とも呼ばれる五輪をざっと振り返ると、シドニー五輪までは永らくニコンの牙城だった。ところがアテネ五輪で、特に高感度撮影時のノイズでキヤノンに差を付けられ、シェアを一挙に失った。会場によってはカメラ席が白く染まった。

2012-08-08 00:59:15
Raymond Rambert @rambert_oran

もっともアテネの際は、ボディの圧倒的な差もあったけれど、キヤノンが報道各社にトップセールスをかけたことも大きい、とされている。

2012-08-08 01:01:08
Raymond Rambert @rambert_oran

なぜ高感度撮影時のノイズがそれほど重要なのか、と思う人もいるかもしれない。スポーツ写真は速いシャッター速度で確実に撮る必要があり、光量が限られた屋内や夜間では感度を上げなければならない。ノイズが多いと、カラー写真の写りに直結してしまう。

2012-08-08 01:05:54
Raymond Rambert @rambert_oran

ノイズのためアテネで敗れたニコンは、巻き返しを図る。北京五輪の前年に出したD3は、高感度撮影性能を徹底的に高めた。常用感度6400という数字を聞いた時は、まさか、D2Hを造ったところがそんなことできるかいな、と思ったけれど、実際に撮ったら、度肝を抜かれた。

2012-08-08 01:11:31
Raymond Rambert @rambert_oran

北京向けにキヤノンが出したマークⅢは高感度で差を付けられたうえ、オートフォーカスでトラブルが相次ぎ、北京では白と黒が並んだ。以降、二社の争いは均衡状態が続いている。

2012-08-08 01:16:08
Raymond Rambert @rambert_oran

カメラ戦争は、いわばF1のようなものだから、新規に参入しようとしても実績や質の面できわめて高い壁がそびえている。そこに労力をかけるよりは、利幅の大きい初心者・中級者向けの市場に専念したほうがいい。そんなわけで、カメラ戦争は当面、白と黒で続くだろう。

2012-08-08 01:22:16
Raymond Rambert @rambert_oran

前にも書いたけれど、ニコンについては、ロンドンの主力になっているD4は、震災で被災した仙台工場が手がけたもの。世界の大舞台で活躍しているのは、うれしく思う。

2012-08-08 01:53:09