くるり「ハイウェイ」の歌詞について形式的に整理してみたよ
- yaoki_dokidoki
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「じょにー」と「きに」は脚韻にはいるのか。それとも慣用句なので「じょにー」と「きにしないで」でたんに「に」の音で韻を踏んでいるというべきか。
2012-08-24 21:05:23強勢に注目して構造的な呼応をみると、「とびだせじょにー」の「び」「に」はそれぞれ、「きにしないで」の「に」「い」に対応しているようにも見える。このとき、母音レベルで「い」音にストレスのおかれた押韻だと説明することもできるだろう。
2012-08-24 21:10:35それよりも争点となるのは、たかが文節末の一致を脚韻とみなしていいのか、ということかもしれない。文末あるいは行末の一致をそれと呼ぶのではないのか?ということ。
2012-08-24 21:20:50では、わたしたちの「とびだせじょにーきにーしないでー」の「に」音の呼応についての独特な経験は、どう説明されるのだろうか。
2012-08-24 21:30:341.「に」音の一致。2.のばす「ー」音の一致。というふたつの要素のみによってしか説明されないのか。「脚韻」ということばが示す「位置」の問題はここでは省かれるべきなのか。
2012-08-24 21:30:45ここで「準備」という補助線をひくことができるかもしれない。つまり、もっと全体的な構造に目をやることによって、「ジョニー」と「気に」がいくぶんか脚韻的であると説明することはできるかもしれない。
2012-08-24 21:32:38全体の構造は、1番Aメロ「僕が旅に…」→Bメロ「俺は車に…」→2番Aメロ「飛び出せジョニー…」→Bメロ「全部後回しにしちゃいな…」となっており。
2012-08-24 21:37:41構造的に対応する箇所、すなわち1番Aメロ冒頭、1番Bメロ冒頭、2番Aメロ冒頭が「ぼくがたびに」→「おれはくるまに」→「とびだせじょにー」という対応の変遷をもっていることがわかる。
2012-08-24 21:39:40音数に注目すると、「ぼくがたびに」(6)→「おれはくるまに」(7)→「とびだせじょにー」(7)となっているので、フレーズとしてほとんど対応関係にあるとみなしてよいだろう。
2012-08-24 21:41:251番AメロとBメロの共通項である助詞「に」に注目してみたい。「旅に」「車に」はいずれも「名詞」+「助詞」で1文節を形成するという形式をとっている。ここに先に述べた「準備」がある。
2012-08-24 21:43:28この形式的な反復から帰納的に考えれば、各パートの冒頭には「名詞」+「助詞」の形式が配されると予想される。だがこの抽象レベルを1段階引き下げれば、「XXXXXに」(6)あるいは「XXXXXXに」(7)の形式をとるという予想もありえるだろう。
2012-08-24 21:46:49ここにはふたつの抽象レベルがある。ひとつは品詞レベルでの形式が、ひとつは音数が6または7のフレーズに「に」の音が脚置されるという音レベルでの形式。
2012-08-24 21:48:49創作方法的にいいかえればこうだろう。岸田繁さんは、1番のAメロとBメロの形式的呼応において次のような条件を設定した。「名詞+助詞【に】で構成された6音ないし7音のフレーズとする」と。
2012-08-24 21:52:53そして実際に岸田繁さんはそれを1番AメロとBメロにおいて達成した。つぎに岸田繁さんは、2番Aメロの冒頭において「変化」を加えることをこころみた。それは品詞の形式的束縛を解除することだ。
2012-08-24 21:54:33したがって岸田繁さんは、「名詞+助詞【に】」の形式をとることをやめ、冒頭に動詞をもってくる。「飛び出せ+ジョニー」は、「動詞+名詞」という形式になっている。
2012-08-24 21:55:52ところが、当初の「名詞+助詞【に】で構成された6音ないし7音のフレーズとする」という岸田繁さんの規則はここで、「5音ないし6音+【に】音で構成された6音ないし7音のフレーズとする」に変化する。
2012-08-24 21:58:58岸田繁さんは、「僕が旅に」を「ぼくがたび+に」、「俺は車に」を「おれはくるま+に」というふうに、脚韻的な一致に読み替え、「5音+に」、「6音+に」というふうに抽象化したのである。したがって「とびだせジョニー」も「とびだせじょ+にー」という「5音+にー」へと抽象化される。
2012-08-24 22:00:16だがこの魔法音であるところの「に」が「じょにー」の直後に反復して出てくる。それが「きにしないで」の「きに」である。「気に」もまた「名詞+助詞【に】」の形式をもったフレーズである。ただし音数の規則は満たしていないが。
2012-08-24 22:02:29「とびだせジョニー」が本来要請されていたはずの「助詞【に】」がここで登場するため、いったん忘れ去られていた規則がここで思い出される、のではないか。
2012-08-24 22:04:27