「キョート・ヘル・オン・アース」急「ラスト・スキャッティング・サーフィス」#3
「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」「フーンク!」「グワーッ!」
2012-08-28 14:12:25ニンジャスレイヤーは防御に専念した。ダメージを最小限に抑えねばならぬ。それでいて身体に響くこの強打!恐るべき打撃力だ。足元がぐらぐらと歪んでいる。メンタリストは笑っている。宇宙開発時代。柱に巻かれたレースのカーテン。鍛冶場でハンマーを振るう巨人のニンジャが二人。火の粉が舞う。
2012-08-28 14:16:39「フーンク!」「グワーッ!」ガードの上からの重圧!ニンジャスレイヤーは呻いた。このまま耐えきれる筈も無し。「フーンク!」「グワーッ!」彼は目の前の敵を睨む。睨む……ゴライアスに集中せよ。ゴライアスだけが不変だ。この世界の普遍だ。し?じつだ、オーチン・プリヤートナ……パニマーエチェ
2012-08-28 14:35:11ニンジャスレイヤーは朦朧として……ガードを下げぬよう努力する……耐えねば……耐えねばゴライアスのビッグカラテはニンジャスレイヤーの顔面を捉え……頭部が360度回転して死ぬ事になる……ゆがむ……たたらを踏む……ゴライアスの拳を……緩慢な拳を……避ける……メンタリスト……ジツ……
2012-08-28 14:40:25「フーンク」さらにゴライアスの拳が飛んでくる。緩慢な拳が。よろめく。よろめきながら躱す。黄色と緑の光が雲になってニンジャスレイヤーの視界を包む。吐き気を催す。何かがおかしい。メンタリストはどこだ?ニンジャスレイヤーは蹴りを繰り出そうとして、膝をついてしまう。植物が発芽だ。125
2012-08-28 14:45:34床を割って生えて来た植物群は天井まであっという間に伸び、枝枝から分厚い唇を生やして嘲笑った。植物群の根元には馬に乗った小さなニンジャが百人はいる。足元を駆け回り、槍で攻撃してくる。ニンジャスレイヤーは振り払おうとする。ゴライアスは呻いた。「フーンク」 126
2012-08-28 14:47:33「どこだ……メンタリスト=サン、どこだ……」泥のような空気だ。ゴライアスは後ずさった。だが、ニンジャスレイヤーはそれどころではない。蟻ニンジャ達が身体を這い登って来るからだ。「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは登ってくる蟻ニンジャを引き剥がし投げつける。 127
2012-08-28 14:49:16「フーンク」ゴライアスが両膝をついた。ニンジャスレイヤーもだ。彼は吐き気と闘った。手足が鉛のインゴットに変わり、地面に落ちた。「どこだ……メンタリスト=サン……どこだ……」「おかしい!」「おかしい?おかしいとは?そうだろうな。おかしいだろうな」 128
2012-08-28 15:00:33ニンジャスレイヤーは床を転がった。音楽を吐き出した。重低音は青い厚みのあるカーテンに、高音は透明がかった綺麗な欠片になって、この広間を満たす、ゴライアス……ゴライアスがぼやける「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは轟音に包まれる……。「イヤーッ!」「グワーッ!」129
2012-08-28 15:05:36チャドー……チャドーせよ。チャドー、フーリンカザン……チャドーせよ。まず呼吸の仕方を思い出す必要がある。「イヤーッ!」「グワーッ!」「スゥー……ハァーッ……」立て……立ってカラテを構えよ……「スゥーッ、ハァーッ……」「やめろ……見えなくなる」「そりゃよかった」 130
2012-08-28 15:12:25ニンジャスレイヤーはゴライアスの肩越し、遠くぼやける影を見ようとした。「やめろ。完全性を汚すべからず」「毒には毒を以ってすべし、実際それだな」「やめろ……」「GRRRRR!」ニンジャスレイヤーは震えながらカラテを構える。身体コントロールを取り戻さねば……。 131
2012-08-28 15:23:37ゴライアスもまた、頭を振って起き上がる。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ブラックヘイズです。フェイタル=サンはちと忙しい」「GRRR!」「グワーッ!」「オヌシ……」ニンジャスレイヤーはよろめいた。「立つのか?つくづく化け物だな。だが、今なら殺せるか」「これは……」 132
2012-08-28 15:28:43「俺の幻覚剤だ」ブラックヘイズは言った。彼の足元に転がる葉巻から今なお噴き出す不穏な色彩……その向こうで揺らぐ影……戦闘……「ニンジャはこれをそうそう喰らってくれんのだが、よき時に居合わせたようだ。お互い手一杯かね」「GRRR!」「グワーッ!」 133
2012-08-28 15:34:25「フェイタル=サンは心配せんでいい。頑丈のようだから。俺はといえば……葉巻が吸えん」ブラックヘイズのメンポは変形し、ガスマスク機構を働かせている。ニンジャスレイヤーはチャドー呼吸を繰り返す。幻覚剤が本当なら、より深く汚染空気を吸い込む事になる。だがチャドーによる浄化が克つ。134
2012-08-28 15:40:52「今なら殺せるかもしれんな」ブラックヘイズが繰り返した。彼はサイバネアームを音を立てて握り、開いた。「お前には何度も煮え湯を呑まされて来たわけだが」「スゥー……ハァーッ……」「GRRR!」「グワーッ!」メンタリストが攻撃を受けている。防御はなお素早いが、精彩が無い。 135
2012-08-28 15:45:44ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構える。一秒でも早く身体コントロールを取り戻さねば……「だが、今回はナンシー=サンとの契約があってな」ブラックヘイズは言った「またの機会にするしかない。……ま、お前が俺に借りを作るというのも中々いい気分だ。見逃してやろう」「ヌゥーッ……」136
2012-08-28 15:49:16「GRRRR!」「グワーッ!」袈裟懸けに爪の一撃を受け、メンタリストは膝から崩れ落ちた。ブラックヘイズはそちらへ歩いてゆく。フェイタルが牙を剥いて笑う「気分はどうだメンタリスト=サン。最悪か」「俺の真実を返してくれ」「できない相談だ」ブラックヘイズが答えた。「命を請求する」137
2012-08-28 15:56:22「フーンク!」その時、ゴライアスがバンザイ姿勢で立ち上がった!ナムサン!なんたる規格外のニンジャ耐久力による薬物影響からの回復!「いい、イイぞ!」メンタリストが叫ぶ!「フーンク!」ゴライアスはブラックヘイズを瞬時に振り返り、死角から殴りかかる!「イヤーッ!」「フーンク!?」138
2012-08-28 16:00:06ゴライアスは振り返る。手首にニンジャスレイヤーのフックロープが巻きつき、死角襲撃パンチを留めている。「これで貸し借り無しと?」ブラックヘイズは咄嗟の防御を解き、肩を竦めた。「やれ。フェイタル=サン」彼は合図した。「イヤーッ!」「アバーッ!」メンタリストが首に蹴りを受ける! 139
2012-08-28 16:12:32シリンダーが粉々に砕け割れ、液体が飛び散った。「はははは真実が!ははははは!」メンタリストは狂笑し、身悶えした。一瞬後、その首が吹き飛んだ。フェイタルによるカイシャクだ。「サヨナラ!」メンタリストは爆発四散した。「よし。行くか」フェイタルが広間の入り口めがけ歩き出した。 140
2012-08-28 16:17:07ロープを振りほどこうとするゴライアスと格闘するニンジャスレイヤーの脇を通り過ぎる際、彼女は彼の肩をポンと叩いた。「オタッシャデ」「……あとは宝物殿だ」ブラックヘイズはその後に続き、ニンジャスレイヤーの横を通り過ぎた。「お前の命があれば、また……会いたくもないか。俺もだ」141
2012-08-28 16:23:51「フーンク!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは力を込めてロープを引き、ゴライアスの巨体を打ち倒した。薬物からの回復度合いは、ややニンジャスレイヤーの有利か。ブラックヘイズは去り際、一度振り返った。「サラバ」そして、出て行った。 142
2012-08-28 16:26:21「フーンク!」「イヤーッ!」ケリ・キック!起き上がろうともがくゴライアスが、顔面に蹴りを受ける。ニンジャヘルムがひしゃげた。だが、ムテキ・アティチュードに頼らずとも、そのニンジャ耐久力は 凄まじい。並のニンジャならば死ぬような蹴りの受け方であったというのに! 143
2012-08-28 16:31:53「フーンク!」ゴライアスは起き上がりざま、ニンジャスレイヤーにタックルをかけた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは力を振り絞って回転ジャンプし、巨体を跳び越えた。ゴライアスはよろめき、頭から床に滑り込んだ。いまだ薬物の影響下だ!ニンジャスレイヤーは振り向き、腕に力を込める。144
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