52
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
判決速報「コンピューター・システムの開発において、ベンダーのユーザーに対するプロジェクト・マネジメント義務の違反が認められた事例」東京地裁、平24.3.29民事第14部判決請求一部容認[控訴]」(金融法務事情第1952号111頁)を読み終えました #dokusho 面白かった
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
本件は、静岡県の有力地方銀行(以下面倒なのでスルガ銀行、駿河責めの駿河ではない)と、世界的なシステム大手SI企業の日本法人(以下面倒なので日本IBM。架空戦記に出てくる国家名ではない)の間で基幹系システム開発プロジェクトの失敗をめぐって争われた訴訟である
すらたろう @sura_taro
「以下面倒なので」www
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
本件は、長年にわたり親密な関係にあったユーザー銀行とベンダーの間で、プロジェクトマネジメントの失敗を要因として訴訟二発展したという意味で非常に注目を集めた事件であるが、本件を特徴付けているのは、近年増えているパッケージを用いた大規模なシステム開発における責任分担が争われた点にある
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
また、そもそも現時点で存在していない、または未完成なパッケージの開発を、インテグレーションと併行して行うというきわめて高度なプロジェクトマネジメントが必要なケースでの紛争という特徴があり、広く情報システム開発プロジェクトの法的紛争のリーディングケースとなりえるものであると思科する
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
本訴訟に関しては、判決直後に感想を連投しましたが、まずは判決文からいったん離れ、改めて本件に関する周辺事情を連投したいと思います
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
まず、金融機関の基幹系システムというものですが、一般的には勘定系システムと理解されるシステムが存在します。これは、口座の管理や為替取引を制御するシステムで、基幹系システム全体の中核的な存在となります。続いて、情報系システムは、会計や営業システムで処理するための内部的なシステムです
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
対外系システムは、全銀ネットやATM提携網といった外部のネットワークとの接続制御を行うシステムで、営業系システムとは本支店での営業端末などのシステムを言います。これらのシステムを統合するのが、基盤系または単にハブと呼ばれるシステムで必ずあるとは限らないのですが最近ではほぼあります
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
原告であるスルガ銀行は、1970年に現行システムの原型となる基幹系システムを構築して以来、1980年代後半に現行システムとなる第三次オンラインシステムを稼動させ、およそ20年近く同じシステムを改良して使用しています。この刷新プロジェクトが今回問題となるCorebank/NEFSS
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
現行システムのうち、勘定系システムはIBM製のMVSオペレーションシステムが稼動する超大型メインフレームを使用したシステムですが、システム開発自体はほぼ自主開発で、その後の運用や追加開発に関しては、日本IBMの協力を得ながら自社(システム子会社のSCS)で行ってきました
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
スルガ銀行の刷新案件に対し、既存ベンダーであった日本IBMが提案したCorebank/NEFSSというシステムですが、これは二つの構成要素に分かれています。まずCorebankですが、米FIS(フェデリティグループの情報システム関連企業で上場企業)の有する汎用勘定系パッケージです
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
このCorebankは、FISが買収によって手に入れたもので、元々は北欧で開発されたシステムを米国で展開したもので、SAIL/IMSを前提としたシステムです。SAIL/IMSとは、IBMの超大型メインフレーム用オペレーティングシステムESA/MVSで稼動するミドルウェアのことです
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
厳密に言えば、金融向けオンライン・トランザクション管理システムのSAIL/ESAと、トランザクション管理システムのIMS/ESAの総称ですが、このシステムをWebsphere(WAS)上のJ2EEコンテナと、DB2に置き換えたのがNEFSSです
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
したがって、スルガ銀行に提案されたCorebankも、J2EEで置き換えられたバージョンで、このバージョンを採用するのは日本だけでなく世界で初めての事例でした。また、現在日本IBMの金融ソリューション資料によく出てくるTSB Corebankingというシステムとは別者です
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
Corebank/NEFSSは、世界シェアNO1のOracleのFlexcubeや、国内ベンダーで先行していた富士通のProbankや、NECのBW21のように、事前に準備されたライブラリのコンテナをパラメーター設定だけで呼び出してシステム構成ができるという柔軟性にあります
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
NEFSS自体は、SAIL/IMSをJ2EE化/DB2化したものですが、海外で実績のあるCorebankと組み合わせることによって、短期間にシステム開発が可能とされていました。ただし、Corebankには日本の銀行業務に必要な大規模処理や法令対応、商品対応がありませんでした
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
この日本化対応を「Japanization」と日本IBMは称し、NEFSSをSAILの発展系として推進するIBM本社の戦略の一環として、Japanizaitonとともに最初のインテグレートとして提案したのが、スルガ銀行だった、と言えると思います。
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
スルガ銀行も、単にIBMと親密・友好的な銀行だったというだけでなく、90年代後半からネット支店の展開などで既存の地方銀行の枠にとらわれない積極的な経営で知られていた銀行で、国内でも有力優良地銀の静岡銀行のある静岡に本店を置きながら(横浜銀行の地盤である)相模地方にも展開しています
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
システム開発にも非常に積極的で、「IT部門は中核・出世コース」と呼ばれるほど積極的なシステム投資や人材配置を行っていて、古くからシステム開発でマイクロソフトなどとも提携して、高い人材水準を維持していることが知られています。
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
以下は判決文における裁判所の認定事実に従う。原告であるスルガ銀行(以下スルガ。 神原かわいいよペロペロ)は、H12.9に被告日本IBMとの間で、次期ITシステム戦略用件をまとめた「変革のテーマ」と称するドキュメントを共同作成した
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
続くH16.3に日本IBMよりCorebank/NEFSSを次期システムの前提として用いる提案書の提示を受け協議を続けた結果、Corebank/NEFSSによる勘定系システムと情報系システム(新経営システム)の刷新を初期費用95億保守費用年額6億2000万を支出する機関決定を行う
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
最終的にスルガと日本IBMとの間での最終合意は機関決定から数日遅れたH16.9.29に基本合意書を締結し、工数見積もりなどのため遅れたが両者の協議は続き、翌H17.9.30に最終合意書を締結した。(第158頁)
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
最終合意文書の原文は、認定事実には記載されていない(裁判所が認定していないという意味でははなくしばしば引用されている)が、原告証拠として同120項から記載されている。重要な条項を引用・抜粋する。
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
第一条にて、新経営システムの構築を、以下の個別契約の締結を前提として89億7080万円で日本IBMが行うことに同意する。第四条にて、損害賠償制限規定がおかれ、第八条で本契約及び基本合意書2通は(第一条に列挙された)個別契約に順次置き換えられると規定している
(๑╹◡╹๑) @tsuchie88
また、この最終合意書第8条の前提として基本合意書のうちのひとつが添付されている。これには、(イ)採用パッケージとしてCorebank/NEFSSを採用する。(ウ)サービスイン予定日をH20.1.4とする。(エ)前提条件として今後の協議に基づき最終的な数の確定をする
残りを読む(45)

コメント

すらたろう @sura_taro 2012年9月9日
まとめを更新しました。「つっちー師に学ぶスルガ銀行・日本IBM事件」
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする