死にゆく人へのケア:あなたはどうやって極楽に行きますか?

概要:当報告書は、在宅至上主義は質の高い終末期ケアにとって必ずしも適当ではなく、結局のところ「本人にとって望ましい終末期ケア」とはケア決定方針プロセスの質である事を報告するために書かれました。
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VJ: JaySon a.k.a. Sinarisama™ @sinarisama

「介護保険施設における質の高い終末期ケアとは」についての報告書、完成。

2010-07-21 03:17:16
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選定テーマ「質の高い終末期ケア・介護保険施設を中心に」 概要:当報告書は、在宅至上主義は質の高い終末期ケアにとって必ずしも適当ではなく、結局のところ「本人にとって望ましい終末期ケア」とはケア決定方針プロセスの質である事を報告するために書かれました。

2010-07-21 03:34:36
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一般的な看取りケアには医療処置が必須であり、特養では医療処置において外部委託が原則であることから、見取りの際には6割以上の利用者が病院での死亡を余儀なくされています。これは言い換えれば終の棲家を追い出されているとも言えます。

2010-07-21 03:35:57
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質の高い終末期ケアとは何か、意思確認の困難な者にとってのそれは誰にとってのケアなのか。この報告書では実際に終末期ケアに取り組んでいる施設の事例を交えながら最新の終末期ケア事情を解説します。

2010-07-21 03:37:15
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現状理解:  特養での寝たきり生活を送っている90歳以上の後期高齢者の中には意思確認の困難な方が多く含まれています。それゆえに体調を一時的に崩しただけであるのに末期症状だと判断がなされ、必要な医療を実施しないという、いわゆる「みなし末期」と呼ばれる事例があります。

2010-07-21 03:37:44
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この原因として「死に至る過程(Lynnモデル)③」が挙げられており、認知症や老衰を患った高齢者は全身の機能が低下した状態が長く続き、ゆっくりと徐々に機能が低下していくために、死を予見することが難しいという事情があるそうです。

2010-07-21 03:38:31
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一方、在宅で看取ることが即ち本人にとっての質の高い終末期ケアと必ずしも言えません。この根拠として、在宅での主介護者が専門性の高いケアを常時提供できるとは限らないという指摘が日本福祉大学終末期ケア研究会による研究によってなされていました。

2010-07-21 03:39:06
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具体的には、主介護者による口腔ケアが行き届かず口濁があったり、痛みのコントロールや息切れへの対応などに未徹底がみられるなど、質の低い在宅ケア事例もあることが判明したということです。

2010-07-21 03:39:21
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であれば何が「質の高い終末期ケア」かという問いに対しては、死に至るまでのプロセスが重要なのです。論点は2つで、一つは「在宅死=理想の死、病院死=安心という画一的な考えではなく、多様な看取りのプロセスに対応」すること、

2010-07-21 03:39:59
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もう一つは「看取る場所ではなく、看取りのプロセスを重視し、多職種チームで対応するモデル」を形成することです。

2010-07-21 03:40:25
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これにより、終末期ケアにはどのようなチームでどう看取ったのかというプロセスが重要であると分かります。

2010-07-21 03:40:45
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最後に、質の高い終末期ケアをどう定義するかという問いに関しては、大規模調査の結果と、2002年から重ねてきた高齢者の終末期ケアの公開事例検討会から、「質の高い終末期ケアの4条件」が抽出されました。

2010-07-21 03:41:13
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これによれば「1.本人や家族の明確な意思表示の確認を続けること」「2.ケアを支える介護力や周りの人々のサポートがあること」「3.終末期ケアを支える医学医療ケアが受けられること」

2010-07-21 03:46:14
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「4.本人や家族の願いを実現するために、利用できる資源を結びつけるマネジメントがなされること」の4つの条件を満たすよう、専門職者は努めねばならないということです。

2010-07-21 03:46:36
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各段階も要素別に細分化されており、たとえば「死亡時から死別期」の部分ですが、「①苦痛なく安らかな死であったこと」「②死に目に会えて、家族の見守りがあったこと」「③死別後の支えや慰めがあり、死の意味づけができたこと」という配慮ポイントがあります。

2010-07-21 03:48:03
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残された家族の立場を踏まえた上で質の高いケアを提供しようという研究者の熱意が感じられます。残された家族に対する死後の慰めと、死の意味付けに関してはグリーフケアという呼び方がなされています。

2010-07-21 03:48:54
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感想と結論:  意思表示のできない本人への終末期ケアでは、決定権の主体が家族になります。であるならば「本人にとって望ましいケア」を推し量る指標とは、ケア方針決定のプロセスが家族にとって納得いく内容であることだと考えます。

2010-07-21 03:49:37
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そこで必要になるのがプロセス評価であり、質の高いプロセスを経ることで望ましいケアが期待できると考えられていることが分かりました。

2010-07-21 03:49:47
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本人が意思表示できない以上、そこには正解がありません。しかしながら、残されることとなる身近な者にとって納得のいくケアプロセスを、専門職者が安定して供給できる体制を築き上げたならば、その現場には質の高い終末期ケアを提供しうるチームがあると結論できると思いました。

2010-07-21 03:50:12