僕の考えた格好いいプリキュア

ジュエルプリキュア。キュアタンガロイって言いたいだけだったんだ
1
猫柳墓場 @NM_amida

「白く輝く光の戦士!キュアダイヤ!」「青く瞬く水の戦士!キュアサファイア!」「赤く閃く炎の戦士!キュアルビー!」「鈍色に照り返す鋼の戦士!キュアタンガロイ!」「緑に煌めく風の戦士!キュアエメラルド!」『心に灯した5つの宝石!天にかざして悪を討つ!ジュエル・プリキュアこの後すぐ!』

2012-05-24 21:06:49
猫柳墓場 @NM_amida

「…違う、違うわ」「な、何がよ」「しらばっくれないで。貴女のことに決まってるじゃない。…キュアタンガロイ」「そうよ。これ以上誤魔化しきれないわ」「……」「み、皆どうしたの?喧嘩はやめようよ!」「いいえ、この際だからはっきり言うわ。タンガロイ、貴女は鉱物じゃない。貴女は合金よ!」

2012-05-24 21:11:10
猫柳墓場 @NM_amida

「……」「最初から違和感は感じていたのよ。他の皆の必殺技はキュアルビー・フラッシュとかキュアエメラルド・スプラッシュとかなのに、あなただけキュアタンガロイ・ドリルなんだもの」「……」「そ、そんな。こんなのおかしいよ!タンガロイだってずっと一緒に戦ってきた仲間なのに!」

2012-05-24 21:15:17
猫柳墓場 @NM_amida

「いいえ、タンガロイが耀く原石じゃなく、成分調整された加工品だと判った以上、一緒に戦うことは出来ないわ。…この子は宝石なんかじゃない。工業製品なのよ!」「そんな!酷いよサファイア!」「…いいよ、ダイヤ。庇わなくたって。アタシも薄々、皆とはなんか違うと思ってたんだ」「タンガロイ…」

2012-05-24 21:23:38
猫柳墓場 @NM_amida

「ただ、それを言ったらダイヤだって」「え?」 去り際のキュアタンガロイが残した言葉の意味を、プリキュアたちが理解するのはその数ヶ月あとのことになる。己の起源が高温高圧合成された人工ダイヤにあることを知ったキュアダイヤ。そう言えば自分の必殺技もキュアダイヤモンドカッターとかだった。

2012-05-24 21:29:23
猫柳墓場 @NM_amida

自分もまた、宝石ではない、ただの工業製品に過ぎないのか。深く悩むキュア(人工)ダイヤ。しかし人類の歴史の中で試行錯誤を繰り返して誕生した人工ダイヤの歴史、また人々の生活の中に深く関わる工業製品としてのダイヤの価値を知ったこと、そして持ち前のモース硬度で再び立ち上がることに成功。

2012-05-24 21:37:08
猫柳墓場 @NM_amida

再度戦いに身を投じる決意を固めたダイヤを見て、最初はタンガロイ同様に排斥しようとした仲間達もついに彼女を認める。なんだかんだでタンガロイも戻ってくる。再結成した五人の前に現れる真の黒幕、キュア(天然)ダイヤ。彼女こそ人類と宝石の間の血塗られた歴史が生んだ最強のプリキュアであった。

2012-05-24 21:44:01
猫柳墓場 @NM_amida

結局は石ころにすぎないダイヤを巡り、戦争や略奪を繰り返す人類の欲望、妄執。そんな負の怨念の集合体であるキュア(天然)ダイヤは、人類に絶望しこの世からありとあらゆる鉱物、最終的には一個の鉱物である地球をも滅ぼそうとする。食い止めようとするが、圧倒的な力の前に膝をつくプリキュアたち。

2012-05-24 21:48:45
猫柳墓場 @NM_amida

全てが絶望に向かって突き進み、心が折れそうになるプリキュアたち。しかし、そんな中でもう一度立ち上がったのはやはりキュア(人工)ダイヤであった。天然の鉱物ではない、人間の業によって創りだされた人工ダイヤモンドの化身。モース硬度10を誇る彼女の魂には、未だ一点の傷も付いていなかった。

2012-05-24 21:52:24
猫柳墓場 @NM_amida

キュア(人工)ダイヤはキュア(天然)ダイヤに向かって語る。人類と宝石の間に悲しい歴史があったとしても、それでも美しい宝石に憧れる少女たちの心には、一点の曇りもない真実の光があるはずだ。その太陽のような光を受けてこそ、私たち宝石は耀くことができるのだと。

2012-05-24 21:55:38
猫柳墓場 @NM_amida

訂正。世界中の宝石に憧れる女の子達の祈りを受けて、キュア(人工)ダイヤは最強フォーム・キュアハイパーダイヤモンド(またの名をキュアダイヤモンド・ナノロッド凝集体。CureADNR)へと進化を遂げる。通常の3倍の破壊靭性を誇る彼女の一撃を受けて粉々に砕け散るキュア(天然)ダイヤ。

2012-05-24 22:02:05
猫柳墓場 @NM_amida

四散して世界中に散らばるキュア(天然)ダイヤの破片は何よりも美しく、戦い終えた五人の戦士の心に焼き付いていたという。その美しさに深い悲哀を感じずにはいられないプリキュアたちであったが、それでも人々が宝石を求める限り、戦い続けることを誓うのであった。(完)

2012-05-24 22:06:08