「人に勧めるには注意を要するミステリ」作家別シリーズ

mysteryEQ様の「人に勧めるには注意を要するミステリ」シリーズを まとめさせていただきました。意外な視点からの作家別レビューです。 特別ゲストの参加もあり。 <2010年7月~2012年11月までに取り上げられた作家> 続きを読む
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麻里邑圭人 @mysteryEQ

人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその9・西澤保彦編である。西澤作品の特徴と言えばSF設定、論理のアクロバット、欝展開、ジェンダー、レズ、エロ、変態……と、後半にいくにつれて何だか罵詈雑言みたいになっているが、別に嫌いというわけではないことを一応お断りしておきたい(汗)。

2010-07-24 20:48:59
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「黄金色の祈り」/あなたは今充実してますか? もしあなたの答えがイエスならば本作を読んでも何ら問題はないでしょう。逆にノーと答えたあなたは、絶対に本作を読むべきではありません。何故なら本作を読むことは。あなたにとって絶望の淵を覗き込むのと同義だから……。

2010-07-24 20:49:48
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「収穫祭」/約二千枚の大作。30人を軽く超える被害者数。そして最初の事件発生から20年以上に渡って展開するスケールの壮大さ……とくれば第二の人狼城のような作品を想起する人もいるかもしれないが、生憎本作はそういった作品ではない。あくまで犯罪物語として楽しめる人にお勧めしたい。

2010-07-24 20:52:14
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「ナイフが町に降ってくる」/まず本作の真相に関して絶対に期待してはいけない。そう言うと本作がまるでハズレのように思えるが、それは間違いである。何故なら本作は本来の真相よりもダミーの真相の方が面白いと言われる作品であり、故に本作は「よくできた失敗作」という言葉こそが相応しい。

2010-07-24 20:53:36
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上、三作品。本当はもっと取り上げたかったのだけれど、とりあえずは「黄金色の祈り」を紹介できただけでも当初の目的の七割(!)は達成できたと思う。ちなみに自分の好きな西澤作品三作は「人格転移の殺人」「神のロジック・人間のマジック」「彼女が死んだ夜」。

2010-07-24 20:55:12
麻里邑圭人 @mysteryEQ

人に勧めるには注意が必要な作品シリーズも早いもので今回で10回目を迎える。その栄えある10回目に相応しい作家と言えばこの人しかいないだろう。……ということで、ゴッド・オブ・ミステリーこと島田荘司編である。ただ個人的に島田荘司は愛すべきバカミスキングでもあると思っている(爆)。

2010-07-25 19:13:23
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「犬坊里美の冒険」/昔「黒死館」を読了した知人の第一声は「探偵役の法水に殺意を覚えた」だった。そして本作もまた違う意味で探偵役の犬坊里美に殺意を覚える小説である。事ある毎に「じゃなくてぇー」「ですぅ」と語尾を伸ばすその喋り口調に果たしてあなたは付いていけるだろうか……。

2010-07-25 19:14:22
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「ハリウッド・サーティフィケート」/本作は女優松崎レオナが主人公の、御手洗シリーズの番外編なのだが、問題はこの作品が壮大な物語の序章に過ぎないという点である。そして今に至ってもその続編は書かれていない。なので本作は「消化不良上等!」という読者にしか勧められない作品である。

2010-07-25 19:15:38
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「御手洗パロディ・サイト事件」/【警告】本作は島田荘司が腐……もとい熱烈なファンと共に作り上げたファンブック的な作品である。そのため普通の読者には到底お勧めできない。一応柄刀一や霧舎巧も参加しているのでそれ目当てに読むのもアリかもしれないがあくまで自己責任でお願いします。

2010-07-25 19:16:40
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみにその3で取り上げた「パロディ・サイト」には「パロサイ・ホテル」なる続編があるのだけれど、これもまあ前作同様あくまで自己責任で(略)。そんな島田作品で個人的に好きな三作を選ぶとするなら「占星術殺人事件」「暗闇坂の人喰いの木」「切り裂きジャック・百年の孤独」。

2010-07-25 19:17:54
麻里邑圭人 @mysteryEQ

人に勧めるには注意が必要な作品シリーズ第11回・山口雅也編をお届けする。長らくシリーズ作品が途絶えていた山口雅也だが、一昨年から再びキッド・ピストルズと垂里冴子の新作を発表。今秋には「キッド・ピストルズの醜態」を上梓するという。次は是非トウキョー・サムをお願いします(要望)。

2010-08-01 20:12:18
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「垂里冴子のお見合いと推理」/これまでに垂里冴子シリーズは三作品書かれているが、いずれも通常の山口作品と思って読むと、そのあまりにも軽い作風に面食らうことだろう。なので、このシリーズを読む時はなるべく山口雅也という作家に対する固定概念を捨て去ることをお勧めしたい。

2010-08-01 20:13:09
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「ステーションの奥の奥」/垂里冴子シリーズとは逆に本作は山口初心者には絶対に勧めてはいけない作品である。ある程度山口作品を読んでいれば何のことはない本作だが、どうも初心者が読むと余裕で壁本になるらしい。まあ、真相が○○○では怒る気持ちも分からなくはないが……。

2010-08-01 20:14:07
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「13人目の探偵士」/本作はもともとゲームブックだったため、作中に選択肢による分岐があるが、基本どれを選んでも真相自体は変わらない。故にページ数に反して本編の長さは短めなので、その辺りは要注意と言える。まあでも一番要注意なのは、本作よりもむしろゲーム版の方だったり(爆)。

2010-08-01 20:15:18
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみに一点補足しておくと「ステーションの奥の奥」のノベルス版は「古城駅の奥の奥」に改題されているのでご注意を。そして恒例の好きな山口作品三作は「キッド・ピストルズの妄想」「~慢心」「日本殺人事件」。「~慢心」はミステリとしてというより、物語として好きな作品。

2010-08-01 20:16:26
麻里邑圭人 @mysteryEQ

叙述トリックのある作品を挙げることはネタバレにあたるが、唯一例外なのがこの人の作品である。……というわけで人に勧めるには注意が必要な作品シリーズ第12回・折原一編である。まあ折原一の場合、叙述トリックではないことを指摘する方がむしろネタバレ扱いのような気がする(苦笑)。

2010-08-07 19:49:48
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「倒錯の帰結」/本作は前後どちらからでも読めるという仕組みなのだが、ぶっちゃけそうすることにあまり必然性はなかったりする。また倒錯三部作の完結編と銘打っていたにも関わらず完結した気がまるでしないのもアレ。まあ早い話「細けえことはいいんだよ!」の精神で読むべき作品である。

2010-08-07 19:51:09
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「タイムカプセル」/折原作品には仕掛けを成立させようとするあまり結構真相が強引なものが目立つが、その中でも一際強引なのがこの作品である。詳しくは語れないが、その真相を知った瞬間、大半の読者が脱力するに違いない。本作はある意味「六とん」に通じるものがある作品である。

2010-08-07 19:52:10
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「螺旋館の殺人」/本作の講談社文庫版解説で新保博久氏が館シリーズの読者が間違って手に取る危険性(?)を指摘しているが正にその通り。実を言うと自分も昔本作を館シリーズと勘違いしていたことがある(爆)。まあとはいえ、そういった勘違いさえしなければ問題なく楽しめる良作だと思う。

2010-08-07 19:53:27
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみに「螺旋館の殺人」はその後、文春文庫で出版される際に「螺旋館の奇想」と改題されているので上記のような被害者(?)は減ったと思われる。そして恒例の自分の好きな折原作品三作は「七つの棺」「倒錯のロンド」「異人たちの館」。黒星警部の「うひょ」がたまりません(笑)。

2010-08-07 19:54:36
麻里邑圭人 @mysteryEQ

あと折原一はエロミス研的に外せない作家でもある。これは前から思っていることなのだけど折原作品において童顔巨乳の美女が登場する割合が高いのは作者の趣味なのだろうか。そんな折原作品でエロミスのイチ押しは「灰色の仮面」。勿論この作品にも童顔巨乳の美女が登場するのは言うまでもない(爆)。

2010-08-07 19:55:57
麻里邑圭人 @mysteryEQ

今まで多くの癖のある作家を輩出してきたメフィスト賞だが、そのメフィスト賞もこの人なくしては誕生しなかった。……というわけで人に勧めるには注意が必要な作品シリーズ第13回・京極夏彦編である。個人的には最近の作品はパッしない印象があったけれど「死ねばいいのに」は久々の快作でした。

2010-08-14 13:56:10
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「どすこい」/地響きがする――と思って戴きたいという文からあなたは何を想像するだろうか。……答えはデブの大移動。本作はデブについてひたすら熱く(熱苦しく?)語った空前のデブ小説である。京極夏彦のイメージを京極「肉」彦に変えたくない人は絶対に読むべきではない作品である。

2010-08-14 13:57:19
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「陰摩羅鬼の瑕」/ミステリ、特に本格においては途中で犯人が分かるような作品は失敗作という認識がある。しかしながら本作においてはそれは当て嵌まらない。何故なら作者ははなから分かるように書いているからである。では何故そういう書き方をしているのか。それこそが本作の読み所である。

2010-08-14 13:58:25
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「後巷説百物語」/これは京極夏彦に限った話ではないが直木賞は何でこれが?と思う作品が受賞することが多い。別に「後巷説」が悪い作品というわけではないが直木賞受賞作と言われると正直首を傾げたくなる。これだったらまだ前年の「覘き小平次」で受賞させた方が良かったような気が……。

2010-08-14 13:59:34
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