気象サイエンスカフェ 2012/9/26 台風研究のこれから
- kobiwa_net
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ここから気象庁、JTWC、NRL、NOAAのウェブページなどを示しながら現在発生している1217、1218の解説。一時中心気圧が895hPaまで下がる予測が出ていた17号だが、進行方向にシアが出たことなどから各モデルとも弱める予想になっていたーみたいな話でした。
2012-09-28 01:49:29その後JMAの台風予報の基礎になっているGSMと台風アンサンブルの紹介。基礎なんだけど、実際にGSMの予測値を見てみると、1217号の中心気圧はそこまで下がっていない。実はこれがGSMの最大の弱点で、あまり極端な値を扱えないので、急発達が表現できない。
2012-09-28 01:54:18以前のTYMはもう少し急発達に強かったが、GSMに切り替える際に海面からの熱輸送のパラメータが変わっている。これを戻せばもちろん台風の急発達は表現しやすくなるが、日々の予報では逆にパフォーマンスが落ちてしまうので、、そういうわけにいかない。
2012-09-28 01:56:50GSMの問題点はもう2つあって、発生直後で渦が安定していないときに、やけに真っ直ぐ北上するコースを出すことがある。北上バイアスといって、渦を常に円で扱っているために偏りが出る。これは台風が発達して渦が円に近付くと解消される。
2012-09-28 01:59:43もう1つ水平解像度がまだ荒いという問題もあって、台風についてはGSMは案外当てにならない。ので、予報官がドボラック法やらなにやらいろいろ駆使して補整して出しているのが今の台風情報。
2012-09-28 02:02:09とはいえドボラック法も全然無双ではなくて、当たり前だけど誤差がある。一時、米軍が航空機で台風の直接観測をしていた時期があって、このときドボラック法による推定値と、直接観測値を比べたら、数十hPaくらいのばらつきは普通にあった。
2012-09-28 02:05:081215号が沖縄を通過したとき、予報では910hPaだったのが、アメダスではそれほど下がらなかったのも、大きい方ではあるがその誤差の範囲内といえる。台風観測は今もそこまで正確にできているわけではない。
2012-09-28 02:07:15これを正確にするにはもちろん飛行機飛ばして直接観測すればいいわけで、世界的には、米国も韓国も台湾も、航空機観測をやる方向に行っている。とはいえそれには莫大なコストがかかるわけで、このあたりはみなさんのご意見をうかがいたい。予報の精度を上げるためにどこまでお金を使えるか。
2012-09-28 02:11:50これは専門的だが、台風研究でもうひとつ問題なのがベストトラックについて。台風の経路や中心気圧等のデータの公式記録みたいなものだが、各国の機関がそれぞれに作っているので、使ったデータ等の関係で、国ごとにそれぞれ違う。特に気候研究などではこれが問題になる。
2012-09-28 02:17:08研究者によって使っているベストトラックが違うと、いろいろまずいのはお判りいただけると思う。さらに地域による違いだけでなく、観測技術は年々変わっていくので時間的な均質性を保つのもけっこう難しい。
2012-09-28 02:19:09世界的な研究の話をしたのでついでに言うと、今、日本の台風研究者は危機的なくらいに少ない。どれくらい危機的かというと、私(和田さん)がいなくなったらもう誰もいないくらい。台風に関心のある研究者は多いのに。
2012-09-28 02:22:09事前に受け付けた質問で気になったものが1つあった。1212号が、台風になる前にいったん温帯低気圧になってしまったという話。当時のデータを確認したが、構造の変化は見出しがたい。温低化はしていなかったと考えるべき。
2012-09-28 02:28:55ベストトラック http://t.co/IKhqnlXx の経路もちょっとおかしい。いずれ修正されるだろう。どうしてこうなったか現場にきいていないのでわからないが。
2012-09-28 02:30:26(質問タイムがあって、それはそれで盛り上がったんですが、割愛します)今日のまとめ。台風研究は今もさまざまな不確かさに囲まれている。モデルの不十分さ、観測点の少なさ、データの不均質。これを踏まえた上で、台風研究は今後どの方向に向かえばよいか。
2012-09-28 02:36:11モデルや観測点の問題は、お金を十分にかければある程度は解消することができるけど、じゃあどこまでお金をかけられるのか。そういうことをみなさんに知っていただいて、考えていただきたいと思っている。
2012-09-28 02:38:45ほんとは面白い脱線話もっとあるんですが、エッセンスはこんな感じでした。台風研究の現状と課題が網羅されていて、とても面白かったです。
2012-09-28 02:45:24すいません、気象庁→気象研です RT @adonis_fish (略)最初の配属が舞鶴の海洋気象台で、海洋観測のデータをどうしたらもっと活用できるか、というところから、海洋結合モデル、波浪モデルの開発に携わるようになった。で、必然的に気象庁スパコンの管理もしている。
2012-09-28 08:10:57竜巻台風は聞けなかったみたい(´・ω・`)
@adonis_fish お疲れ様です。まずは盛り上がったようでなによりです。 竜巻台風の話は大丈夫です。他にも当てはありますので、こちらでいろんな方に聞いてみます。 ご報告お待ちしております。
2012-09-27 00:36:16@kobako すいません、モデルの話で盛り上がってしまってけっきょく竜巻台風きけませんでした。。あとで報告しますが…
2012-09-27 00:10:41