【漫画論豆知識】日本では、コマとコマの間のスキマを「間白(まはく)」という造語で呼ぶようになったが、アメリカのマンガ研究家スコット・マクラウドの著書(原書)では「Between(中間に)」という副詞を名詞的に用いている。
2012-09-26 03:05:31註:夏目房之介の漫画論では、「コマの隙間」ではなく「中身が空白のコマ」も間白と呼ぶケースが含まれている(『マンガはなぜ面白いのか』p162)。「余白そのものをコマにする」という逆転的な発想(p165)によるもの。
註:マクラウドのテキストでは「Gutter(溝)」という表現もある。
しかし、実際には「スキマのないコマ割り」「重ねゴマ」などがコマ割りでは平気で用いられるので、漫画論の現場から言うと「間白」は実は使いにくい言葉だったりします。
2012-09-26 03:15:11そもそも「色のついた間白」という、赤いチョークを「赤い白墨」と呼ぶような事態にもなりますし。「パーティション(仕切り)」などと呼んだ方が汎用性は高いのかもしれません。
2012-09-26 03:15:19註:造語の発案者である夏目の漫画論では「間白の自己主張」(前掲書p164)と名付けられた、「空白による漫画表現」が重点的に論じられているので、「コマとコマの分節」に与えられた名称ではない、とも言える。
映像だと「コンテを切る」とも言いますし。割るのか、切るのか、あと「付け足していく」のかっていう言い方だけでも多様なんですよね>コマ割り RT @miyamo_7: @izumino 「割る」という概念入ってるのもわりと思考をリードしますよね。映画でもカット割とかいうけど
2012-09-26 03:40:53香魚子さんの『もう卵は殺さない』より。この謎の縦線一本で時間が分節されてセリフに「間」の生まれる面白さが http://t.co/Kt9Jj5hr
2012-10-10 21:41:35『ナラティヴ・メディア研究』二号の佐々木果さんの論考を読み返す。ここからグルンステンも再読するか。ややこしいのは、以前もつぶやいたけど「コマ」「コマの枠線」「間白」などの用語に整合性がなくて、あらゆるコマ割りを説明しきれないことだ
2012-09-27 18:20:42註:佐々木果=ササキバラ・ゴウ氏
間白とは、絵やコマが必ず「囲まれている」という前提でしか成り立たない表現だが、むしろひとつの絵の間に境界線を一本入れただけで「ふたコマ」が生まれるのであって、「コマの枠線」は周囲の絵との区切りの集合だと言える。つまり、コマ枠が境界(間白)を生むのではなく境界がコマ枠を生んでいる
2012-09-27 18:24:30ただ、日本の漫画論は…アメリカのスコット・マクラウドもだが、「コマとコマのスキマ」である間白(英語ではビトウィーン)を「ふたつのコマを区切るもの(橋渡しするもの)」の代名詞として使う傾向があって、もっとシンプルな「境界線」を語ることの方が「例外」として処理しなければならない
2012-09-27 18:29:13註:【語ることの方が】→【語ることの方を】
便宜的に言えば、漫画のコマには「コマ枠線」があり、枠線は「枠内」と「枠外」の概念を生む(『笑わない数学者』的な意味で)。間白というのは、どのコマにも属さない「枠外」のことだが、間白がコマを割るわけではない。コマを割ってるのはあくまで枠線。でも慣例的にコマとコマの間は間白と呼ばれる
2012-09-27 18:35:37これは理論的な本質とは深く関係しない、記述や研究のしやすさの問題でもあるが、統計や計測を利用する際のネックにもなる。すべての区切り線を「コマの枠線」と等価に扱うと「コマの数を数えにくくなる」からだ。その意味では、間白をコマの単位の基準とし、間白に準じる例外を処理した方が数えやすい
2012-09-27 18:41:50コマ枠は「四方が閉じ(切れ)ていること」で定義できるし、コマとコマの間は、間白というよりと「枠間」あるいは「コマ間」と呼んだ方が汎用性は高そうだ。そして空白がある場合は、ハイパーフレームの外側を余白、内側のコマ間を間白と呼び分けることもできる
2012-09-27 19:47:34