蒲田さんは、「早朝の高架下」で登場人物が「待つ」、「卵」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://t.co/CP2iKeOK
2012-10-20 02:25:29フカマチは膝を抱える。震える肩を諭すように撫でて。目の前にはホールトマトの缶に入った、きらきらの卵。「ねぇもう帰んない? あたし付き合いきれんよ」タマルと名乗る少女。「いやだ」卵には凍れる世界が眠っていて、それをフカマチは待っている。電車が人を運ぶ音。白みつつある空。もうすぐで。
2012-10-20 02:37:08誰もいない森で倒れる木は音を立てない。何だかそれは少し寂しい。タマルがフカマチについてきた理由はそれだ。というかタマルがフカマチに関わる時は概ねいつもそうだ。しばしば一緒にいるから周囲には誤解されるが、別にタマルはフカマチが好きではない。
2012-10-20 03:08:39なのに、フカマチはどう思っているのか、タマルにだけ話をするのだ。この街で一番最初に紅葉する葉っぱとか、親猫より大きい仔猫とかの話を。このFullallozen Eggとかいうのもその一つだ。フカマチはそれらを探し、見ようとする。
2012-10-20 03:09:07(何でかなあ)とタマルは考える。何で自分はフカマチに付き合ってしまうのだろう。タマルはまだ子供だが、自問すれば答えはちゃんと出てきた。世界を少しでも多く存在させたいからだ。
2012-10-20 03:09:55およそフカマチというのは、現象の観測者として不十分だ。倒れる木を探し出して傍に行き、その音を聞くのはとても上手い。だけどそれ以上のことは何もしない。誰もいない森にフカマチだけがいるようなもので、フカマチを観測してくれる人がいない。
2012-10-20 03:10:18早朝に起こされて寒い中高架下で佇むのは楽しいことではなかったが、それを面倒がってぬくぬくと寝ることで世界が一つ豊饒さを失うのはどうにも寂しくもったいない気がした。タマルは寂しがり屋で、それ以上に吝嗇家なのだろう。
2012-10-20 03:11:22