「リディアンハウス殺人事件」 - 第18章 - 【事件編】「ゲームオーバー」

作家：リディアン @arito_lydian2

第18章 【事件編】「ゲームオーバー」 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

しゃぺんは胸に何か固いものが当たるのを感じた。 しゃぺんはハッとして、みなもの頭に回していた手をゆっくりとほどいた。 しゃぺんの胸にはピストルが突きつけられていた。 #lydianhouse

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それを握っているのはもちろんみなもだった。 すでにピストルのハンマーは上げられており、指は引き金に添えられている。 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

しゃぺんはゆっくりと両手を上げた。 しゃぺん：「ま、待て！俺じゃない・・・。『ARI2』は俺じゃないんだ」 しゃぺんはガクガク震えながら言った。 #lydianhouse

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みなもはゆっくりと顔を上げた。 先ほどまでのみなもとはまったく別人の、鬼の形相でしゃぺんを睨みつける。 みなもはピストルをしゃぺんに突きつけたまま言った。 みなも：「『ARI2』なんてもうどうでもいいの。それよりも・・・」 #lydianhouse

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みなも：「あなた、『こよみ』って知ってるでしょう？」 しゃぺん：「あ、ああ知っている。俺の前の彼女だ」 #lydianhouse

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みなも：「私はこよみの妹よ。 姉はあなたと別れた後覚せい剤中毒になり、そして２年前に私も同乗していた交通事故で、この世を去ったわ。 あなた、付き合ってる時、姉に覚せい剤を与えていたでしょう！」 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

みなも：「私は色々調べたし、弁護士や警察にも掛け合った。 でも、どうしてもその証拠が見つからなかった。 警察は結局証拠不十分として、その事件としては取り扱ってくれなかった」 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

みなも：「あなたのせいで、姉はあんなことになったのに、 姉は１人で覚せい剤中毒となり勝手に死んだものと見なされたのよ！！ 姉はどれだけ無念だったでしょうね！！！」 #lydianhouse

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みなも：「私は身元を隠してひたすら１人でその原因を探したわ。 そしてあなたにたどりツイタノヨ・・・」 みなもはうつろな目をして言った。 #lydianhouse

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しゃぺん：「ま、待て！俺は、俺はこよみを──」 しゃぺんはヒステリックに弁解しようとしたが、 その後の言葉は続かなかった。 みなも：「ゲーム・オーバー」 #lydianhouse

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みなもはそう言って、引き金を引いた。 しゃぺんの背中から血しぶきが部屋中に飛び散った。 しゃぺんはゆっくりとベッドにあお向けに倒れた。 その後、胸からも血が噴出し、それは天井まで達するほどだった。 みなもはその血を頭からかぶっていた。 #lydianhouse

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やがて、みなもはピストルを自分のこめかみに向けた。 みなも：「姉さん。終わったわ。私も今行きます」 みなもはそう言って引き金を引いた。 #lydianhouse

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ターンという銃声がした。 その後、人が倒れる音がした。 ──　一瞬の静寂があった　── #lydianhouse

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その後、 さっきまで大荒れだった天気は嘘のように晴れ上がり、 どこからか小鳥や蝶々がやってきて楽しげに飛んでいる。 空気は澄み切って爽やかにそよぎ、 草木は鮮やかな緑色を放ち始めた。 #lydianhouse

作家：リディアン @arito_lydian2

つい先ほどの悲惨な連続殺人や、 この島に訪れていた５名など、 まるで最初から存在しなかったかのように──。 （第18章：終） #lydianhouse