塔1988年~1992年を読む

藪内亮輔氏@Yabu_Snakeによる1988年、1990年、1991年、1992年の「塔」通読の感想まとめ。 「1988ー1992「塔」の印象 ・吉川無双&編集長就任 ・前田さんの詩時評がコンスタントにおもしろかった。 ・とにかく短歌時評がすごかった。栗木京子の怜悧な状況解剖、花山多佳子のスパイシーで苛烈な批判精神。これはみんな読むべき。」
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藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

塔の別動隊(?)として活躍中の京大短歌会もそろそろ一周年になります。ただ今、新入会員を募集中です。お知り合いの方に「これは」と思う人がいられたら、吉川まで紹介して下さい。吉川(塔1988.05編集後記)

2012-10-23 16:45:58
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

歌歴一年のヨシカワさんの評論きゃわわ

2012-10-23 17:53:12
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

石に咲く花蝶となり飛びゆきてとまるかなたの石に花咲く/大山令彦

2012-10-23 18:01:09
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

日に灼けてくすみし網戸にしんしんと枡目ひとつを埋める星あり/吉川宏志(塔1988.11新樹集)

2012-10-23 21:49:01
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

伯林(ベルリン)にルビふるごとくぼたん雪”僕に恋するひと”を恋する(吉川宏志)を栗木さんが批評している。〈この一首、顫いつきたいほどに美しい上句が、まだるっこしい下句のために台無しになっている。(略)なぜもっと順直に表現し得なかったのかと惜しまれる。〉#塔1988

2012-10-23 22:07:44
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

一方、よく知られた一首はこうなっている。〈伯林(ベルリン)にルビふるごとき夜の雪 教室にまだきみは残れり〉#塔1988

2012-10-23 22:08:29
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

〈ルビふるごとくぼたん雪〉がどちらかというとぼやんとした雰囲気を出しているのに対して、〈ルビふるごとき夜の雪〉は夜という漢字、「き」の脚韻によって凛としたたたずまいを見せている。#塔1988

2012-10-23 22:15:57
光森裕樹 @mitsumo

@Yabu_Snake 下句が「"僕に恋するひと"を恋する」のものは、京大短歌1号に出ていましたね。歌集では「教室にまだきみは残れり」になっていましたが、栗木さんからの指摘があったのですね。

2012-10-23 23:11:35
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

@mitsumo 栗木さんによる評は基本は褒めてるんですけど、ときどき批判という感じです。改作はどれも発見の句を平明な句に変えてますね。冬の字の二つの点を…の歌に対して、〈小細工を弄しないところに作者の大物ぶりがうかがえて頼もしい〉とも…。(笑)

2012-10-23 23:40:35
光森裕樹 @mitsumo

@Yabu_Snake でも、かなり先見性のある評ですよね。関係無いですが、吉川さん関係ならこちらの資料もご興味があれば(ご存知かもしれませんが)。 http://t.co/K0ALvA2M http://t.co/Mpf3JO46 明日の受賞発表号楽しみにしています!

2012-10-24 21:51:20
光森裕樹 @mitsumo

吉川宏志さんには、同じように初出歌と歌集収録歌が異なる例があり「ホルマリンにS字の蝮はほぐれゆく あわれ毒持つ哺乳類なし」 (現代短歌雁 9(1989))は、歌集では「フォルマリンに蝮が黒く沈みおり あわれ毒持つ哺乳類なし」になっています。

2012-10-23 23:14:00
光森裕樹 @mitsumo

どちらの歌も、歌集収録の歌のほうが断然よくなっていると感じます。上句、下句それぞれに表現の工夫なり物事の発見なりを置くよりも、どちらか一方を抑えることで、他方に重心を寄せることが大切なのかもしれませんね。

2012-10-23 23:18:16
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

こんな歌もありました。〈ワイパーのように黒板消す君が「ヘンリー七世」届かずにいる(吉川宏志)〉資料を紛失したので確かめられないですが、これは〈冬の昼黒板を消すきみの手が「ヘンリー七世」に届かずにいる 〉となっていたと思います。# 塔1988

2012-10-23 23:47:32
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

吉川さんの月詠がえぐいほど上手い歌ばっかりで殆ど作品欄の最初に載せられていてびびる。#塔1990

2012-10-29 18:15:59
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

初恋のまえにやさしき記憶あり橋の裏より螢浮かべば/さるすべり舗道に細き影落とすそのかげに沿い散れる白花/吉川宏志 #塔1990

2012-10-29 18:26:39
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

河野さん登場。〈わずか読めばすぐに疲れて眠りゆく窓の外(と)くらく雨が降るらし〉河野裕子 #塔1990

2012-10-29 20:26:47
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

(二月号田中栄選歌欄トップに載ってました。) #塔1990

2012-10-29 20:30:18
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

『詩法Ⅹ』に坂野信彦が書いている「比喩全廃論」への反発が強い。栗木京子が時評で反論し、池本一郎が評論を書いている。「比喩全廃論」は、短歌という律文は呪術的であるべきであり、比喩・散文という理知的操作は害である、という論らしい。 #塔1990

2012-10-29 22:32:04
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

吉川さんが塔で無双モードに入っている。作品は常に選歌欄の一番目、選歌後記などでも絶賛ばかり。〈最近の作者の歌は際だって内容が濃く冴えている。…今までこの下句の様に生新に言挙げした事があっただろうか。〉霧雨のなかに噴水ひらきおりわれの代わりを誰も生きるな/吉川宏志 #塔1990

2012-10-29 22:42:12
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

続。〈今月は特に。…若さの特権のような勁さは感動的ですらある。…〉竜胆の鉢を胸まで持ちあげて君ならではのほほえみをする/いつもより遠くの駅に呼びだして肩寄せ合えり 微分のさくら/自転車の荷台は銀に濡れており星の密度の濃くなれるころ/吉川宏志 #塔1990

2012-10-29 22:46:32
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

続。最初に挙げた歌の、特に下句、このセリフに宿る野性味は大森静佳の近作への(私の)印象と幾分かぶるところがある。ひとり吉川祭りしてしまってすみません。でも、このあたりの塔誌ではそれぐらい圧倒的な存在感。 #塔1990

2012-10-29 22:51:26
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

そして河野裕子も安定の田中栄欄トップ掲載。歌はあまり引く気にならないが…〈昨夜(よべ)ひと夜体力使えど歌ならず仕様がなきなり梅を見にゆく〉河野裕子 #塔1990

2012-10-29 22:57:50
藪▒▓█▇▅█▇▅▂ @Yabu_Snake

@hanzodayo 正直すごいっす。こんなの青蟬に入ってたっけ?的な超いい歌が20くらいあります。

2012-10-29 23:11:48
替芯 @shinkoukan

@Yabu_Snake ごく最近青蟬読みましたけど、どうやら青蟬には入ってない歌ばっかりみたいです……なんという秀歌量産…………

2012-10-29 23:13:21