表象文化論学会ミニシンポジウム「イメージの権利」、その後の議論

2012年11月10日(土)に行われた表象文化論学会のミニシンポジウム「イメージの権利」を受けての議論です。
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Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

似たような光景は「精神分析学」の成立可能性を問う場面でもみられる。「学とかありえない、ただの悪質なフィクションにすぎない」とみなす見解も有力。ドゥルーズ『対話』における"Psychanalyse morte analysez"は精神分析批判以後の「分析」(フロイト以降の)を問うた

2012-11-11 11:05:06
オザンファン @maerchendiver

Il faut …って、日本語が母語の人間にとっては怖い表現だ。「あなたは〇〇せよ」でも、「私たちは〇〇せねばならない(この場合は「私たち」という共同体の外縁がどこにあるのかが問題だけど)」でもない。ilって何だよ、みたいな。同じようにil y aも怖い。ああ存在だ、みたいな。

2012-11-11 11:05:11
オザンファン @maerchendiver

@yishioka 無条件・無根拠に当為を課す「il faut imaginer」という表現が、紋切り型に近いレトリック(文章の修辞技術)でしかない、ということですか?

2012-11-11 11:06:54
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

.@maerchendiver いや、「ベケット以降のImaginationないしimage」という問い方。こういうのを「文学的ですねえ」と一蹴する学的な態度も強いわけですね

2012-11-11 11:07:58
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

わたしはレトリックを「にすぎない」という蔑称として用いるつもりは全くない。

2012-11-11 11:09:05
オザンファン @maerchendiver

@yishioka ベケットが「想像力の死」と「想像せよ」を宣言した、それ以降の時代における想像力ということでしょうか。ベケットの件の表現は、少なくとも作品内在的に解釈する限り、特段ホロコーストのような絶対的な事件を前提としているのではなさそうなところも、よく分からないのです。

2012-11-11 11:17:17
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

@maerchendiver おっしゃるとおりです。ですが、アドルノがベケットを褒めた云々も含めて、WW2以後の芸術をめぐる言説における「クリシェ」だろうと思います。

2012-11-11 11:18:35
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

@maerchendiver ただ同時に、個別の文脈に語の用例を厳密に囲い込む作業が「絶対に必要」(別のIl faut〜?)なのと同様、「時代状況」についての言明もまた、何らかの形で必要であるように思えることです。「よくわからない」という禁欲もすべてではない。

2012-11-11 11:21:18
オザンファン @maerchendiver

@yishioka (作品内在的な)ベケットによる一節の解釈を離れて、「ホロコースト以降想像力は死んだ(だからこそ想像せよ)」という含意が形成・共有され、現在まで続いているということでしょうか?「死んだ頭」は1972年刊行で、何故この時期に「想像力の死」なのかというのも疑問です。

2012-11-11 11:31:11
オザンファン @maerchendiver

@yishioka すみません、『Imagination morte imaginez』は1965年が初出ですね。

2012-11-11 11:35:39
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

@maerchendiver 私自身はその含意について、「現在まで続いている」とは考えてはいません。「WW2以後」を問題化する言説における出発点としてよく選ばれるだろうとは思いますが。だからアドルノの「アウシュヴィッツ以降の詩」の方を示唆したのですね。

2012-11-11 11:39:21
オザンファン @maerchendiver

@yishioka クリシェとしては(ベケットを離れて)「アウシュヴィッツ以後」という意味合いが付されている、ということでしょうか。アドルノも、自身のテーゼと同じヴェクトルを指すものとして「Imagination morte imaginez」を捉え、それゆえに評価した、と。

2012-11-11 11:50:05
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

.@maerchendiver アドルノは想像力云々の言明を直に褒めたのではなく、ベケットの作品を褒めたわけですが、その各々に「飛躍」を含みつつも一定の連鎖をなす形で「クリシェ」が形成されたのでは?という憶測だと思ってください。その推論連鎖の各々を「疑う」ことが容易なのもミソです

2012-11-11 11:52:21
オザンファン @maerchendiver

@yishioka やっと理解できました。いろいろとご教示ありがとうございます。調べると、アドルノのベケット礼讃は『Imagination morte』以前から始まってますね。

2012-11-11 12:20:55
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

.@maerchendiver このような連鎖から成り立つプロブレマティックは「健全ではない」という考えが出てもおかしくはないわけですね。論理的言明の束に還元するならばそもそも「アウシュヴィッツ以降、詩を書くことは野蛮である」もナンセンスになるでしょう。批評と学問の関係。

2012-11-11 12:23:22
オザンファン @maerchendiver

「ホロコーストは想像不可能」と言うとき、人間の能力の限界という意味での可能性を記述的に表現したものなのか、それとも倫理的かつパフォーマティヴな否定(むしろ禁止に近い?)なのか。あるいは「『正しく』想像することは不可能」、「想像したものの妥当性を検証することは不可能」の意なのか。

2012-11-11 12:32:53
オザンファン @maerchendiver

@yishioka 「健全ではない」というか、私には推論の連鎖の中には倫理的な判断が含まれているように思えて、にも拘らず「である」(野蛮である/不可能である)と記述されがちなところに、違和感を拭えないのです。

2012-11-11 12:43:54
Yoshiharu ISHIOKA @yishioka

.@maerchendiver 真/善/美の分節のもとでの芸術の扱いが「倫理」に帰着するケースは多いですし、「政治と美学」の問いでも似たことはあります。しかし今は「快」自体への依拠こそが目立つので、アドルノパラダイムはすでに終焉しているのでは?とも思いますね。

2012-11-11 12:52:14
KADOBAYASHI Takeshi @kanbaya

シンポジウム「イメージの権利」でのイメージそれ自体に権利を認めるのは無理があるのでは?とのフロアからの質問がTL上で多少話題になっていたが、この議論の道筋を作ったのは@conchucame @zepkark @yishioka

2012-11-11 23:11:26
KADOBAYASHI Takeshi @kanbaya

(承前)シンポタイトル「イメージの権利」に備わる多義性には「イメージを誰かが所有する権利」とは別に「イメージそれ自体が主張する権利」という含意もあるのでは?という僕の発言だったので自分の立場を明確にしておきたい 。@conchucame @zepkark @yishioka

2012-11-11 23:11:55
KADOBAYASHI Takeshi @kanbaya

僕自身は「イメージそれ自身の権利」の可能性を問うことには一定の思想的な意義があると考えるが、このように学会の外から参加して異なる立場の発言をしてくれる聴衆がいるのは、明らかに表象文化論学会にとってよいことだと思う。@conchucame @zepkark @yishioka

2012-11-11 23:12:08
KADOBAYASHI Takeshi @kanbaya

(承前)ただし、分析美学の 立場からの発言であることを発言者が明確にしてくれていたら、その場の議論がより生産的になっただろうとは言えるが。@conchucame @zepkark @yishioka

2012-11-11 23:12:10
鶏人間 @zepkark

@kanbayaさんが仰る「異なる立場の発言」 に関しては全く同意しております。急いで補足だけしておきますと、私が懸念していたのはディシプリンの違いに議論が狭小化されてしまう可能性でした。@conchucame @yishioka

2012-11-11 23:20:49
鶏人間 @zepkark

勿論、立場の違いを明確にして意見を表明するメリットもあると思います。ただ、第三者、部外者が見たときに、単に違う陣営の人たちが文句をつけあっている、といった印象を与えてしまうのは勿体無い、ということです。

2012-11-11 23:22:42
森功次/MORI Norihide @conchucame

@zepkark すいません、大変興味深い話題ですし、話題作りの一端を担った手前なにかレスポンスしたいのですが、今夜のフットサル放映が終わるまでネット開かないようにしておりますので、返事はもうしばらくお待ちください…。ほんとすいません。 @kanbaya @yishioka

2012-11-11 23:43:54