万子春 作:まんべくん

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NONE @NONENON111

おまえ杜子春知っとるけ?

2012-11-24 22:33:06
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杜子春ならぬ万春考えたんだけど読んでもらってもいいッ?

2012-11-24 22:34:14
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(^-^)おまえ杜子春知らないとかめっちゃ教養ないな。ヤバイぞ!

2012-11-24 22:34:51
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('-')では読みたまえ

2012-11-24 22:39:18
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長万部の西の豊津あたりに、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。若者は名は万春といって、元は金持の息子でしたが、今は財産を遣い尽つくして、その日の暮しにも困る位、憐な身分になっているのです。

2012-11-24 22:40:00
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何しろ長万部と言えば、天下に並ぶもののない、誰も名前も知らない町ですから、人は素通りし車しか通らない状態でした。 万春は相変らず、豊津あたりでぼんやり空ばかり眺めていました。

2012-11-24 22:42:26
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「日は暮れるし、腹は減るし、その上もうどこへ行っても、泊めてくれる所はなささうだし、こんな思いをして生きてる位なら、いっそ川へでも身を投げて、死んでしまった方がましかも知れない。」 万春は、こんな取りとめもないことを思い巡らしていたのです。

2012-11-24 22:43:11
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すると、どこからやって来たか、突然彼の前へ足を止めた老人がいます。じっと万春の顔を見ながら、「お前は何を考えておるのだ。」と言葉をかけました。 「私ですか。私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです。」

2012-11-24 22:45:18
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老人の尋ね方が急だったので、万春はさすがに眼を伏せて、思わず正直な答えを言いました。「そうか。それは可哀相だな。」 老人はしばらく何か考えているような仕草で指を差し

2012-11-24 22:49:13
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「ではわしが良いことを一つ教えてやろう。今この夕日の中にお前の影が地に映ったら、その頭に当る所を夜中に掘って見るがよい。きっといっぱいの黄金が埋まっているはずだから。」「本当け?」

2012-11-24 22:49:48
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万春は驚き、更に不思議なことには、あの老人はどこへ行ったか、もうあたりにはそれらしい、影も形も見当りません。万春は老人の言うとおりに土を掘ってみるとそこにはたくさんの黄金がでてきたのです。一日の内に、万春は大金持になりました。

2012-11-24 22:52:51
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大金持になった万春は、すぐに立派な家を買って、贅沢な暮しを始めました。今までは道で行き会っても、挨拶もしなかったクズどもが、朝夕遊びにやって来ました。それも一日一日と人数が増して、半年経った頃には、長万部で万春の家へ来ないものは、一人もない位になってしまったのです。

2012-11-24 22:56:31
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万春はこの客たちを相手に、毎日演会を開きました。しかしいくら大金持でも、金には際限がありますから、さすがに贅沢な万春も、一年二年と経つ頃にはだんだん貧乏になり出しました。そうすると人間は薄情なもので、昨日までは毎日来た友だちも、今日は挨拶一つしてきません。

2012-11-24 23:00:33
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そして三年目の春、杜子春が一文無しになって見ると、長万部の中には彼に宿を貸そうという人は1人もいなくなってしまいました。 今ではコップ一杯の水も、恵んでくれる人いません。そこで彼は夕方、もう一度豊津あたりに行って、ぼんやり空を眺めながら、途方に暮れて立っていました。

2012-11-24 23:02:42
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するとまた老人が、どこからか姿を現して「お前は何を考えてるのだ。」と、声をかけるではありませんか。万春は老人の顔を見ると、恥ずかしそうに下を向いたまましばらくは返事もしませんでした。が、老人はその日も親切そうですから「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです。」

2012-11-24 23:06:42
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と、恐る恐る返事をしました。 「そうか。それは可哀相だな。ではわしが良いことを教えてやろう。今この夕日の中に立ちお前の影が映ったら、その胸に当る所を夜中に掘ってみるがいい。きっとたくさんの黄金が埋まっているはずだから。」老人はこう言うと、今度もまた人ごみの中へ消えていきました。

2012-11-24 23:07:28
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万春はその翌日から、忽ち大金持に返りました。と同時に相変らず贅沢をし始めました。 おびただしい黄金も、また三年ですっかりなくなってしまいました。 老人は、三度万春の前へ来て、同じことを問いかけました。勿論彼はその時も、ぼんやりたたずんでいたのです。

2012-11-24 23:14:27
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「私ですか。私は今夜寝る所もないので、どうしようかと思っているのです。でもお金はもう入らないのです。」 「金はもう入らない?ははあ、では贅沢をするのがとうとう飽きてしまったと見えるな。」 「いいえ、贅沢に飽きたのではありません。人間というものに愛想がつきたのです。」

2012-11-24 23:14:49
NONE @NONENON111

「それは面白いな。どうして人間に愛想が尽きたのだ?」 「人間は皆薄情です。私が大金持になった時には、ちやほやするけど、一旦貧乏になると近寄ってもこない。そんなことを考えると、もう一度大金持になった所が、何にもならないような気がするのです。」

2012-11-24 23:15:05
NONE @NONENON111

「そうか。お前は感心に物のわかる男だ。ではこれからは貧乏をしても、安らかに暮して行くつもりか?」 「それも今の私には出来ません。ですから私はあなたの弟子になって、仙術の修業をしたいと思うのです。あなたは道徳の高い仙人でしょう。仙人でなければ、一夜の内に私を天下第一の大金持にする

2012-11-24 23:16:41
NONE @NONENON111

ことは出来ない筈です。どうか私の先生になつて、不思議な仙術を教へて下さい。」 老人は眉をひそめ、「いかにもわしはボンズ山に住んでる仙人だ。お前の顔を見た時、物わかりが好よさそうだったから、二度まで大金持にしてやったのだが、それ程仙人になりたければ、わしの弟子にとり立ててやらう。」

2012-11-24 23:18:48
NONE @NONENON111

超疲れてきた。あとちょっとだぜ…('-')楽しいか?

2012-11-24 23:19:17
NONE @NONENON111

と、快く受け入れてくれました。 万子春は大地に額をつけて、何度もおじぎをしました。 「いくらわしの弟子にした所で、立派な仙人になれるかなれないかは、お前次第できまることだからな。」 仙人は万春とともにボンズ山へ飛んでいきました。

2012-11-24 23:22:20
NONE @NONENON111

二人がボンズ山に着き、ある岩の上に来ると、仙人は万春を絶壁の下に坐らせて、「わしはこれから天上界へ行ってくるからお前はその間ここに坐って、帰りを待つがよい。多分わしがいなくなると悪魔が現れて、お前をたぶらかそうとするから、決して声を出すではないぞ!

2012-11-24 23:26:34
NONE @NONENON111

もし一言でも口を利いたら、お前は到底仙人にはなれないものだと覚悟をしろ。いいか。天地が裂けても、黙ってるのだぞ。わかったな?な、な?」と言いました。 「大丈夫です。決して声は出しはしません。命がなくなっても、黙っています。」 「そうか。安心した。行って来る。」

2012-11-24 23:28:13