#硝子の腐蝕

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ひと巡り目

青峯 愁夢 @star_bow_

疲れ切った溜息を夕闇に溶かす。磨耗していく石は流れ行く時の中でいつか穿たれる。近づいてくる終焉へ無防備に生身を差し出した。ゆるゆると締められてゆく首の閉塞感。僕の感情がイオン化していく。倦怠感が透き通り、かつりと硬質な音でまた投げ出された。ひとつ、冷めた息を吐いた。 #硝子の腐蝕

2012-10-26 23:56:52
青峯 愁夢 @star_bow_

輪郭を失くしてしまいたかった。融けていく僕はいつか海に流れ着く。海岸の波打ち際で行ったり来たりを繰り返して。幼い手で築かれた砂の城を崩しては声を響かせるだろう。漂う日々の最後、風が柔らかに吹いた。僕を連れて行って。高く、高く。堕ちる。ふたつ、雲の波間に吸い込まれた。 #硝子の腐蝕

2012-10-28 04:52:31
青峯 愁夢 @star_bow_

空が崩れ落ちていく。ぱりぱり、ぱりぱり。透明色の揺り籠に映し出された世界が降ってくる。木々を、花々を取り込み、纏わりついた。不定形の存在として侵食していくことを、どうか。ぱしゃん、弾ける泡沫。目覚めた赤子が泣き叫ぶ。頬、貼り付いた涙。みっつ、破片は地面に散らばった。 #硝子の腐蝕

2012-10-29 00:22:07

ふた巡り目

青峯 愁夢 @star_bow_

煙る吐息を朝焼けに混ぜる。研磨されていく珠は黎明の光の中で煌めいた。いずれ訪れる瓦解を恐れ、虚飾で膨らんだ保護材を纏った。とろとろと迫ってくる頭上の鉄槌。僕の身体が遷移していく。恐怖は濁ってゆき、ばらばらと耳障りな音で散乱した。よっつ、凍り付いた仮面が剥がれ落ちた。 #硝子の腐蝕

2012-10-30 22:10:17
青峯 愁夢 @star_bow_

足跡を残したくなかった。熔けていく僕はいつか空に辿り着く。雲海の狭間に遺した蒼を灰が埋め尽くして。幼い手が綿菓子を千切っては歓声を呑みこんだ。残酷に流れる日々の最後、雨が激しく降り注いだ。僕はもう行けない。丸まって転がった。虚飾が堕ちていく。いつつ、実体は別たれる。 #硝子の腐蝕

2012-11-04 23:51:06
青峯 愁夢 @star_bow_

ほろり、この手から溢れていった液体を。ぽろり、この腸から剥がれていった固体を。僕は取り戻せずにいる。不完全な哀しみを抱いて。真っ赤に蕩けた亡骸に吹き込む吐息。僕とお揃いの空洞を持つ物質に寂しさを分け与える。ねぇ、目覚めて。アポトーシスを終えた手を掴む。むっつ、僕が精錬されていく。

2012-11-06 23:58:17

み巡り目

青峯 愁夢 @star_bow_

響く鼓動を太陽に熔かした。草臥れた本物は廻り続ける炉の中で混ざり合った。原型を失う苦しみに耐えきれず、鋳型を作る愚かさ。網膜を差す、多彩な色彩をも排斥して透き通ってゆく。世界をイオン化させる。絶望が凍って、ぴきり、哀しげな音でぶつかった。ななつ、硝子は罅割れていく。 #硝子の腐蝕

2012-11-14 23:48:01
青峯 愁夢 @star_bow_

原形を失くしてしまった。色彩を幾度も希釈し、幾重にも覆った紗。護ろうとして、取り替えた。光に斜が入る。守りたいものが壊れた。手元に残った、鋭利に輝く凶器。優しい日々の最後、幼い狂気は容易く其を掴む。紅の雫が青い空へ。僕は何処にも行けない。やっつ、破片が傷付けていく。 #硝子の腐蝕

2012-11-18 23:36:35
青峯 愁夢 @star_bow_

微かな胎動が世界に広がっていく。陽が昇り、緑が芽吹き、花が柔らかに薫った。流転する球形は血液を巡らせる。どんな傷跡も時間は緩やかに癒していく。憂いの息を吐いた唇が紡ぐ物語を、なぞるようにして。切っ先は摩耗して、硬質さは浸蝕される。ここのつ、波打ち際で硝子が煌めく。 #硝子の腐蝕

2012-11-26 00:06:23

とお、

青峯 愁夢 @star_bow_

冷たい空気が雲の波に呑まれ、硬質な雨を降らせた。繰り返す度に物体は摩耗していく。実体はすでに失くした。硝子細工を代用品として精錬する。けれど、硝子もいつかは罅割れて、其自体もまた凶器となる。巡る巡る時間の後に、すべては優しく想い出となるだろう。とお、硝子は腐蝕した。 #硝子の腐蝕

2012-11-26 00:30:01

ここから先は別垢での書いた感想やら、どんなことを考えていたやら、ぶつぶつ呟いていたのんです。興味ある方はどうぞー。

@SighsAndRibbons

むむー。『諦観の腐蝕』というと、諦観が磨り減るから良い意味に変わるのか? 『幸福感の腐蝕』とかだとモロ過ぎる気もするし。『硝子の腐蝕』あたりにしようかなぁ。考えた時に腐蝕がぱっと浮かんだんだよね。

2012-10-26 03:17:58
@SighsAndRibbons

今回はあんまり硝子が関係しているような雰囲気は出てない、かな(ヾノ・ω・`) 明日の描写書くの、ちょっと楽しみ。えへへ。「みっつ、破片は地面を散らばる」という感じかな。

2012-10-28 04:58:16
@SighsAndRibbons

ただいま。ぎりぎり、青峯間に合った! よし、二廻り!

2012-11-06 23:59:31
@SighsAndRibbons

なんかおかしいと思ったら、今回の硝子の腐蝕、タグ付け忘れた……Σ(ОД○*) めそめそ……(ノ_・。)

2012-11-07 02:04:52
@SighsAndRibbons

硝子の腐蝕、どうしてこうなってしまった感、ちょっとある。うーん、でも結局僕にとっての 『硝子の腐蝕』はこうだったのかな。

2012-11-19 03:32:09
@SighsAndRibbons

硝子っていうと、僕にとって=硝子細工で。硝子細工は儚い偽造品、偽物、というイメージ。だから、偽造品さえも腐蝕していく、という感じになってるんだろうな。後ふたつ、というか、ひとつ。上手くまとめられるといいな。

2012-11-19 03:34:03
@SighsAndRibbons

原形を失くしてしまった。色彩を幾度も希釈し、幾重にも覆った紗。護ろうとして、取り替えた。移り変わる光、煌めくものは、守りたいものは。手元に残った、鋭利に輝く凶器。優しい日々の最後、幼い手は無邪気に其れを掴む。紅の雫が青い空へ。やっつ、破片が僕を傷付ける。 →今日のボツ作。

2012-11-19 04:35:47
@SighsAndRibbons

1、生身の倦怠が溜まっていく。磨り減っていく感情。 2、感情の結晶として流れ出た涙は海をたゆたい、いつか蒸発して空へ堕ちる。 3、雲として漂った後、いつか雨として降ってくる。雨は世界すべてを濡らし、また誰かに取り込まれる。 感情は世界を覆う。 #硝子の腐蝕 一巡目

2012-11-24 05:28:28