自傷に寄り添う。松本俊彦・斉藤環両先生のツイートより。

自傷は人の気を引くため、薬物依存はだらしがないから、そんな風に思ってはいませんか? 自傷のほとんどはひっそりと孤独に行われています。 薬物依存も自傷も、どうしようもない辛さを和らげるコーピング(ストレス対処法)の側面があり、だからこそ抜け出しにくく再燃しやすい。 臨床の現場で彼らに寄り添うお二人のツイートをまとめさせていただきました。自傷と依存への理解の一助となれば幸いです。(後半に意図的に他人に見せる自傷について追加収録を行いました) 続きを読む
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@DSHtoshilancia

しかし、そうした苦痛は、物質使用がもたらす、自分なりに納得できる苦痛よりもはるかに深刻な別の苦痛を紛らわし、注意をそらしてくれる効果があるという可能性はないだろうか? たとえば、思い出したくない記憶、さらには、思い出せなくなっていることさえ忘れている記憶がもたらす苦痛……。(続)

2012-11-15 10:13:27
@DSHtoshilancia

だからこそ、臨床家は、「その物質を使ってどうなったのか?」という質問だけでなく、「その物質があなたに何をもたらしてくれたのか?」という質問を投げかけてみる必要があるのだ。

2012-11-15 10:13:41

自殺予防の手付かずの領域

身体を傷つける者たちbot @SelfHarmTeller

症例は、恋人との半同棲は苦痛であったが、といって両親との同居にも抵抗感を覚えた。そこで主治医は自殺防止の観点から精神科病院への入院に踏み切った。しかし、症例は同じ病棟のある男性患者を不可解な理由で非常に恐れ、職員の隙を突いて離院してしまい、そのまま退院となった。(続)

2012-11-07 21:07:28
身体を傷つける者たちbot @SelfHarmTeller

離院した病院への再入院は叶わず、仕方なく、主治医は複数の精神科病院に入院を依頼したが、いずれの病院からも断られた。離院から1週間後のある早朝、症例は縊首によって死亡した。ここに登場する主治医とは筆者自身のことである。いつまでも耳の奥にこびりついて忘れられないのは(続)

2012-11-08 03:07:07
身体を傷つける者たちbot @SelfHarmTeller

入院を断られる際に何度も聞かされた「当院ではパーソナリティ障害の患者は受け入れられない」という冷淡な声である。精神科医から冷遇されるリストカッターたちはつくづく不幸な患者だと思うが、彼らに熱心に関わる精神科医もまた同業者の冷淡な応対に曝されることがある。(松本俊彦)

2012-11-08 09:07:20
身体を傷つける者たちbot @SelfHarmTeller

現在、わが国で展開されている様々な自殺対策のなかで、いまだに手つかずの領域が1つだけ残されている。それは、精神科医療の質の向上、とりわけリストカットや過剰服薬を繰り返す患者への対応能力の向上である。(続)

2012-11-08 15:07:18
身体を傷つける者たちbot @SelfHarmTeller

何も、「精神療法の技能向上に努めよ」という意味ではない。そうした患者を援助する際に見られがちな否定的態度をほんの少しでも変えること。それだけでも多少とも救える患者が増えるはずである。(松本俊彦)

2012-11-08 21:07:22

意図的に他人に見せる自傷について。

  • 実はこれが最も重症のケースではないのでしょうか。
  • 2012.12.02.追加。
@sweets_shocho

「自殺・自傷研究会―ハナシバ」がとても興味津々で参加したかった・・・。出席できなかったけど、自傷について。自傷行為の背景には虐待やいじめなど様々な要因があり、それらの心の傷を体の傷に置換する。それは「生きている実感」の希求であり、引き裂かれそうな両価的感情からの脱却である。

2010-11-20 20:07:59
@sweets_shocho

しかし、自傷行為、例えばリストカットの場合、苦しくつらいのは心の傷による影響だけでなく、自らを傷つけているという「誰にも言えない秘密」を持ってしまったことなんです。

2010-11-20 20:09:50
@sweets_shocho

過去のトラウマでさえ誰にも言えずつらく苦しく孤独である。その苦しみからの脱却であるはずの自傷行為は、その「秘匿性」のためさらに孤立を生み、結局苦しまねばならないパラドックスに陥らせることに、援助者は気付かねばならない

2010-11-20 20:13:06
@sweets_shocho

全くその通りです。これがいかに多いことか・・・RT @yoshi_dama: 未だに存在する自傷行為を「叱りつける」援助者が、その秘匿性を益々高めていますね。 RT 苦しみからの脱却であるはずの自傷行為は、その「秘匿性」のためさらに孤立を生み、結局苦しまねばならないパラドックス

2010-11-20 21:00:36
Cook⚡規制解除(ただしいつ規制入るかわからない!) @CookDrake

@michioariga 自傷行為の劇場化の問題に付いてはいかが思われますか。元々は止むに止まれぬものであった自傷が、注意を引くことに成功したことによって嗜癖的に選択される行動になってゆくこともあると思うのです。それが気になります。

2010-11-20 20:38:08
@sweets_shocho

@CookDrake 「言えない」場合と「劇場化」の場合では、その病理が異なるのでしょう。前者は過干渉の中で育まれ、ある挫折を機に自己愛の傷つきや万能感の喪失をきたす、後者はいわゆるネグレクトを中心とする虐待を背景に持っており、自己愛のかけらもないタイプに現れてくる印象です。

2010-11-20 20:45:01

 横から失礼です。劇場化は周囲の人間が「自傷行為」にのみ振り回されてその心の痛みには触れない場合に加速します。自傷行為によって抑圧(あるいは表現)している苦しみを汲むことができれば、自傷という行為は選択されなくなると思います。RT@CookDrake: @michioariga
(@yoshi_damaさんはアカウントを既に閉じておいでなのでコピペで代用させて頂きます)

Cook⚡規制解除(ただしいつ規制入るかわからない!) @CookDrake

@yoshi_dama @michioariga お二人のお話、大変腑に落ちました。劇場化してしまった人に寄り添うには相当な覚悟と胆力がいりますよね。深く踏み込みつつも介添え人が足場を失わないだけの力量がないと、半端に関わってかえって傷を広げてしまいかねない…。

2010-11-20 21:00:18
さ.て. @sktttr

自分の周囲の場合、露悪的に見せびらかす場合の方が多いです。RT @michioariga しかし、自傷行為、例えばリストカットの場合、苦しくつらいのは心の傷による影響だけでなく、自らを傷つけているという「誰にも言えない秘密」を持ってしまったことなんです。

2010-11-20 21:29:07
@sweets_shocho

自傷行為を一種のコミュニケーションツールとして用い、昨日つぶやいた、受けた「ダブルバインド」の一部を露出させるんですRT @sktttr: 自分の周囲の場合、露悪的に見せびらかす場合の方が多いです。RTリストカットの場合、苦しくつらいのは「誰にも言えない秘密」を持ってしまったこと

2010-11-20 21:54:11
さ.て. @sktttr

@michioariga @CookDrake 自分の知っているものは「劇場化」の場合と言う事ですね。周囲が知る事が多いのは必然的に「劇場化」になってしまいますね。しかし比較すると、「言えない」場合の方がマシな気がします。

2010-11-20 23:18:27

補足:被虐待児童が受けるダブル・バインドについて

  • 2010.11.19.の@sweets_shocho さんのツイートより。

@sweets_shocho

暴力支配が家庭内コミュニケーションとなっている場合、このような行動を示す事多々あります。虐待を念頭に置いた危機介入が必要となることもRT @yk_childpsy: 小学校低学年で、女児への暴力やいじめが問題になるケースは破壊的行動障害を持つ児の中でも介入緊急度が最も高いと思う。

2010-11-19 20:23:29
@sweets_shocho

虐待の連鎖。私の経験上だけど「ダブルバインド」が連鎖している印象である。「勝手にすればいい」という言葉が、「勝手にしたら許さん」を包み込んで投げつけられる。投げつけられた「玉」を次世代に投げ続けてゆくようである。「玉」を持たされたこどもは、それを渡す相手が見つかるまで抱え続ける。

2010-11-19 20:30:49
@sweets_shocho

育児について、こどもの行動を祖父母が干渉してくる場合。母に対し「お前の育て方が悪い」と罵り、頼ろうと思うと「親に頼るでない」と突き話す。二重拘束がここで成立し、母は孤立する。見えない有刺鉄線に囲まれたようである。こんな状況では、子を育てるのは難しい。

2010-11-19 20:36:52
@sweets_shocho

ダブルバインドな「玉」を持たされた子は、それが何かの拍子に体の中でぶつかり、痛いのである。その痛みを和らげるため、手放そうとするその手段は、しばしば強引な方法を取らざるを得ない。痛みの閾値が自然に上昇し、「痛くない」状態にさせていくメカニズムが構築されてゆく。

2010-11-19 20:44:50