テニプリでDQパロ～導かれし者たち９～

煌＠ＤＱ11ネタバレ注意 @kou_DQ

「行くぞ！」ユキムラが早足で歩き出します。ある程度距離が開いてから、振り向きました。「その続きは、全部終わって城に戻ってから聞かせろ、いいな！」「…ユキムラ…！」「いいか、勝って帰るぞ！」「無論だ！」赤い顔を隠すように走り出すユキムラをサナダが追いかけます。 #テニプリＤＱパロ

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「なあ…聞いてええか？」「はい」「なんで俺と自分なん？」「パワーバランスです」「対比は」「９９：１」「…容赦ないなあ、自分」「よく言われます」北西のほこらを目指すイヴとユウシがそんな他愛ない会話を繰り広げていました。 #テニプリＤＱパロ

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「世界最強の剣を求めて旅に出て、いつの間にやらこんなところまで来てしもうたんやなあ…さすがに想像してなかったわ」ユウシが辺りを見回しながら呟きます。「ユウシさんは、」「ん？」「そんな自分の運命をどう思いますか」「…俺の運命？」 #テニプリＤＱパロ

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「俺たちは導かれし者。勇者の元に集い魔王と戦うことを運命に強制された存在です。…運命を理不尽だと感じますか？」「んー？まあ、戦う力もない俺がなんで？とはひしひし感じとるけどなあ…」ユウシが頬をかきながら苦笑します。 #テニプリＤＱパロ

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「しやけど、俺が導かれし者やなかったら自分やリョーマたちに会われへんかったんやろ。どっちにしろ剣のことを知ったら俺は飛び出したやろうし、結果オーライちゃうか」ユウシがにこやかに笑いました。「それにまあ、俺みたいなんが一人おったほうがかえってええかもしらんしな」 #テニプリＤＱパロ

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「…それがアナタの強さなんですね」「え？」「なんでもありません」イヴが歩みを止めて前を睨み付けました。そこには大きな角をもつ半獣の魔物ヘルバトラーが立ちふさがっています。「ユウシさん、賢者の石は」「バッチリや」「サポート頼みます」 #テニプリＤＱパロ

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『お前たちか…チトセ様の進化を邪魔する不届き者は…』「だったら何？」『こざかしい人間め、成敗してくれるわ！』「その言葉に熨斗を付けてお返しするよ、メラゾーマ！」イヴの呪文がヘルバトラーを直撃します。 #テニプリＤＱパロ

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「小癪な！」ヘルバトラーが凍える吹雪を吐き出しました。「くっ…」「賢者の石ー！」ユウシが素早く賢者の石を振りかざすと、傷が癒えていきます。「吹雪には吹雪だ、マヒャド！」イヴの手のひらから今度は吹雪が巻き起こります。 #テニプリＤＱパロ

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『ぐっ…まだまだ効かぬわ！』ヘルバトラーが拳を振りかざします。「っつ…」「賢者の石ー！」『ぬぅ、面倒な！まずはお前から潰してくれる！』「げっ、ちょっとイヴ！」「ちょうどいいんで囮お願いします」「えぇえええ！！？」 #テニプリＤＱパロ

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『喰らえ！』「痛っ、賢者の石！」『これならどうだ！』「ぐえ！け、賢者の石ー！」『ぬぬぬ…！』不毛な追いかけっこを尻目にイヴが静かに両手を広げて目を閉じました。「…右手にメラゾーマ」イヴの右手に炎が宿ります。「左手にマヒャド」左手には冷気が集まりました。 #テニプリＤＱパロ

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「ちょ、もう勘弁してくれ、イヴ！」「…ユウシさん、退避！」「っ…あいよ！」『ぬっ！？』「巻き起これ！極大消滅呪文…メドローア！！」イヴの両手の炎と氷が混じりあい、凄まじい力がヘルバトラーにぶつかります。 #テニプリＤＱパロ

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『ぎああああ！！チトセ様ぁあああ！！！』直撃を浴びたヘルバトラーは絶叫をあげ…呪文が消滅した後には塵ひとつ残っていませんでした。「…ひゃー…おっかな…」距離をとったユウシが冷や汗を流します。「封印が消えました。ここは終わりですね」イヴが髪をかきあげます。 #テニプリＤＱパロ

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「ほな、戻ろうか。…しかし、ホンマに９９：１やったなあ…あはは」ユウシが苦笑いします。「…そうでもないと思いますよ」「へ？」「あの状態できっちりと役目を果たされましたからね…９：１くらいには訂正します」「わーありがたいわー」 #テニプリＤＱパロ

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「俺たちには敵討ちとか、何かを取り戻すとかそんな確固たる理由はないですけど…」「ん？」「俺も、みんなと出会えたこの運命…嫌いじゃないですよ」「…ああ！せやな！」イヴとユウシは頷きあって再び希望のほこらを目指すために歩き始めました。 #テニプリＤＱパロ

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「気になるか、チトセのことが」「…ッス」ヤナギの言葉にリョーマはスライムピアスに触れながら頷きました。「奴は道を間違った。その暴走はなんとしても止めなければならない」「わかってます。それがシライシさんたちの為にもなるってこと。でも…」 #テニプリＤＱパロ

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リョーマの視線の先には大きな宮殿がそびえたっていました。チトセはそこで進化を続けているはずです。「俺だって、シュースケが人間に迫害されてたら暴走したかもしれない。解りあえる道だってあったかもしれないのに…」「…過ぎたことを気にしては身が持たないぞ」「はい…」 #テニプリＤＱパロ

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リョーマたちは北東の封印にたどり着きました。入り組んだ内部を慎重に進むと、最深部には杖を持った物々しい魔導師が立っていました。「あいつは…」リョーマはその姿に見覚えがありました。デビルパレスに乗り込んだときチトセの横に控えていた魔物です。 #テニプリＤＱパロ

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「ほほう…ここまでたどり着いたか。だが遅かったようだな」魔物はニヤリと凶悪な笑みを浮かべます。「チトセ様の進化は既に始まっている。じきに究極の進化を遂げ異形の怪物となって目覚めることだろう。変わり果てた奴にはもはや人間への憎しみしか残っておらぬはずだ」 #テニプリＤＱパロ

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「憎しみだけ、だと…？そんなことでは王として」ヤナギが顔をしかめます。魔物はからからと高笑いしました。「そうだ！チトセは二度と魔族の王として君臨することなく、やがて自ら朽ち果てるのだ！その強大な力を私のために奮ってな！」「…なん、だって…？」 #テニプリＤＱパロ

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リョーマは驚いた声をあげました。「それじゃあ、お前はチトセを利用したっていうのか…！？」「…そうだ。冥土の土産に教えてやろう。人間たちを操りシライシを殺させたのはこの私…エビルプリースト様だ！」「…！！」 #テニプリＤＱパロ

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「チトセは愚かな王だよ。エルフなんぞに心奪われ、結果人間を恨むだけの化け物になるのだからな！その力を持ってこの私が魔族の王になる！新たな時代の幕開けだ！はぁーはっはっは！」「…なんという非道な…」ヤナギが拳を握りしめました。 #テニプリＤＱパロ

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「私の野望のため、チトセには進化を終えて貰わなければならない。悪いがここで死んで貰うぞ、勇者共！」「させるか、行くぞリョーマ！…リョーマ…？」ヤナギが杖を構えます。しかしリョーマからは何の返事もありません。ヤナギがリョーマに振り向き、息を飲みました。 #テニプリＤＱパロ

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リョーマの体を神々しい光が包み込んでいました。しかしそれはリョーマの内なる怒りに同調するように荒々しくうねっています。「…ふざけんな…」リョーマが小さく呟きました。「お前の勝手な野望のために、シライシさんやチトセが…みんながどれだけ辛い思いをしたのか…」 #テニプリＤＱパロ

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リョーマが天空の剣を抜き放ちました。剣もリョーマと同じく金色の輝きを放っています。「お前だけは赦さない…」「ふん！元より赦されるつもりもないわ！」エビルプリーストが、手を鳴らすとスモールグールがわらわらと現れました。「行けい！」 #テニプリＤＱパロ

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スモールグールが一斉にリョーマに襲いかかります。「マヒャド！」ヤナギの呪文が巻き起こす吹雪がその猛攻を押し留めました。「リョーマ、こいつらは俺が、…！？」リョーマが動くのを見たヤナギが目を疑いました。次の瞬間、リョーマの姿が消えていたのです。 #テニプリＤＱパロ