工房径ついのべ集 2011年11月

今になって2011年11月のついのべのまとめがないと気がつき、まとめました。(結局2012年11月分まででついのべ総数は620を超えておりますが、1000までの道は遠し。) ついのべの日は「血液型」という難しいお題でした。計68作。 #I_Miss_Youの意訳#月曜日を好きになるコピー の連作もやらかしておりますが、そのシリーズは連作ついのべ集1http://togetter.com/li/233952 にあります。
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工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 彼女は犬好き。デートしてても通りすがりの犬ばかり気にしてる。カレンダーも犬、ツイッターのアイコンも犬。だから僕は誇りを捨ててプロポーズ。「たぶん犬より長生きするし、役に立つから結婚して?」 #犬の日

2011-11-01 17:24:04
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 鮮やかにトランプを切る、赤いネイルをまとった細い指。ねえ、そろそろ君の手の内を見せてよ。曖昧な微笑みに僕の苛立ちは募り、積み上げたゲームをすべて台無しにしたくなる。もう、我慢はおしまいだ。モンブランの雪のように白いその肌に、今宵、僕の足跡をつけてやる。

2011-11-01 19:14:27
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#twnovel ハロウィンが過ぎると、街はもうクリスマスのディスプレイ。僕は「ついてけないよ」なんてぼやきながら、去年の冬を思い出す。仕事で遅くなり白いコートを翻し駆けてきた君。ディナーはどこもいっぱいで、ファスト・フードのチキンを分け合って食べた。ああ、今無性に君に会いたい。

2011-11-02 13:42:04
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#twnovel マフラーに半分顔を埋めて待つ、ツリーのイルミネーションの前。目を凝らせば見慣れたダッフルコートが駆けてくる。「寒かったろ」あなたは私の手を取り自分のポケットに。「あ、これ、ちょっと邪魔」口元を覆うマフラーを、指で下げてキスをした。 #冬が待ち遠しくなるコピー

2011-11-03 06:30:11
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#twnovel 凝った首筋を捻りながら、今日も残業コースか、と目を上げる。その先にいるあの娘は、ぴょこんとお辞儀をして済まなそうに帰ってく。「覚えてろよ」と恨み節を携帯にメールすれば、「お夕飯作っときますね」なんて殊勝な返事。よし、もうひと頑張りしてみるか。 #夜が始まる瞬間

2011-11-04 12:46:28
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#twnovel 引き出しから出てきた古い万年筆。モンブランのブルーブラックが一番いい青だよね、なんて通ぶっていたあの頃。恋も夢も、ドロップスのように色鮮やかに輝いていた。だけど今でも、白い紙の上を走るペン先は自由の翼。ブルーブラックの夜に、今日も私は密やかに羽ばたく。

2011-11-04 13:17:36
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#twnovel まだ、寝ないのかな。新刊のミステリを夢中で読みふけるあなた。久しぶりにきたふたりきりの週末なのに。「先に寝てるね?」ため息をついて立ち上がると、ぐっと手を引かれ気付けばあなたの腕の中。「本の続きは?」彼は笑って「君の続きの方が読みたい」。 #夜が始まる瞬間

2011-11-04 21:14:22
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#twnovel 秋の夕暮れ。君のいれてくれたお茶で、僕のめがねは白く曇って。「寒いから寄ってって」なんて簡単に男を部屋に上げちゃだめだよ。まるっきり信頼しきった顔をして、僕を意識してないの? 痛む胸を決意に変えて、レンズを拭くふりでめがねを外した。もう僕を草食系とは言わせない。

2011-11-05 17:59:29
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#twnovel いつも穏やかなめがねの彼。「寒いから寄ってって」とモーションをかけたのは私なのに。お茶で曇っためがねを取ると、理性のボタンも一緒に外して彼は別人。「耳飾り、落ちそうだ」耳に伸ばした手をそのまま掬うように顎にかけて、口づけてくる。ねえ、どこに爪を隠してたの?

2011-11-05 18:26:28
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#twnovel ”My Cherie Amour”日曜の昼下がり。僕の横で居眠りしてる君の睫毛が揺れて、そろそろ起きないかな、なんて思ってる。麗らかな陽射しが君の顔を舐めて、それすら嫉妬する僕は、この歌を口ずさみながら、君の頬をなでるのさ。”My Cherie Amour”

2011-11-05 22:16:52
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#twnovel そこにいるのは、君だね? 本棚を隔てていてもすぐわかる。図書館ですれ違う君は、いつも白い花のような仄かな匂い。君にもっと近付きたくて、僕は密かに嫉妬する。君の肌にまとわりついて離れない、その甘い香りにさえも。 #フレグランスを愛したくなるコピー

2011-11-06 07:06:57
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#twnovel 「甘いお菓子はすぐ飽きる。お前の案は地味だけど飽きがこないよ」あなたの言葉を心の中で抱きしめる。陰で懸命に努力して、淡々と仕事をこなすあなた。だからその言葉が、ビーズを零したようにきらきらと光るんだ。私も前を向いて進もう、少しでもあなたに近づけるように。

2011-11-06 23:27:56
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#twnovel 二次会の途中、俺の意中の彼女が消えた。酒は飲んでも飲まれるな。まずい、彼女はモテるんだ。鵜の目鷹の目で探す視界に、先輩に絡まれ涙目の彼女。上下関係くそくらえ。今こそ弱気な仮面を脱ぐとき。彼女をぐっと引き寄せれば、うっとり見上げる潤んだ瞳。今宵俺は君のヒーロー。

2011-11-07 18:35:42
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#twnovel 薄紅から藍色へ。空が移ろう夕間暮れ。ああ、やっと1日が終わる。僕は大きく伸びをする。不器用な僕は今日もがむしゃらに戦った。自分の中ではそれも正義だと言ったら、君は笑うだろうか。さあ、帰ろう、君の待つ家に。共に笑い、共に眠る幸せを噛み締めて。

2011-11-07 22:25:37
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#twnovel 「彼、好きな人いるって」休憩室の噂話に、甘いお菓子も砂を噛んでいるようで。辛くなって部屋を出れば、通りがかったのは当の本人。「なあ、この絵画展行きたいって言ってたろ」彼から差し出されたのは2枚の券。「土曜日、一緒にどう?」途端に降り注ぐ、幸せのまばゆい彗星。

2011-11-08 19:12:47
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#twnovel あなたと歩く美術館。ふわふわとまるで星雲の中を泳ぐよう。どうして私を誘ったの? 期待してもいいの? 頭の中は質問の点描画。「疲れた?」無口な私を気遣うあなた。「ううん、嬉しくて」思わず出た本音に彼の顔が緩む。見つめ合えば、色鮮やかに動き出すふたりだけの世界。

2011-11-08 21:52:05
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 仲間と来た遊園地。なぜか彼とふたり、観覧車に乗るはめに。意識しちゃだめ、と自分を叱るけれど、赤い頬は隠せない。「何照れてんの」と額をつつく彼。「あの楓とどっちが赤いかなあ」眼下には鮮やかな紅葉の錦。「実はふたりきりにしてって頼んだの、俺」そんな彼の頬ももみじ色。

2011-11-09 13:41:00
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 秋の始まりは切ないのに、冬の始まりはいつもわくわくする。新しく買ったブーツは羽根でも生えているみたい。週末はクリスマスの雑貨でも買いに行く? それともきんと冷えた空気の中、美術館で大理石の彫像を見ようか。寒さにかこつけて恋人繋ぎにした手を、ポケットに入れながら。

2011-11-10 21:47:54
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#twnovel 「そろそろ前向けよ」アイツの言葉がアイスクリームの匙跡みたいに心に残る。うん、失った恋を偲ぶのはもうやめた。今日はおいしい物でも食べに行こう。明るい色の口紅を引き会社を出れば「よう」待っていたのは件のアイツ。「お供しますか?」ビー玉みたいにきらり、瞳を輝かせて。

2011-11-10 20:35:34
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#twnovel 「それ頂戴」私のクリームソーダから桜桃を盗む悪友の彼。茎を取ると口に含んで「ほらな」器用に結んで舌先に。「知ってる? これが出来るとキスがうまい」宝石みたいなソーダの泡が私の中でしゅわりと騒ぐ。知ってるからこそ困ってる。真っ赤な頬を彼は冷たい指でするりと撫でた。

2011-11-11 18:28:44
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel あんみつを食べながら、目の前にいる幼なじみの男について考える。甘味処にもついてきてくれる鋼の友情。でもさ、それってどうなのよ。「彼女とかいないの」「今さら愛憎劇でもねえし。二股なんて面倒くせ」「は?」「お前がいるのに彼女? 意味不明」それこそ意味不明なんだけど。

2011-11-11 20:42:03
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 初めての待ち合わせに君が選んだのは、川岸のカフェテラス。ペリドットみたいな明るい緑の川面が輝く。「京都の納涼床風の造りがすてきでしょ。夏はここから花火もみえるの」マシュマロを浮かべたココアで暖をとる晩秋。どんどん欲張りになる僕は、今から君と過ごす夏を乞う。

2011-11-12 13:14:02
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 入学式の日「僕の部に入らない?」と言ってきたのは、背高のっぽの先輩。看板を持ち宣伝活動に余念がない先輩たちを尻目に、彼はメモ帳ひとつ持ち、にこりと笑う。その笑顔に何だかほっとして、つい書いてしまった自分の名前。「ところで何部なんですか」「帰宅部。デート行こっか」

2011-11-12 15:12:17
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 久々のデート。小鳥が歌う爽やかな朝に彼女が注文したのは、高々と渦巻く苺のパフェ。マジカよ。鼻の頭にクリームつけてガキみてえ。ぺろりと舐め取ってやると、ぎゃっと色気のない悲鳴。油断した隙に指に嵌めた指輪は、誕生石のガーネット。こんな誕生日もありっちゃありだろ。

2011-11-12 21:35:28
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 街のそちこちにクリスマス気分をくすぐる柊のリース。「クリスマスの予定は?」なんて訊く想い人の彼女は、ほんと無自覚。その日のために僕がどんなに必死かもしらないで。僕の眠り姫。世界中の糸車を燃やしても、君は僕の罠に落ちる。そして甘いキスで起こすのも、この僕さ。

2011-11-13 21:05:20