支那で僞娘ブームださうで、日本の影響が云々と騷がれてゐるらしいけれども、支那は傳統的に女裝の國だよ。基本的に東アジアはさう。
2010-08-14 23:19:14嘘か眞か、支那にはかつて全員女裝で暮してゐる一族がゐたとかゐなかつたとか。これは確か長命か健康を祈るため。女裝で長命を祈るといふのは日本でも傳統的に行はれてきたことのはず。
2010-08-14 23:22:52かつて支那には纏足といふ文化があつた。今でも奧地には纏足をしてゐるお婆さんがゐると聞くけれども本當かは知らない。ともあれ、纏足なんていふものがあつた時代、女裝は至難だつた。
2010-08-14 23:29:48だが、さすがに支那人は偉い。彼らは「蹺」といふ特殊な靴を發明した。これはつま先立ちで穿き、繃帶のやうなもので固定するやうになつてをり、先端に小さな靴がついてゐる。外から見た限りでは先端についてゐる小さな靴が纏足の靴に見える(つまり、纏足してゐるやうに見える)といふ鹽梅だ。
2010-08-14 23:31:46日本の歌舞伎にも女形がゐるが、支那の京劇にも女形がゐる。周恩來は若いころ演劇をすることを好み、女形をしてゐたさうだ。
2010-08-14 23:36:52支那の女裝についてうろ覺えで色々書いたけれども、實は『楊貴妃になりたかつた男たち』といふ本で讀んだ。詳しくはそちらをどうぞ。他にも色々エピソードが載つてゐる。大昔の性轉換説話とか、現代のネカマとか。女裝だつて支那は大した國なんだ。
2010-08-14 23:49:12支那の女裝者といへば、昔、時佩璞(http://p.tl/0S1R)といふ人がゐた。矢部道任を素で行くやうなことをやつた人。
2010-08-14 23:56:02時佩璞事件は「M. Butterfly」といふ戲曲にもなつてゐて、映畫化もされてゐるさうだ。DVDになつてゐるだらうから觀てみたいとは思つてゐるけれども觀てゐない。
2010-08-14 23:57:03ああ、前某氏に女裝を扱つた學術的な本がないか聞かれたとき、『楊貴妃になりたかつた男たち』を紹介すれば良かつたのか。あのときは存在を忘れてゐた。『戰後日本女裝・同性愛研究』なんかに比べれば斷然安いし面白い。
2010-08-15 00:09:08時佩璞事件についてはたしか『楊貴妃になりたかつた男たち』には書かれてゐなかつたと思ふ。だから詳しくは知らない。
2010-08-15 00:16:45『女裝の探偵』で支那人は、日本人や朝鮮人に比べて謀略のできない間拔けに書かれてゐるけれども、實際に女裝して色仕掛けで外國の機密情報を盜むなんていふことをしてのけたのは支那人の時佩璞だつた。
2010-08-15 00:21:58昔の女裝の話では、『エロ・グロ男娼日記』といふ本が昭和六年に發行され……るはずだつた。發禁になつた(笑)。
2010-08-15 00:27:02『エロ・グロ男娼日記』、今は國會圖書館に一册あるのみ。貴重書扱ひで、實際に手に取ることは多分不可。マイクロフィッシュで讀める。
2010-08-15 00:28:49性的つちやあ性的なお話だけれども、今の感覺で言つたら實にソフトな描寫。大手の新聞の連載小説よりソフトなくらゐ。
2010-08-15 00:32:19途中に本文が缺けてゐるところがある。ここには最初割と過激なことが書かれてゐて、これぢや出版できないからと伏せたのだらう。どつちにせよ結局出版できなかつたんだけど(笑)。
2010-08-15 00:33:41この『エロ・グロ男娼日記』、主人公が明かに今で言ふ性同一性障碍で、色々詳しい描寫がある。アメリカで性同一性障碍の研究が始つたのがたしか昭和五十年代くらゐだつたと思ふから、昭和六年は世界中の誰もそんな障碍の存在にも氣づいてゐなかつた時代。大したものだ。
2010-08-15 00:40:14『エロ・グロ男娼日記』は面白くて、多少の性的描寫なら平氣といふ人には安心してお勸めできる。最後は――ネタばれ注意――請負師に落籍(?)されてハッピーエンド。女裝したままハッピーエンドといふお話では、私の知る限り一番古いもの。
2010-08-15 00:46:14問題は入手困難なこと。困難といふか不可能といふか。私は國會圖書館で全ページコピーした。幾らくらゐ掛つたつけ。たしか千圓か二千圓くらゐ。
2010-08-15 00:47:38古書店で出囘る、といふことは未來永劫ないと思ふ。……あ、どうも復刻(http://www.bk1.jp/product/03134615)されてゐるらしい。つてちよつと待て、税込18900圓つてさすがに高すぎだろ。『エロ・グロ男娼日記』が讀みたい方は國會圖書館へ行きませう。
2010-08-15 00:54:06