ミストルティン編　■■ローグ　～「■■する破界者～■■ー■ー・スルー・ジ・■ン■」～

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背中に■■■女を背負ったままホワイトが塔を降りると、少年が駆け寄ってきた。『おい、こっち来てないで、キスでもして立ち直らせてやれよ』「だからこそ、まずはお前だろう！……本当に大丈夫なんだな？」『勿論です。プロですから？…と言うと嘘になるが。…分かってるだろ？』「ああ」 71

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『あの7月の時点で僕にとっちゃ終わってるし、限界以上の力も出せない。あのヒトも遠くで戦ってて戻ってこられないし…」遠い目で彼方を見つめるその声はいつの間にか肉声に切り替わっていた。「詰んでもいるんだよ。この世界、■■■、■■■…呼び方は…まあ、なんでも、いいですけれど。」 72

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＜待ちなさい！＞指揮官の声に通信機を取ると、全軍に返答する。『これから数分かかるが、その間アレは攻撃モードに入って猛攻を仕掛けてくるだろう。その間無防備になる私を守ってくれ。ＯＫ？』一方的な宣言。猛攻、と言う言葉に再び全員が動揺する。先程のアレ以上に!?と。 73

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＜だから待ちなさい！これ以上勝手をするなら！＞『ん？ここまでたったの三十キロ、今の君なら瞬きする間に』パチン！と指を鳴らす。骨が折れない様に。『私…いや僕を全殺しでも何でも出来る。忘れちゃいないよ。ハニー』＜ちょっ！＞一方的に回線を切る。 74

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二人の間に移動する。「…とにかく僕にとっちゃあ、もうダメだ。だから君には今■と■を■■データにして、その次を最後にしてもらう」少女のほうを向いて告げる。「あんなの、むりじゃないですか…」「僕は一度、アレを封印されるのを見てるんだ。勝てない相手じゃない」「でも」 75

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「信じろぉっ！」ペシ！と辛うじて痛い程度に少女、■■■の左頬を張る。「痛！」「おい、■■！」少年、■■■■がホワイトの両肩を思わず強く掴むが…直ぐに力を弱める。梢に生気が戻ったからだ。「■■■！女の子の顔に何するのよ！」ホワイトの首が後ろにくにゃ、と曲げられる。 76

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「首の骨が折れたぁっ…！」人間には215本の骨があると言うが、流石に一本くらいなによ、という訳にもいかない。全速で再生させ、話を続ける。「えっと、その痛かっただろ？」「…はい」「そう痛い！だから君は生きている！だからなんだ…？えーと…」話の方向を間違えたらしい。 77

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「とにかく！信じろ。僕のことじゃない。僕を正直ウザいレベルで信じるコイツを信じろ！」「ウザ！？」「こいつの、■…いや■■のことなら信じられるだろう？」「今何て！？…■■！」■■が目の色を変えてホワイトを見る。「最期だからな」「……」「■の■らに宜しく…な？」「………はい！」 78

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ホワイトは再び全軍向けに回線を開く。『お待たせ。じゃあ護衛宜しく』しかし、同じく敢えて全軍向けで返答する彼等の指揮官はそれを跳ね除けた。＜……三分後に再度総攻撃をかけるわ。今度は全火力を集中後、全霊力を解き放つ。貴方も協力を＞『それでまた失敗したら？ 79

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『そしたら今度こそジリー・プアー…。あ！ジリ貧のことね。分かる？』＜ゆ…ホワイト！……貴方の独断専行に巻き込んで人命を危険に晒すわけにはいかない＞『僕の命を惜しんで、不確実な作戦で人命を無駄死に！…させようとしてるのは君のほうじゃないのかねミィェネット君？』＜――＞ 80

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『悪いがこっちは勝手にやる。勝機はそれしかない。ミー坊より強いヒトが戦っても封じるのがやっとだったんだから』それは嘘ではない。ただしその時は事前の準備も情報も無かったのだが、そのことは言わない。『邪魔したきゃ止めに来ればいい。貴重な戦力を裂いて、最後の希望を潰しに』 81

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『正直、大勢死人は出る。その上で確実にアレを倒せるかどうか、だ。皆も君も良く考えてくれ』＜――＞『兵の死、以上に無駄死にが大嫌いな……司令官さん』＜――＞『愛してる』それだけ言い終えると、通信を切り、機器を塔の中に投げ込んだ。「■■■っ！」■女に後ろから首を絞められる。 82

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「呼吸グワーッ！」貴重な酸素を浪費して叫ぶと、すぐに開放された。「許してあげるわ」「悪いな」「でも…」「？」「明日はデートね？」「来年度…の前に明日があればなっ！」ホワイト、いや少年、■■■■は約束した！そして小型音響機器を操作してから、『最終兵器』を呼び出す呪文を唱える。 83

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音響機器が独りでに飛び回り、彼のプレイリストを再生しつつ旋廻する！…ダダダダダダダダダダダダ！ダダダダダダダダダダダダ！深海に沈む大樹の底で邪神と戦闘を繰り広げるかのような曲が大音量で辺りに響く。テテテテーン！テテテテーン！テテテテーン！↓ 84

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猛然と襲い来る闇を金色の十字が切り裂き、蹴りで押し返す！吹き飛んだ威容は瞬時に巨大な瞳の様な姿へと変化！全周囲の一人一人を同時に見つめ、見る者の正気を奪う！その瞳の内部が見る間に細胞分裂の如く分裂していく。その総数たるや二、四、八、幾十、幾百幾千幾万幾億幾兆幾京幾亥…一！ 86

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不可視の力で邪神が段階的に押し潰され、遂にはマイクロサイズ！…■女だ！両手で不可視の『星糸』を操り、空間自体を操作しているのだ！圧縮したそれを、数万光年～この異空間においては宇宙の果て！～超新星の深部に投げ込む！こと宇宙空間において、距離の概念は彼女の前に屈服する！ 87

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「これで何度再生しても、その場で焼け死ぬわね！」豊かな胸を張って勝ち誇る。だが詠唱中でなければ、■■はこう言っただろう。それは失敗フラグだと！…テーテテテッテン！テーテテテッテン！ テーテーテーテテテッテッテッ、テーン！機器が不吉なメロディを再生！暴龍の猛威を彷彿とさせる！　88

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邪神を放り投げるのに使った、針穴サイズの空間の綻びを押し広げて、邪神が帰還！穴自体は超新星から遠く離れていたのだが、膨圧で熱の壁を突き破って、星を離脱！『目』ざとく見つけた穴に強引に突入したのだ！「いやぁぁ！無理矢理入ってこないでぇ！」再圧縮！今度はナノサイズ！ 90

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投げた先はブラックホール！光すら逃れられぬ時空の超重力の絶対牢獄！「勝った！第三話完！」「フラグ立てんなぁっ！」今度は■■が制した。「え？」きょとん、と可愛らしくとぼけた■女の顔。その顔が次の瞬間嫌悪に染まる！「!！」ブラックホールが、瞬時に蒸発した。「何コレ！キモい！」 91

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彼女の感覚では掃除機に吸い込んだゴキブリがまだ生きていたようなものだ。そしてその害虫は掃除機に穴があるのを見つけたらしい。「え、何コレ。しらない。こわい」「どうした！？」「このブラックホール、どっか他所に繋がってる～怖い何コレ」「ブラックホール！？そんなとこ使ったのか！？」 92

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「いやそれより…待てよ！…」少年は何かに思い当たる。それは現代の宇宙物理学では確か否定された概念だが、ここは彼等の宇宙では無い。その理屈は通用しないのではないか？「なあ、ホワイトホール、って聞いたことあるか？」「え？」 93

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「簡単に言うとブラックホールが吸った物が出て来る穴だ。俺達の宇宙にはない筈なんだが、どうもこっちには…」「え…嘘…いやぁ！出てこないでぇ～！」やり取りの間に、ブラックホールに消えた奴はシュワッ！と通常空間に復帰を果たした。「嫌っ嫌ぁ～キモイキモイ無理無理無理無理ぃっ！！！」 94

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■女はむやみやたらに両腕を振り回す。その度に邪神は彗星小惑星惑星衛星準惑星にぶち当たり、恒星新星超新星に燃やされ、中性子星やブラックホールに落とされては蒸発させた。幾十の銀河は千切れ、星雲は吹き飛び、何処かの宇宙古代ローマ風遺跡は滅んだ。 95