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PKA @PKAnzug
雑誌記事のためにうちの病院のPET検査数調べてグラフを作ったらちょっと面白かったのでお見せしますね。読売新聞が例のPET検診ネガキャン記事を載せたのはH18年3月で、それ以前の2年くらいがPETが無闇に持ち上げられた時期です。 http://t.co/P7trxZmA
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PKA @PKAnzug
まず目立つのは、H18年を境にした検査数の急速な落ち込み。これは検診があの記事に始まる「ハシゴ外し」の影響でがっちり減ったのと、PET施設が他に増え出して他院からの依頼が減ったのが影響です。他院への宣伝で肺癌患者の紹介が増えたので、肺癌の検査がガバッと増えてる。
PKA @PKAnzug
つまり、患者集めをしなければもっと大幅な落ち込みだったはずなんですね。この時期に潰れたPET施設もあります。営業とは無縁のように思われてる病院ですが、「うちの患者でPETが必要な人はあの病院に依頼してます」ってのは結構決まってくるので、実は病院に対する営業は結構重要。
PKA @PKAnzug
なお、うちは肺癌に極めて特化した病院なので、肺癌患者に対するPET検査は非常に多いです。そして「肺癌の病院」として知名度が上がるとますます肺癌症例が集まってくる。なので、肺癌がむっちゃくちゃ多いのはうちの病院の特徴であって、日本のPETは肺癌にばかりやってるって意味ではない。
PKA @PKAnzug
で、その後ややしばらくの間は、漸減するPET検診(ブームの収束)と漸減する他院依頼(PET検査施設の増加)、そしてそれらに対抗するような肺癌病院としての成長でバトルした結果、後者が勝って検査数は漸増しています。病院の売りを明確にして結果的にうまくいったパターンですね。
PKA @PKAnzug
そしてそこに来るのが、1年前に私がわいわい言ってた「新機種導入」。ずっとPET専用機でやっていたのを、PET/CTを1台導入して本格運用し出したのが、H24年の2月です。すると、「PETよりPET/CTがいい」で避けられなくなったため、ずっと減っていた他院依頼が少し増えました。
PKA @PKAnzug
当然それまでも続いていた肺癌病院としての成長も続いているので、診療としてのPET検査は昨年ガバッと増えています。検診が減ってるので総数はそれほどでもないですが、棒グラフの白っぽい部分の推移を見れば一目瞭然かと。
PKA @PKAnzug
検診PETは自分以外に病気を見つける人がいない分責任重大ではあるものの、基本的には全体を見て何も写ってなければ「何もないです」というテンプレ報告書で返せて楽なんですが、診療PETはそうはいきません。PET/CTはさらにCTも読まないといかんので、読影の手間はものすごく増えました。
PKA @PKAnzug
つーことで、この調子で検査増えたら読影医は一人で足りるのかなーと思いつつ、外来や外科対応をする人たちにも限界があるんだから、まぁ青天井で増えはしないだろうと楽観視しているのが現状です。本当にまずくなったら院長を強請ってもう一人雇ってもらいますかね。教育はこっちでするという前提で。
PKA @PKAnzug
せっかくなので、最初に書いた「読売新聞のPET検診ネガキャン記事」について、ちょっと書いておきましょうかね。その前のPETブームのところから。
PKA @PKAnzug
PETってCTとかみたいに形を見る検査ではなく、「全身にブドウ糖の親戚がどのように分布しているか」を立体的にマッピングする検査なので、他の検査とは見えるものがだいぶ違うんですね。CTで見えない(正確には「見ても気付かない」)病気が一目瞭然なことも少なくないです。
PKA @PKAnzug
ただ、この「CTなどで見えない病気が見えることがある」がどう間違ったのか「CTで見えないような小さい病気でも見える」と勘違いされ(本当は小さい病変はむしろ苦手)、マスコミなどがその間違いを前提に持て囃すという現象が起こりました。
PKA @PKAnzug
持ち上げられたんだからお前らもいい思いしたんだろ?と思うかもですが、全く逆です。
PKA @PKAnzug
検診であれ診療であれ、検査を受ける前にはどういう検査なのか理解してもらう必要があります。間違った情報が広まってると、正しい情報をなかなか受け入れてもらえなくなるんですね。これは震災後のデマ流布の問題ともちょっと似ています。
PKA @PKAnzug
PETはまだ比較的新しい検査なので、病院サイトに説明ページを設けるなどの対応はどこもしていましたが、このちょっと歪なブームの影響で、まずはPETの欠点を重点的に押し出して、受診者に取り憑いた幻想を取り払う必要が出てきたんですね。いい検査だとは分かってる人間にとっては結構な屈辱。
PKA @PKAnzug
もちろん、そのブームを悪用した宣伝をした施設も中にはありました。私が知っているのは、私が今いる病院の設備を前に使っていた、ほぼ検診専門の病院。宣伝で「小さい病気がよく見える」と書いてあったのを私自身が目にしています。そこが放漫経営で潰れて、設備を買い取ったのが今の病院です。
PKA @PKAnzug
余談ですが、元がそういうちょっと勘違いした病院の建物だったこともあって、うちの病院ってあまり病院らしく見えないんですよね。なんかホテルみたいだーとかよく言われます。さらに余談として、当時私はその病院を「ネタ病院」扱いしてて、その後釜病院の常勤になるとは夢にも思ってませんでしたw
PKA @PKAnzug
あと、ブームをマスコミのせいにすんな、という声もありそうですが、当時うちの院長が取材を受けて、「検査の性質上、小さい病変はむしろ苦手」と語ったのに、記事では「小さい病変に有用」と言ったことにされてしまった、なんて顛末もあったり、ハッキリ言ってどうしようもない状況だったんですよ。
PKA @PKAnzug
で、そんな状況だったPET界隈(特に検診界隈)に激震が走ったのが平成18年3月のこと。読売新聞に「PET検診では癌がほとんど見つからないことがわかった」みたいな記事が出たわけです。国立がんセンターの発表からの記事。とりあえず、PET検診をやってるところは大騒ぎです。
PKA @PKAnzug
この記事は「数字を比較する前には、まず数字の意味を考えないとすごく危ない」という、原発事故後の放射線騒動で散々言ったことを体現したような記事でした。「PETでは他の検査で見つかった癌のうちごく一部しか見えなかった」というのは事実だったんですが、この「他の検査」が普通じゃなかった。
PKA @PKAnzug
この国立がんセンターの検診というのは、「全力で病気を探したらどれくらい見つかるか」という研究に近くて、要するに採算とか度外視で最初から精密検査をやってるようなものなんです。で、普通の検診ではまず見つからないような小さいのも頑張って見つけてた、と。
PKA @PKAnzug
そんなこんなで、実際その研究発表をした国立がんセンターからも「ちょっと待てやコラ」って物言いがついたりしたんですが、まぁ伝わる内容が嘘でも明確に嘘と言える部分がないなら「解釈の問題」と見なして訂正しない、が報道のお決まりパターン。結局その記事は「事実」として受け入れられました。
PKA @PKAnzug
ただ、正直その件そのものには最悪の印象しか持ってませんが、あの馬鹿げた「小さい病気でもよく見える」というのがあまり語られなくなったことだけはよかったのかなと。持ち上げに持ち上げてからドヤ顔でハシゴを外した人たちには、「もうこっち来んな」と言ってさしあげたい。
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コメント

酋長仮免厨 @kazooooya 2013年1月12日
このときの「読売新聞のPET関連記事」に対する反論でしょうか? http://j.mp/VZiw7h 因みに、写真はPKA先生ではありませんw
PKA @PKAnzug 2013年1月12日
ああ、そうそう、それです。村上先生はこの件でかなり積極的に動いてくれた方です。そしてなぜおすすめ商品がふたりエッチまみれなのかw
山下238💉麻疹風疹ワクチン接種済HPVV検討中 @Yamashita238 2013年1月12日
質問です。リスクとベネフィットの内訳は具体的にはどのような計算なんでしょうか。値が1の場合、同じ程度のがんが発見できる確率とかかってしまう確率がイコール、ということで大丈夫でしょうか。
PKA @PKAnzug 2013年1月15日
Yamashita238 そこはポスターのやつ流し読みして忘れちゃったんですよね(論文まだ読んでないですごめんなさい)。ただ、「PETによる被曝で実際に健康被害が生じた例」なんて報告はありませんので、少なくとも被害に関しては実測ではなくLNT仮説などからのモデル的な評価で、確か発生数だけでなく余命まで考えての評価だったと思います。つまり、検査によって平均余命が変わらないのが1じゃないかなと。正確なところは本文を読まないとわかんないですね。
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