ラノベ系新人賞に求められるのは「分かり易く独特なコンセプト」と「台詞回しのセンス」
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生徒さんとかを教えていて一番怖いというか、「ああ、これはまずい」と思うのは、大抵が思考停止というか「これやってりゃ後は考えなくてもいい」という思考。
2010-08-25 22:42:34![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
我々は思考を小説という媒体に出力して切り売りしてる訳ですから、考えなくなったらそりゃ売る価値ねえし、誰も買ってくれないよね、という。
2010-08-25 22:43:17![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「最近は学園ラブコメが流行だぜ!」という事実認識については是非も無い訳ですが、「ではそれはなぜ流行っているのだろう?」「この学園ラブコメを求める読者の嗜好・思考はどういう形で成立しているのだろう?」みたいな処まで考えると
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その過程で新しいものが出来上がったりするし、考えないと、既に在る学園ラブコメの縮小再生産になる。ぶっちゃけ、プロだって何らかの理由からその縮小再生産をやる場合が在る訳ですが、投稿者は、プロと同じスタンスで応募作を仕上げると不利。
2010-08-25 22:46:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
当たり前ですよね。プロは仕事としてやっている以上、編集さんからの意見や統計データも貰えるし、ファンレターとかネットの反応とか見て、リサーチもかけられる。「こうすればより読者に喜んで貰える」「こうしたら喜ばれない」というデータを明らかに、実体験として持ってる。
2010-08-25 22:47:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
プロが偉いとか凄いとかではなくて。最初から条件が違うんですよ。勿論、その差は選考者達も考慮していますが――ちょちょっと考えた位で真似られるネタを書いても、同じやり方で送ってきた人と戦う場合、抜きんでる事が難しい。
2010-08-25 22:49:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「俺はあんたらに、新しい飯の種を提供できる位に、書き手として優秀だぜ」という事であり。その優秀さについては、実は何でもいい。絶対的な文章の美麗さでもいいし、キャラクター造りの妙でもいいし、会話のセンスでもいいし、世界観の緻密さでもいい。
2010-08-25 22:52:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ただ、「優秀」というのを主張する為には、「他の連中よりも俺は優れている」という主張をせねばならんという事ですから、「世間で学園ラブコメ流行ってるよな」「えーと。ハーレムもの? 主人公に特殊スキルつけてー。女の子四人配置してー」「まあこんな感じかなあ」では、
2010-08-25 22:53:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「俺は他と違うぜ」とは主張出来ない。だってその程度の事、応募者は誰だって考えるでしょう? 貴方が分かるという事は、他にも分かってる奴が居るって事で。
2010-08-25 22:55:03![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
だから、個人的におすすめなのは、「趣味」とか「学校での専攻」とかとにかく何でもいいですが、自分が「これは普通の人より俺は詳しいぜ」みたいなのを組み込むか、その趣味なり専攻なりで獲得した独自の考え方を、小説の中に組み込む事。
2010-08-25 22:58:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
Wikiとか見りゃ分かるように、私は法学部におった訳ですが。厳密に言うと専攻は法哲学なんですな。で――細かい条文がどうのというよりも、法律の在り方とか妥当性とかそういうのを考える学問なんですが
2010-08-25 22:59:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
例えば「殺人罪」――殺人を犯せば懲役○○年、だの死刑、だの、条文に書いてあったりする訳ですけどね。これ逆に考えれば、○○年の懲役や死刑という判決を食らって刑を執行される事を覚悟していれば、『人を殺す対価として法がそれを許容している』という見方も出来る。
2010-08-25 23:01:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
まあ細かい事は刑法論とか法の威嚇機能とか色々あるので省きますが。 例えばですよ? この法を、なんかの超システムで、世界全体に影響力があるように組み込んだらどうなるでしょうね?
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SFなんかではよくあるネタですが。世界全体を管理するシステムがあって。そこにはもう絶対というべき権限行使の機能があって。それに支配されたままの人々が何百年何千年と暮らしていたら、そもそもその機能の事なんか意識せず忘れてしまうのではないか?
2010-08-25 23:04:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
でもって。システムってのは大抵何らかの抜け穴がある訳ですが。先の「○○を覚悟したなら人を殺してもいい」という逆の考え方をすれば。
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「自分の寿命をシステムに○○年分捧げる事で、他人をそのまま死なせる事が可能」なシステムとして機能するかもしれない。
2010-08-25 23:05:35![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
これは、既にシステムの何たるかを忘れた人類にとっては、「自分の寿命と引き替えに他人を呪い殺せる魔法」に見えませんかね。
2010-08-25 23:06:12![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
更に、優秀な魔法使いになると、条文研究してますから、「減刑」とか「執行猶予」とか「情状酌量」とかの条文をそのまま詠唱し、
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実は割と三ヶ月とか四ヶ月分の寿命を献上するだけで相手を殺せる魔法を使える、とかなると、なんか独特の魔法世界と文化が出来上がる気しません?
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そんな世界に――現代の法学部の大学生が、六法全書持ったままタイムスリップしたら? という話を昔考えていた事があります。
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恐らくこういう発想って、法学部の生徒とか、法哲学が好きで本読んでる人とかしか出てこないと思うんですよね。出てこない事はないかもしれないけど、「出にくい」。これが「差」になる場合だってある訳です。
2010-08-25 23:12:10![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
するとつまり「差」を作れる事をアピールすれば、それは即ち優秀さの証として認識されるんではないかなあ、と。選考側にね。
2010-08-25 23:13:01![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「俺は自分の体験や、取材した事実を、じっくり検分し、そこから独特の発想や、面白さを追求出来るのだぜ」という主張。
2010-08-25 23:13:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
その実例としての応募小説。それが目の前に在れば、ぶっちゃけ、たとえ流行ものでなくても、目の利く編集者なら放っておかないし、逆に、それが分からない編集者ばかりの編集部でデビューしても、その作家志望者さんには未来が無い。
2010-08-25 23:15:08