ソイ・ディヴィジョン ＃３
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
@NJSLYR
「そしてそれは、ケモ兵器や違法薬物についても同じ事が言えるのだ。シュコー、このように……」ドクター・コーマはクローンヤクザの口に注射器でショーユを注ぎ込んだ。「味はどうだ」「少し甘いですが、まるでショーユですね」その直後「アッ！アッ！アッ！」クローンヤクザが卒倒し痙攣する！ 24
2013-01-20 16:15:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「ショーユに何が」ベアナックルが驚嘆する。「強烈な幻覚作用を添加し、ケモ兵器に生まれ変わった」ドクター・コーマはその醜悪な顔に太い血管を浮き上がらせ、目を細めた。彼はニンジャソウル憑依時に薬物への強耐性を獲得してしまい、その反動で、他者の薬物反応を見る事に喜びを覚えるのだ。 25
2013-01-20 16:27:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「我輩の施設とコーマ＝サンの知識……そのケミカル反応の結果がこれである」クルセイダーがぽんぽんと手を叩く。すると、クローンヤクザがOHP装置を操作して、ジョウゾウ・コーポレーションの売上高と株価を示した。非道なブラックマネーにより、ソイ・ディヴィジョンの業績はうなぎ上りだ！ 26
2013-01-20 16:37:52
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「大変お世話になっております！では私はこれで……」ムラキ部長はスマイルの奥に激しい憎悪を隠しながら、最後にもう一度深々とドゲザした。「待て。明日は畏れ多くもラオモト＝サンが直々に視察に訪れる予定だ。プレゼンテーションと宴会の用意をしておくようにな！」「ハイヨロコンデー！」 27
2013-01-20 16:44:13
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一方その頃、サヴァイヴァー・ドージョーの隠れ家では、急性ショーユ中毒に陥っていたサワタリが、熱病のような幻覚症状からようやく回復していた。しかしハイドラは、ソイ・ディヴィジョンから排出された薬物と何らかの化学反応を起こしたらしく、未だに激しい腹痛にあえいでいるのだった……。 29
2013-01-20 16:56:42
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「おのれ……ベトコンだ……ベトコンが俺たちの潜伏に気づき、井戸水に毒薬を混入させたに違いない……！俺としたことが、何たるウカツか！」サワタリは自戒の念をこめ、ショーユ瓶をマチェーテで叩き割った。気を抜けば、今でも無意識のうちにそれを啜ってしまいそうだったからだ。 30
2013-01-20 17:02:02
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サワタリは、隠しドージョーの奥に金の延べ棒めいて積まれた、バイオ・インゴットの備蓄を見やる。「これだけレーションがあれば、あと一週間は余裕でしのげるだろう。だが無くなってから動いては遅い。一処に長く留まりすぎれば、サヴァイヴァル精神が弛み、環境変化に対応できなくなるのだ！」 31
2013-01-20 17:07:32
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「ここは色々と楽で、暮らしやすかったんだがなア」ディスカバリーが名残惜しそうに言う。労せずして最高級ショーユが手に入るだけでなく、近くにはアルピノ・バイオワニの群生地もあり、ショーユに漬けて薫製にすると美味なのだ。そこで提案する「要はショーユさえ元に戻ったらいいんだろ？」 32
2013-01-20 17:13:53
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「怠惰の上にあぐらをかいておっては、自由は手に入らんぞ！」フロッグマンがぴしゃりと言った。彼はすっかり、平時の自分を取り戻していた。サワタリが廃人同然の状態に追い込まれた時、フロッグマンもまたオツヤめいた混乱の中にあったが、サワタリの復調とともに精神の曇りは晴れたのだ。 33
2013-01-20 17:22:06
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「ショーユ工場の奴らを何人か殺したら、震え上がって、ショーユが元に戻るかもしれないぜ。それに、こんなナメた真似されて黙ってるなんて、許せねえよ！」カマイタチが衝動的に提案する。「人間、災い、招いた。バランス、崩れた」ファーリーマンも天井から垂れる黒い雫を睨み、静かに怒った。 33
2013-01-20 17:27:55
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ハイドラのうめき声、そしてセントールの攻撃的な唸り声を聞きながら、サワタリは作戦を考えた。偵察情報によると、地下下水道には彼らを追ってきたゾンビーニンジャがまだ徘徊しているという。……サワタリは決断した「明日、ハイドラの回復を可能な限り待ってから、塹壕を出て工場を攻める！」 34
2013-01-20 17:48:34
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シロキは配膳ヤクザたちの監視を警戒しながら、夕食時にアラヤ長老を捕まえた。「あんた結構前から知ってたんだろ？異変が起こってるって」「ムウーン」長老はチャを啜る。「誤摩化さないでくれ。廃液を流しに行った時に、気づいたんだ。俺たちが作ってるのは、もうショーユなんかじゃないって」 36
2013-01-20 22:43:11
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「古参の者は皆気づいておる。そして、見て見ぬ振りをすることに決めたのだ…」長老はセンニンめいた神秘的な口調で言った。「違法行為だぞ？共犯なんだぞ？職人の誇りはないのか？」シロキが食って掛かる。脱出の糸口を掴むために。「わしらには何もできんし、この生活も変えたくないのだ……」 37
2013-01-20 22:50:10
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「もしや、まだ地上に未練が？」長老の目つきが険しくなる。「いや。単にショーユの事が不安で」シロキは嘘をつく。長老は微笑んだ「問題ない。発覚もない。施設自体ずっと隠蔽されてきた。それに誰も解放など望んではいない。手前勝手な理由で、安寧を脅かしてはならん。地上は死の世界だ……」 38
2013-01-20 23:03:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「チャンスと思ったんだが……状況は何も変わっちゃいない。誰も信用できない。下手に動けば、他の職人達から密告を受けかねない」シロキは夜間労働へと向かう廊下で囁いた。同じ班のバラキとアケダが左右に立って歩く。アケダは放っておいても笑顔なので、このような時に役に立つ。 39
2013-01-20 23:20:52
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「時間が無いぜ。俺たちが同じ班でいられるのは、今週だけ。次に全員が同じシフトになるのは、いつか解らない」バラキが小刻みに揺れながら言う。「ああ……」シロキは不意に、見えない重石に潰されるような感覚を覚え、弱気になっていた。頭の中で、アラヤ長老の言葉がリフレインしていた。 40
2013-01-20 23:35:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「俺のやろうとしてる事に、価値はあるのか」思わず口をついた。「ブルったのか？子供と、会うんだろ？立派な理由じゃねえか。おれは、そんな立派な理由、無いんだぜ」とバラキ「ここは、おれをナメてやがる。だからブッダに一泡吹かせてやる。他の奴らがどうなっても、知らねえ。そういう事だ」 41
2013-01-20 23:52:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「すまん、疲れのせいだろう」シロキが正気に戻った。彼の混濁した思考回路は、つい先程まで、脱出の動機をショーユ職人的な矜持に求めようとさえしていたのだ。「あんたを絞め殺さずに済んで、ほっとしてるぜ。おれは頭が悪いんだ。シロキ＝サン、あんたの力が必要なんだよ」バラキは微笑んだ。 42
2013-01-21 00:01:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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労働ルームが近い。作戦会議のための時間はあと僅かだ。「地上の伝説についてだ」シロキ元主任が脱出計画の進捗状況を取りまとめる。「UNIXヘッドの労働シフトと居場所は？」「調べたよ」とアケダ。「武器は？」「作った」とバラキ。「LANケーブルは？」……沈黙。全員がかぶりを振った。 43
2013-01-21 00:10:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer
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「…そう簡単にゃ手に入らねえ」バラキが言う。「地上なら、ハンバーガーと同じくらい、いくらでも落ちてるのにな」アケダも降参だ。その時、イヨオーッというアテンション音が鳴り、電子マイコ音声が聞こえた！「緊急放送ドスエ。所内にショドー10段以上の者がいれば監視員に名乗り出なさい」 44
2013-01-21 00:20:04