内藤正典教授による「アルジェリアの人質事件」と「マリ紛争」について-2013-1-21-

同志社大学の内藤正典教授による「アルジェリアの人質事件」と「マリ紛争」についてのツイートです
11
masanorinaito @masanorinaito

このことが争点となって以来、フランス社会とムスリムの移民社会には決定的な溝ができた。もちろん、ムスリムでも世俗的な生活をする人はいくらでもいるから、自分は世俗主義を尊重しますという姿勢をとるかぎり、フランスで生活することはできる。

2013-01-21 02:18:12
masanorinaito @masanorinaito

これでは、神の絶対性、全能性が欠けてしまうからである。

2013-01-21 02:17:10
masanorinaito @masanorinaito

しかし、公的領域からキリスト教会の影響力を徹底的に排除したフランスでは、この議論は、他の宗教の信徒もひとしく拘束する。だが、ムスリムは、この「世俗主義」というものを理解できない。この世のある領域だけ、神の手が及ばない、などと認めるはずがないからである。

2013-01-21 02:16:03
masanorinaito @masanorinaito

アメリカでは、このような禁止措置は取れない。オバマ大統領も就任直後に、「スカーフ着用を禁止するようなことをしたら、アメリカでは政府が訴訟を起こしてでもムスリムを擁護する」と演説で述べている。

2013-01-21 02:14:20
masanorinaito @masanorinaito

2000年代に入って、フランスは繰り返し、「宗教シンボルの公教育への持ち込み禁止」「公的領域での宗教シンボル持ち込み禁止」を法制化した。ターゲットは、明確にイスラム教徒の移民であった。

2013-01-21 02:13:07
masanorinaito @masanorinaito

公立の学校にムスリムの女性がスカーフやヴェールを着用して登校することを認めない、という議論はすでに1989年に起きている。それから20年以上、若者の信仰への回帰、ムスリムとしての再覚醒は、むしろ進みつつある。

2013-01-21 02:11:21
masanorinaito @masanorinaito

ところが、第二世代の若者のあいだにも、自らスカーフやベールを着用する女性が増え、モスクに集いイスラームを学ぶ青年が増えたのである。フランス政府も、フランス社会も、激しい苛立ちと、彼らへの敵意をあらわにした。

2013-01-21 02:10:06
masanorinaito @masanorinaito

しかし、1980年代から様子がおかしくなってきた。移民の第一世代は、中東やアフリカの地方農村から出てきたので、故郷の伝統にしがみつくから宗教的に保守的なのだろう、と当時のフランスの社会学者は、よく言っていた。

2013-01-21 02:08:47
masanorinaito @masanorinaito

だが、彼らの多くはムスリムだった。最初、世俗的なフランス社会のなかで宗教とは無縁の生活をする人が多かった。フランスは、またしてもしてやったりと思ったことだろう。イスラム教徒もまた、信仰を捨てて、世俗主義フランスの価値を体得できたのだ、と。

2013-01-21 02:07:25
masanorinaito @masanorinaito

アルジェリア、チュニジア、モロッコ、そしてマリやニジェールのような西アフリカ諸国からも、フランスに多くの労働者が渡った。植民地支配も悪くなかったじゃないか、こうしてフランスで暮らせるんだから-フランス社会の移民への眼差しにはこういう歪んだ優越感が含まれていた。

2013-01-21 02:06:08
masanorinaito @masanorinaito

20世紀後半、アフリカや中東の諸国がフランスの植民地支配から独立すると、多くの人たちが経済格差を理由に、フランスへ移民した。言語ナショナリズムが強く、フランス語が話せないと暮らせないフランスに移民するには、旧植民地の人たちは有利だったのである。

2013-01-21 02:04:12
masanorinaito @masanorinaito

フランスの歴史的文脈のなかで、個人としての自由を確立するために、「教会と国家の分離」が必須だったことは、全くその通りであるし、そう、評価すべきことがらである。しかし、フランスは、それをムスリムにも、ほかの宗教の信徒にも押し付けたのである。

2013-01-21 02:02:49
masanorinaito @masanorinaito

テーマの方が、フランス人にとっては、もっと大きな問題だった。フランスという国は、宗教に対してひどく敵対的な態度をとる。世俗主義を厳格な国家原則としている。長いカトリック教会との確執、教会が人民を搾取してきた歴史を考えれば、フランス革命以来、教会の力を社会から排除したのは当然

2013-01-21 02:01:29
masanorinaito @masanorinaito

私は、隣のトルコ人とトルコ語で話していたのだが、司会の日仏会館(フランスの政府機関である)の館長が「ここでフランス語と日本語以外の言語を聞くとは思わなかった」とひどく棘のある言い方をした。まあ、そういう感覚なんだろうな、と思った。

2013-01-21 01:59:42
masanorinaito @masanorinaito

何年か前に、東京の日仏会館でシンポジウムに呼ばれて講演した。フランスの高等社会科学研究院にいるトルコ人教授と二人で話した。テーマは、フランスのムスリム移民について。

2013-01-21 01:57:31
masanorinaito @masanorinaito

イギリスもフランスも、「言語」(英語とフランス語)によって、中東やアフリカやアジアを「啓蒙した」ことを植民地支配のプラスの面として、いまでも堂々と唱える。泥棒に入った家で、テレビを直してやっかたら感謝しろ、というようなものである。

2013-01-21 01:53:19
masanorinaito @masanorinaito

だが、深刻な問題は、当の旧植民地側が、いまもって旧宗主国にさまざまなかたちで依存している、あるいは依存せざるをえない状況にあること。

2013-01-21 01:50:55
masanorinaito @masanorinaito

フランスも、マリとの関係をみれば明らかなように、旧植民地の「要請」に答えて、軍を派遣して国内の紛争を解決してもらおうというのである。それが、旧植民地の人々の、少なくとも過半数の多数意思である保証など、どこにあるのか?

2013-01-21 01:49:44
masanorinaito @masanorinaito

日本と近隣国の関係とは、この点で大きく異なる。イギリスは、いまもって旧植民地をBritish Commonwealth(The Commonwealth of Nations)として連合を維持している。

2013-01-21 01:48:41
masanorinaito @masanorinaito

ごく大雑把にいえば、アフリカや中東の国々が、これまでかつての宗主国に対して強い批判的な立場をとらなかったのは、一つには、経済的従属は独立後もつづいたために、批判できなかったからであり、もう一つには、旧植民地側が独立した後も宗主国と縁の深い独裁者の支配が続いたからである。

2013-01-21 01:43:43
masanorinaito @masanorinaito

その意味では、今回狙われたBPをはじめ、イギリスやフランス、ベルギーの企業と共同で事業を行うのは、中東・アフリカにおいてはリスクを高めることになる。いずれも、植民地をもってきた国であり、植民地支配したことを今でも謝罪しない。

2013-01-21 01:41:41
masanorinaito @masanorinaito

言うまでもないが、不公正というのは、相手国の政府や政商に対してのことではない。その土地の、市井の人々、貧しい人々、さまざまな意味で弱者と思われる人々にとって、日本企業の進出は、何らかの役に立っているのか?を問わなければならない。

2013-01-21 01:39:33
masanorinaito @masanorinaito

アフリカであろうとどこであろうと、商売のために日本人がでかけていくことに問題があるわけではない。それが、土地の人々に対する搾取になっていないか、不公正なことになっていないか、それを日本企業が厳正に吟味することが必要なのである。

2013-01-21 01:38:01
masanorinaito @masanorinaito

さらに、犯行グループがキリスト教徒や異教徒をターゲットにしたという話そものが、アルジェリア政府側による作り話である可能性をどうやって否定できるのか?日本のマスメディアは、欧米や当事国の情報を鵜呑みにせずに自ら証拠を得てから報道すべきである。

2013-01-21 01:35:08
masanorinaito @masanorinaito

イスラム教徒が同質的な存在であることなど、ありえない。

2013-01-21 01:32:58