海老原嗣生『決着版 雇用の常識「本当に見えるウソ」』への疑問
(1)%の推移の表記方法について
海老原嗣生『決着版 雇用の常識「本当に見えるウソ」』(ちくま文庫)、%の変化を%で表しているのが気になる(〇%アップ、p.73、等)。そういうのは〇ポイントアップ、っていうんじゃないの?・・と思ったら、引用されている玄田さんも「七パーセント・・上昇」と(p.178)。うーん。
2013-01-25 11:11:07(2)p.178の図表14-6「20~24歳の臨時雇用が増えた理由は?」について
★追記★ ↓ 表の数値については労働力調査のデータを見れば確かに増減0であることを確認しました。表と文章中の記述「この間に20~24歳の基礎人口が24万人減少している」が矛盾している点に関する疑問はまだ解消されていません。詳しくはこちらhttp://togetter.com/li/447906の<2>をご参照ください。
海老原嗣生『決着版 雇用の常識「本当に見えるウソ」』p.178、20~24歳の総人口が91年と98年ともに932万人で増減0というのは、ほんと?と思って総務省統計局のデータで集計してみたら、91年は939.2万人、98年は925.9万人。http://t.co/BUTbaSKe
2013-01-25 11:27:19海老原(2012)のこの図表14-6は出典が玄田さんの『仕事のなかの曖昧な不安』と表記されている。しかし、単行本の方にはこの図表はない。中公文庫版にあるかは、あとで本屋で確認してみる。
2013-01-25 11:29:21やはり玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』中公文庫版にも海老原(2012)の図表14-6に相当する図表はない。この図表の出典が『仕事のなかの曖昧な不安』であるという海老原(2013)の表記は間違い。
2013-01-25 17:48:25海老原(2012)「この間に20~24歳の基礎人口が24万人減少している」p.179.p.178掲載の図表14-6では総人口の増減は0。表と解説が矛盾。前述の統計局データの私の理解が正しければ、この間の20~24歳人口の減少は13.3万人。
2013-01-25 11:55:20(3)大卒男子は加齢により正社員化が進み30代中盤では95%近い正社員率になるか?
うーん、海老原(2012)に、またすごく気になる記述が。p.163に「読み進むと、・・『大卒男子は加齢により正社員化が進み30代中盤では95%近い正社員率』・・という話が書かれている」とある。しかし、雇用戦略対話第7回の資料にはそのような記述はない。
2013-01-25 13:48:05海老原(2012)p.163を読む限り、「読み進む」内容は、第7回会合の資料を指していると読める。p.164には、「資料①②③④の四部構成で総計36ページあるリリースペーパー」という記載があるが、これが何を指しているかは不明。第7回会合の資料は資料5まである。
2013-01-25 13:50:34第7回会合資料1のp.4(5枚目)には男性(大卒)30~34歳では正規の職員・従業員率が90%を超える数値を示しているグラフが掲載されている。「大卒の男性は、30歳代では、9割超が正規雇用」という説明が添えられている。これを言い換えたのが海老原(2012)の表現なのではないか。
2013-01-25 13:54:16雇用戦略対話第7回(2012.3.19)http://t.co/KS8qHtfW 資料1p.4 http://t.co/Cye4lopg
2013-01-25 20:40:23しかし、このグラフを「大卒男子は加齢により正社員化が進み」を読むのは明らかに誤読。これは厚生労働省「就業構造基本統計調査」(2007年)をグラフ化したものであり、あくまで1時点でのデータ。同じコーホートが年齢を重ねるにつれて正社員比率を高めた、というグラフではない。
2013-01-25 13:59:20↓ ここで「雇用戦略対話WG」と言っているのは、「雇用戦略対話ワーキンググループ(若者雇用)」のこと。以下同じ。
前にも指摘したがhttp://t.co/BhQX3e0n、海老原氏は同じ2007年就業構造基本統計調査のグラフを雇用戦略対話WGで示し、「最終的には多くの大卒男子が中小企業に入る」と解説をつけている。http://t.co/i4oFbfGr 資料2のp.72
2013-01-25 14:03:36内閣府雇用戦略対話WG第4回(2012.5.15)資料2海老原氏提出資料p.72 http://t.co/i4oFbfGr http://t.co/piTlC9Gt
2013-01-25 19:55:33これは海老原氏の誤読。もしくは曲解。当日の議事録を見るとわかる通り、海老原氏はこのグラフを「推移」として説明している。(雇用戦略対話WG第4回議事録p.2下から3行目以降)
2013-01-25 14:06:38↑ 雇用戦略対話WG(若者雇用)第4回(2012.5.15)議事録http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/
海老原「この右側のグラフはわかりますか、最初、20 代のとき大卒男子、83%しか正社員率がなかったのが、20 代後半で87%、30 代前半で92.7%、30 代後半で94.7%と、残り5%まで来る」(続く)
2013-01-25 14:08:04「加齢により」と海老原は語っているが、2007年の就業構造基本調査が示しているのは、明らかに、同一年齢集団の加齢による変化ではない。あくまで、一時点における、異なる年齢集団の正社員比率の話。
2013-01-25 14:10:16