【三題噺 #話咲 】氷、花見、虹

劣化版ツブ貝 @spiral_fair

花見がしたくなった。冬なのに。いや、冬だからかもしれない。なんとなく昔からそんなきらいはあったのだ。ないもの程欲しくなる。ふらふらと外に飛び出して外気の冷たさに思わず震える。探し物はなんですか？ 古い歌のフレーズが脳裏を過ぎって。（1/3）

劣化版ツブ貝 @spiral_fair

ちらちら舞う雪に合わせて踊るように夜の道をかけて行く。公園の小さな池の淵ぎりぎりをわざと体を揺すって歩く。それが存外楽しくて。足元の注意を怠った。パリンどぽんちゃらちゃら。服が水吸ってすごく重い。四肢が動かない。（2/3）

劣化版ツブ貝 @spiral_fair

これは死んだかななんてやけに冷静。水が冷たいから頭も冷えたんだろう。水の中からみた外は綺麗。ここで死ぬなら悪くはない。砕けた氷に反射して虹色に輝く街灯。水面で溶けずに水中に降る雪の華。「 。」声は泡になって溶けて消えた。（3/3）

竹薮みさえ @misaeyabu

【三題噺「氷、花見、虹」】１その海の氷は溶けることがなかった。いや正確には少しは溶けるにしても溶けきってしまうことはなかった。溶けては凍り、溶けては凍り、海は何層にもなって深く深くなっていった。氷の層のなかにはわずかだが空気が入りこんでいた。大気中の塵や微生物、＃話咲

竹薮みさえ @misaeyabu

【三題噺「氷、花見、虹」】２たまたま紛れ込んだ人間の跡もあった。氷の海はうすまった世界のよう。氷が海のそこに届いたとき。海底は驚いた。なんだこの塊は。冷たい。そして堅い。重いような気もする。海底は自分に触れてくるその全体を受け止め、じっと観察した。#話咲

竹薮みさえ @misaeyabu

@misaeyabu 【三題噺「氷、花見、虹」】３海底のそここにあるセンサーが徐々に感度を高め精度をあげていった。これはなんだこれはなんだこれはなんだ。その問いかけが振り切れたとき、海底にはいくつもの眼がうまれていた。そこからサーチライトのような光がさした。#話咲

竹薮みさえ @misaeyabu

【三題噺「氷、花見、虹」】４ 凍った海に幾筋もの光がさした。その光からいくつもの屈折がおこり、まるで万華鏡のような虹が海に満ちた。海底は思った。なんと美しい。これが春というものではないか。本当の春。海底が照らし出した氷の海はまるで春の日射しのような細かな虹がゆれ、#話咲

竹薮みさえ @misaeyabu

【三題噺「氷、花見、虹」】５ 大気の細かな泡は花びらのように降り、舞っていた。#話咲

竹薮みさえ @misaeyabu

【三題噺「氷、花見、虹」】６ 海を凍らせたものはなんだろう。大きな大きな海を凍らせてしまうようなもの。その正体がなんであれ、それは海底だけが見る「虹」と「花」を育てた。今l、氷の海のそこに「本物の春」のあることを、それはしらない。#話咲

ネコ山🍦テルミン @ka_0505_ka

【氷、花見、虹】 今夜は望である。夜間偵察飛行にはあまり向かない夜だ。男は一月前、外地に向かうと新妻に告げ、今、この氷の粒子が月光に照らされ雪原のように明るい雲海の上にいる。このまま雲上にいても任務にならぬので慎重に高度を下げる。が、あろうことか敵偵察機が真下にいる。 #話咲

ネコ山🍦テルミン @ka_0505_ka

2.こちらはうす明るい雲を背景に丸見えだ。仕方がない。墜とす。だが、攻撃機とは火器の配置も違い、上が有利という訳ではない。向こうも気づき戦闘体制に入る。散発的に機銃を撃ちながら、しばらくお互い有利な位置を得るための乱舞が続く。 #話咲

ネコ山🍦テルミン @ka_0505_ka

3.あまり長引けば敵援軍も相手にしなければならず、ぞっとしない。敵機が背後を捕り、弾を浴びせる。まずい。左主翼に被弾し火を噴く。が、同時に後部銃座の射手が敵機コックピットを薙ぎ払っていた。敵機が時折オレンジ色の炎を揺らめかせ、 #話咲

ネコ山🍦テルミン @ka_0505_ka

4.たよりない軌道を描きながら暗い海面に達するとひときわ明るい光を放ち、それきり見えなくなった。後部の射手に声をかけるが応答はない。男の背中にも生温いぬめりが広がる感触があり、操縦桿を握る手から徐々に抜けていく。 #話咲

ネコ山🍦テルミン @ka_0505_ka

5.基地の島の伝承では、月の光に浮かぶ白い虹は死者の魂が通る道の入口だと言う。夜桜見物の人混みの中で、幸せに溢れた妻の顔が一瞬鮮明に浮かぶ。男は残る力で操縦桿を目一杯引き上げた。<了> #話咲

なな @ki7_2n

春です。桜満開です。 パッと風が吹きました。花びらが空気を桜色に染めます。どこまでも花びら達は飛んで行き、その中の一枚はなんと北極まで行きました。氷の上にひらりと落ちた花びらは、澄んだ空の虹を見上げました。 見られるんじゃなくて私が見るのも花見かな？花びらはそう呟きました #花咲

安眠戦士 @anminsenshi

１人きりのボクの部屋。いつも眺める外の世界。窓から一番近くにあるのが軒下のつらら。外の寒さは厳しいらしいけど、晴れた昼には日差しが眩しく部屋に入り込む。そんな日には、つららは陽の光を透明な柱に閉じ込める。きらめく氷の虹はボクの見たことのない景色を映し出すプリズム。(1/2)#話咲

安眠戦士 @anminsenshi

萌える新緑、舞い散る桜吹雪。人々の愉しげな笑い声。ボクは想いを馳せる。想いに翼をつけて飛ばす。動けない床の中にあっても、ボクは何処にでも行ける。…つららはやがて溶け、虹は雫となって落ちるのだろう。そして春が来る。(2/2)#話咲

Sechs @Mark_Sechs

「おや、おでかけかい？」軽く荷を整え、上着を羽織ったところでルームメイトに声を掛けられた。「ああ、花見さ」「花見って、今は12月じゃないか。どこで見られると言うんだい？」どうやら、何のことかはわからないようだ。「丁度いい、君もついてこいよ。 #話咲 (1/5)

Sechs @Mark_Sechs

きっと気に入るからさ。」彼を伴い、近所の公園へ向かう。「花見、ねぇ…一体何を見せてくれるのか、教えてくれたっていいじゃないか。」少し膨れっ面になっているようだ。「いやぁ、耳で聞くより、実際に目で見てほしいのさ。それより、足元に気を付けなよ？」なんのことだい、 #話咲 (2/5)

Sechs @Mark_Sechs

と言おうとして彼は思い切り転倒した。「今朝降った雪が溶けてまた氷が張っているからさ。」仕方がないやつだ。手を貸してやろう。「もう少し早く言ってくれたまえよ。」恨めしそうにこちらを睨んでくる。「さて、そろそろだと思うよ。」公園のベンチに腰掛け、その時を待つ。 #話咲 (3/5)

Sechs @Mark_Sechs

「そろそろって、風が出ていて寒いばかりじゃないか。花なんて咲いていないし…。」その時、白い花弁が舞った。「いや、花が散り始めたよ。」午後の陽光の中、風に乗って踊る無数のそれらは、地に落ちると幻のように消えていく。「こうやって、風に舞う小雪のことを、 #話咲 (4/5)

Sechs @Mark_Sechs

風花というんだよ。」呆気に取られた顔をしている彼に悪戯っぽく笑いかける。「なるほど、なるほどなぁ―風花か。綺麗な言葉だなぁ。だけど―」彼の指さす方を見て、今度は僕が呆気に取られた。「思わぬ客も来たようだよ。」雪花舞う晴天に、鮮やかな虹が弧を描いていた。 #話咲 (5/5)

gray_0120 @gray_0120

三題噺【かばん、氷、花見】 そろそろ桜が満開だと天気予報が教えてくれた。ｺｯｿﾘと鞄にｼｬﾙﾄﾘｭｰｽﾞを忍ばせ、仕事を抜け出し車を山間の村へと走らせる。(1/2) #話咲

gray_0120 @gray_0120

渓流をはさんで両側の山肌に１本ずつの桜の樹。路肩に車を停め、対岸の桜を眺めながら飲むｵﾝ･ｻﾞ･ﾛｯｸ。頭上の桜の花びらが、ひらひらｸﾞﾗｽに舞い降りた。(2/2) #話咲

gray_0120 @gray_0120

#話咲 ﾀｸﾞを読み返して気付いたのですが、ひょっとしてお題は「人魚姫、かばん、間違い」「氷、花見、虹」のどちらかなのでしょうか？6つのなかから3つ選ぶのかと勘違い…あぁどうしよう