【エアミス研名物】お玉さんの生島治郎マラソン

エアミス研名物、お玉さんの作家別完読マラソンシリーズ。今回は国産ハードボイルドの祖・生島治郎の作品を、主人公別に読み進めてらっしゃいます。
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お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、新年になったので、お玉さん名物、誰得? 読書マラソンをやろうと思います( ´ ▽ ` )ノ 『本ミス作家を読もうマラソン』『テキトーに内田康夫を10冊くらい読もうマラソン』『神津恭介マラソン』に続く第四弾ですよ〜

2013-01-03 00:39:58
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

はじめにゴメンナサイ。 リクエストをいただきました、斎藤栄、島田一男、蘇部健一、江戸川乱歩賞候補作、黒豹シリーズΣ(゚д゚lll) 、それらの読書マラソンは別の機会となりますわ。 \(´Д` ) 申し訳ありません。

2013-01-03 00:41:08
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで、 『冒険商人・紅真吾 & 探偵・志田司郎』マラソンを行いますよ( ´ ▽ ` )ノ わぁい。 …… …… …… えっ、何、それ? 聞いたことないよ〜? そんなの知らない?

2013-01-03 00:43:24
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そうです。 時代から忘れさられたミステリー界の巨人の一人を読んでいきます。 生島治郎マラソン なのです。紅真吾シリーズ4冊、志田司郎シリーズ11冊、おつきあいください。 お玉さんはハードボイルドだぜ〜

2013-01-03 00:46:07
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

何故、今、生島治郎なのか? ちょっとマジメに。 もし日本ミステリー史を体系だって思索を行うなら、その歴史上かなり重要な位置をしめる作家の一人なのに……、おそらく今後新規の読者を開拓したり、再評価をされる機会が全く考えられない作家だから、なのです。

2013-01-03 00:49:33
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

僕がtwitterをはじめた当初、話題にあがっていたのが、本格冬の時代論争……。それが事実かどうかはわからないのですが、もし冬の時代があったとすると、その戦犯として名前をあげなければいけない作家は、松本清張! じゃないような気がします。 生島治郎、まさにこの人じゃないかしら?

2013-01-03 00:53:51
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

マラソンのために先行して何作か読んでいるのですが、いやぁ、スゴイねぇ、生島治郎。 ハードボイルド&冒険小説は日々異常進化しているジャンルなので、明らかに古臭いのだが、それでも、そこで繰り広げられている方法論は、和製ハードボイルドの始祖の段階としては驚愕するものがありますよ〜

2013-01-03 00:54:10
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

初期の作品で実践された和製ハードボイルドを書くために取られた手法が、もうその後に登場する作家さんたちに影響を与えまくっているわけなのですよ……。 先行していた大藪春彦や結城昌治とは違う、地に足のついたハードボイルド。その見せ方の上手さよ……

2013-01-03 00:55:49
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

まぁ、40年近い作家生活をおくられており、ジャンルの異常進化についていけなかった感があったりするのが……。 自分で作り上げた数々の手法を他の作家がより洗練させていく。その過程に自らは取り残されていく……。 そういった苦悩をシリーズを追う上でみられそうで、ちょっとワクワクです。

2013-01-03 00:59:20
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さぁ、生島治郎マラソンにレッツトライ。 冒険商人・紅真吾シリーズ、第一作『黄土の奔流』を読んじゃうよ〜( ´ ▽ ` )ノ 紅真吾シリーズは全部で四冊! 楽勝だぜ〜

2013-01-03 00:59:22
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』は、昨年末、ほほ最終章まで読み進めていたので、明日あたりに投下できるだろう。会社にはコレと『夢なきものの掟』を持って行こう( ´ ▽ ` )ノ

2013-01-03 02:41:02
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さてさて、生島治郎マラソン、紅真吾編その1。『黄土の奔流』読了( ´ ▽ ` )ノ 三回目くらいの再読でした。 1965年刊行。第54回直木賞候補作。 1985年度版文春、東西ミステリーベスト100では29位。この間のベスト100では、……当然圏外。

2013-01-04 00:08:50
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 日本ミステリー史の上での冒険小説→エンタメ小説を語る上でマイルストーンとなる歴史的一冊。この小説が無かったら、その後の和製冒険小説の文脈は、かなり変わったものになったかもしれない作品なのだが、……やはり、古臭いんよね( ´ ▽ ` )ノ

2013-01-04 00:12:19
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 舞台は1923年の中国。腕っ節の強いタフガイ、しかし一文無しの紅真吾が、高価な豚の毛を買いつけで一攫千金を企む、そんなストーリーです。 日本の商社マンとの駆け引き。仲間集めと人間関係の軋轢。豚の毛の産地重慶への波乱の旅。 過不足のない文体で描かれる、その波乱万丈!

2013-01-04 00:18:31
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 生島治郎が当初予定していたタイトルがまさに『豚の毛』Σ(゚д゚lll) それでは売れないだろう……、と光文社の社長さんが、(かってに)つけたのがこのタイトルになるそうです。

2013-01-04 00:23:04
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 ちなみに、こうどのほんりゅう、と読みます。刊行当初は、おうどのほんりゅう、だったのですが、星新一からの「嘔吐みたいで汚らしいよね」という提案があって、その読み方が変わったのであります。 心温まるエピソードだぁ〜( ´ ▽ ` )ノ

2013-01-04 00:26:20
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 さて、やはり読んでみると、話に大きな主軸がないのが気になります。 小さなエピソードが幾つも展開されるのですが、それが積み重なって物語や人物の印象を色濃くしていきラストのダイナミズムに繋がる、……といった手法は使用されず、エピソードがぶつ切りで、数珠繋ぎなのよ。

2013-01-04 00:32:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 ラストがとんでもなく唐突で、一応伏線らしきものはあるのだが、腑には落ちないのよ\(´Д` ) ハードボイルドの主人公としての紅真吾が最初から自己完結している状態で登場しており、主人公の成長譚の物語ではないのが起因なんだろうね……。

2013-01-04 00:36:33
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 たが数珠繋ぎのようなエピソード一編を単位として見れば、そのアイディアと構成とスピーディーさには息を飲む。 紅真吾の相棒となる葉村さんの小洒落た物言いはクスリとさせられるし、短めのちょっとした、しかし強烈な挿話で書かれる脇役たちはどれも個性的で面白いし、扱いも上手い

2013-01-04 00:46:45
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 例えば、船の中で仲間の一人が殺されたΣ(゚д゚lll)というエピソード。 侵入者のない状況下の疑心暗鬼をサッと書き出し、被害者の手記で当時の時代の状況と特殊な動機へと展開し、容疑者への尋問でタフとは違った男の美しさを見せて、意外な犯人へと帰着させたりする。

2013-01-04 00:53:01
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 で、そんなクローズドサークルを行った後のエピソードが、盗賊たちとの銃撃戦Σ(゚д゚lll) しかもグッとくるキャラクター投下。も、萌え〜。で、恋愛エピソードをさっと書いたりするんだよ〜。

2013-01-04 00:56:26
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 1923年中国という設定の上手さ。もう何でもアリなので、何でも詰め込むことができるの。 で、紅真吾たちが追い求めるのが豚の毛というのも面白い。いい歯ブラシが出来るそうです。歯ブラシで現在価値にして十億円の商売ができるとは思えないが、この冒頭のウソが故、物語が映える

2013-01-04 01:01:10
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 細かな数珠繋ぎ的なエピソードには、ミステリーな謎が用意されていたりすることもあるのですが、その解決が本当にスピーディー、事件発生、10ページ後解決みたいな……。事件の解法を面白さのキモにしているのではないことがよくわかるわけで……。

2013-01-04 01:07:09
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 小松左京の「純国産『国際冒険ロマン』の可能性をきりひらいた」という談話が、まさに言い得ているのよね。 冒険小説の始祖。 でもあるし、君にも書ける冒頭小説( ´ ▽ ` )ノ それを読者に思わせる筆力が作品全体に満ち溢れてるのよね。 細かなテクニックが……、すごい

2013-01-04 01:14:27
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『黄土の奔流』 以後の冒険小説を体験しているので、作品に暗い情念が少なく、人はバンバン死ぬのに牧歌的であるのは辛いところである。 長編ではなく、連作短編の趣きも強い。大きなテーマに沿った内容ではないので、中国ビックリ体験記の様相になっているのも……。

2013-01-04 01:21:42
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