2013.2.10　最上義光シンポジウムまとめその二　最上の乱、最上統一戦争

最上義光プロジェクト @mogapro

この前森蔵人の下克上には義光が黒幕であるとされてきました。しかし新発見の史料である鮭延秀綱の回顧録により、義光黒幕説は否定されたのです。義光にとっては棚ボタ的ラッキーな敵の自滅でした。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

（´-`）.｡oO（義光の勢力拡張は、知謀が傑出しているというよりもあやういパワーバランス間で無難かつ最善の手を尽くしていたというかんじがしますね）

最上義光プロジェクト @mogapro

その翌年の天正12年6/12、山形城で義光に敵対していた白鳥十郎長久が殺害されます。このとき軍記では仮病を使った義光が、枕元で永久を一刀両断したとされ、そこで血がふりかかった桜が「血染めの桜」として昭和まで残っていたと言います。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

この義光暗黒伝説で有名な場面ですが、近年発見の史料では伝説であるとわかってきました。長久山形城にて死亡は確実ですが、他ははっきりしません。発砲があった、氏家某も同時死亡、家督相続前の政宗が吉報としてとらえていることがわかっています。白鳥側の記録もありません。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

大宝寺、白鳥とライバルを平らげた義光は、いよいよ仕上げにかかります。天正12年10月、家臣団の離反により天童氏が滅亡。さらに翌3年、義光は庄内地方への足がかりとして延沢満延を派遣し鮭延城の攻略にかかります。このとき、城主秀綱は24歳でした。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

秀綱は鮭延城主の子でしたが、幼い頃に鮭延城を攻撃した大宝寺義氏に連れ去られ、義氏の小姓として仕えていました。経緯はともかく秀綱は義氏に恩義を感じており、謀反により義氏が自刃した際には殉じようと思ったほどです。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

九死に一生を得た秀綱は鮭延城主となります。寡兵でよく粘った秀綱ですが最上勢に降伏、家臣となりました。秀綱という庄内にあかるい家臣を得た義光は、いよいよ海をめざします。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

天正15年、義光は庄内の大宝寺義興をくだし捕縛。やっとねんがんのうみ（と、そこからとれるしゃけ）をてにいれたぞ！#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

しかし翌天正16年、本庄繁長が上杉氏の支援を得て来襲、十五里ヶ原の戦いで最上勢は大敗し庄内を失うのです。この頃には豊臣秀吉の覇権が決し、義光が存分に鮭を食べることはできなくなるのでした。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

以上が最上の乱から最上統一戦争の流れです。では、こうした新史料発見とそれ以前ではこの経過にどのような差があるのか、まとめてみましょう。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

ビフォー：天正8まで天童氏滅亡→天正９鮭延秀綱降伏→天正11大宝寺義氏、義光が黒幕の前森蔵人の叛乱にて自害→天正12白鳥長久謀殺、白鳥氏および寒河江氏滅亡→天正15大宝寺義興敗北→天正16十五里ヶ原の戦い#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

アフター：天正11大宝寺義氏、前森蔵人の叛乱にて自害→天正12白鳥長久殺害、白鳥氏および寒河江氏滅亡→天正13鮭延秀綱降伏→天正15大宝寺義興敗北→天正16十五里ヶ原の戦い#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

さらに従来、政宗に敵対した諸大名家をまとめた伊達包囲網の首謀者が義光であるという義光暗黒伝説ですが、このころ天正12、13年は白鳥、寒河江、鮭延と攻略しておりそれどころではなかったという事実もあきらかになります。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

では義光人物像のビフォーアフターも見てみましょう。ビフォー：天正8年最上の乱にて、義光は里見民部をそそのかし上山満兼を謀殺した　アフター：最上の乱では里見民部がはじめから義光の味方であった　#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

ビフォー：延沢、楯岡、成生、蔵増らを根回しして裏切らせて、汚いさすが義光きたない。アフター：国人衆がそれぞれ独自にヘッドハンティングに応じたわけで、義光が汚いと言われるいわれはありませんよ。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

ビフォー：白鳥長久を枕元に呼び出しNice boat. アフター：まあ詳しくはよくわからないけど、血染めの桜とかそういうのはとりあえず嘘だし、めんこい甥っ子も支持した殺害でしたよ。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

蛇足、血染めの桜伝説。白鳥長久暗殺は劇的なためか、ドラマや小説でとりあげられる機会が多い場面です。どうやらこの伝説は初めは軍記で創作され、明治末か大正期により広まったようです。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

明治時代、山形城址霞城公園は山形歩兵第三十二連隊駐屯地になりました。連隊歌には「霞城に咲き誇る血染めの桜仰ぎ見よ」という歌詞があります。そしてだめ押しは『独眼竜政宗』に「ギリニ」といったどころでしょうか。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

ちなみに「血染めの桜」は昭和期に枯れましたが、霞城公園内山形市郷土館近くには「白鳥十郎首洗いの石鉢」なるものがあります。「血染めの桜」は俗説がいかにして拡散され定着していくかの興味深いサンプルにも思えてくるような。#義光シンポジウム

最上義光プロジェクト @mogapro

蛇足はこれまで。このように義光に関しては新発見の史料も多く、人物像のみならず研究対象としてもおもしろい武将であると言えるのではないでしょうか！今後も新たな発見があるかと思うとわくわくしますね。明日は山形城の発掘調査についてお届けします。( ´ ▽ ` )ﾉ#義光シンポジウム