バトルクエスト・クレンチ・ユア・フィスト #8

翻訳チームによるサイバーパンクニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) 日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」逆さ昇り蹴りがオーバーウェルムを狙う!オーバーウェルムは腕を振って力任せにこれを跳ね飛ばす!「イヤーッ!」アコライトは空中で二回転ののち、間合いを取って着地した。右掌を前に!右膝を曲げ、左脚を後ろに!アルキメデスであっても崩せぬニンジャバランス力!ゴウランガ! 45

2013-02-14 18:15:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フーッ」アコライトの全身にカラテが漲り、さざ波めいて身体を震わせる。「イヤーッ!」オーバーウェルムは額から気合いと血飛沫を散らし、一瞬にしてカラテ止血した。「良い動きだ。褒めてやる」オーバーウェルムは構えた。「貴様のような必死な奴を壊してのたうち回らせるのが俺の喜びよ」 46

2013-02-14 18:27:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ワオオオーッ!」闇カネモチが湧いた。カタナじみた目の女オヤブンがジバヌチを睨む。傍には彼女の代理戦士が控える。「やってくれたのう。これではワシらの出番がスシのガリじゃわ」女オヤブンが言った。「勝算有りか?何を企んでおる」「企み?ハッ!」ジバヌチは笑い捨てた。「くだらん!」47

2013-02-14 18:46:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ジバヌチのこめかみには太い血管が浮き、見開いた目は血走っている。焦燥と高揚が老いた身体を燃やしているのだ。「やれ、ボンズ!カラテだ。それだけがただしきものだ。おれにただしきものを見せろ、ボンズ!」48

2013-02-14 19:24:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「イヤーッ!」アコライトとオーバーウェルムが再びぶつかり合う!長い手足を恐るべき鞭めいて繰り出すオーバーウェルムの残忍なカラテと、地に楔打つがごときアコライトの岩山めいたカラテ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 49

2013-02-14 19:26:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

どちらのカラテも凄まじきものであったが、体格で勝るオーバーウェルムが徐々にアコライトを押し始める。だがアコライトはイクサに没入した。この宮殿の地下牢は彼にとっての再びのハンセイボウであった。ボンジャン・テンプルの日常インストラクションを彼は反芻した。片手拍手の問答を。 50

2013-02-14 19:38:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キナコを見つけ出したとしても、彼女は帰りたがらぬかもしれない。ナンシーは言った。彼は答えた、それを決めるのは自分でもガンダルヴァでもない、彼女自身であると。あれが答えなのだ。彼は既に答えを見ていたではないか。何を迷う!「イヤーッ!」「グワーッ!」ボンジャン・ケリ! 51

2013-02-14 19:42:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オーバーウェルムは横飛びに石床でウケミし、体勢を瞬時に復帰した。彼は踏み込みながらのミドルキックで攻撃しようとした。その視界に、玉座上の主がよぎる。ガンダルヴァは片手をかざし、アコライトを凝視している。オーバーウェルムは舌打ちし、攻撃タイミングを遅らせた。 52

2013-02-14 19:45:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アコライトはこの隙を好機と捉え、オーバーウェルムにボンジャン・ジャンプパンチを繰り出そうとした。石床を踏みしめ、「イ……」踏みしめ……ガンダルヴァが片手をかざし、アコライトを見つめている。アコライトは玉座上の彼の目が黄金の輝きを放つ錯覚にとらわれた。「グワーッ!」 53

2013-02-14 19:50:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

オーバーウェルムの容赦なきミドルキックがアコライトの顔面を直撃した。アコライトは吹き飛び、石床に叩きつけられた。手をついて起き上がるが、彼はガンダルヴァから目を離す事ができない。視界端で、オーバーウェルムは軽くフットワークを踏む。何らかの攻撃準備だろうか。だが……。 54

2013-02-14 19:51:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは……?」アコライトは首を振り、視界に重なり合う薄暗き光景を払おうとした。キナコとナンシーが鎖でつながれ、投げ出される……「イヤーッ!」「グワーッ!」アコライトは咄嗟に右腕を掲げてガード姿勢を取る。だがオーバーウェルムの蹴りは重い!よろめく!「イヤーッ!」「グワーッ!」55

2013-02-14 19:58:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二連続の蹴りを防ぎ切れるものではない!アコライトは再び地を舐めた。「ワオオオーッ!」闇カネモチが湧いた。オーバーウェルムはだらりと垂らした両腕を揺らし、石床の舞台上をのしのしと歩く。アコライトは起き上がろうとする。ジバヌチがなにか叫んでいる。ガンダルヴァが見つめる。 56

2013-02-14 20:02:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

キナコとナンシーはともに裸だ。護衛戦士達が玄室の戸口を固め、美麗なオイラン達が笑いながら盃を渡しあう。彼らに見守られながら、キナコとナンシーは互いに貪りあうのだった。オーバーウェルムの拳が目の前だ。「イヤーッ!」「グワーッ!」アコライトは吹き飛ぶ! 57

2013-02-14 20:07:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アコライトは困惑しながら起き上がった。ではナンシーは……その努力は無に帰したというのか?キナコとともに彼女は囚われ……ガンダルヴァが超然と微笑みかける。アコライトは疑念を振り捨てる。だがオーバーウェルムほどの使い手には、その一瞬があれば十分なのだ。「イヤーッ!」「グワーッ!」58

2013-02-14 20:17:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((その通り)))ガンダルヴァの教え諭す声がアコライトのニューロンに響き渡る。(((お前の不安は尤もだ。なぜならば、これは現実の光景ゆえ。今まさにこの神の園にて執り行われている楽しき行いを垣間見たがゆえに)))「イヤーッ!」「グワーッ!」 59

2013-02-14 20:25:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((禁欲と鍛錬で真実に到達できるなど甘えだ。お前の邪教は甘えと欺瞞の塊なのだ。だが安心せよ、お前は邪教の身でありながら、幸いにも崇高なる欲望の門を開く機会を与えられた。私は寛大であるゆえ。求めよ、ことごとく求めよ。肉を寿ぎ、蛇を呼び覚ませ)))「イヤーッ!」「グワーッ!」 60

2013-02-14 20:29:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「グワーッ!」アコライトは石床に打ち倒された。オーバーウェルムは値踏みめいて間合いを取り、待ち構える。アコライトは己のニューロンの奥底で残忍性が身じろぎする感覚に震えた。(((呼び覚ませ)))己をハンセイボウに繋いだ記憶を甘いノイズが焦がし、上書きにかかる。61

2013-02-14 20:38:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((呼び覚ませ)))オーバーウェルムが見下ろす。ニンジャ性を呼び覚ませ。己の中の蛇を。アコライトは歯を剥き出し、構えようとする。ガンダルヴァの目が輝く。……アコライトは息を吸い、吐いた。「求めるな」彼は呟いた。オーバーウェルムはアコライトの表情を見、眉根を寄せた。62

2013-02-14 20:50:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何を!」突如ガンダルヴァが叫び、玉座から腰を浮かせた。「何を戯言を抜かす!」「イヤーッ!」オーバーウェルムは稲妻めいた蹴りを繰り出す。「イヤーッ!」アコライトは回し蹴りを合わせ、これを相殺した。「ガンダルヴァ=サン!どうした!」オーバーウェルムが叫んだ。「よせ!」 63

2013-02-14 21:02:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よすだと?貴様こそ何をバカな」ガンダルヴァが叫び返した。「こんな事があってたまるかというのだ!異常事態がわからんのか?」「黙れッ!」闇カネモチ達がざわついた。イクサの最中の、しかも彼らにとって意味不明の諍いだ。ガンダルヴァは異常なほど激昂していた。 64

2013-02-14 21:07:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」オーバーウェルムが掴みかかる!「セイヤッサーボンジャン!」アコライトは天に向かって垂直に右拳を突き上げた。同時に右膝を高く上げたのち、踵を真下に打ち下ろした。「ボンジャンハイ!」「グワーッ!?」オーバーウェルムが吹き飛ぶ!ゴウランガ!これは「拒否のハンマー!」 65

2013-02-14 21:12:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「求めるな!」あの日アコライトに呼びかけた声は己のニンジャソウルであったろうか?だがアコライトは違った解釈をしていた。あの時の声はむしろ、己のニンジャソウルを律する指針、ボンジャン・ロードの羅針盤ではなかったか?求めるな。答えに飛びつくな。片手の拍手! 66

2013-02-14 21:22:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ボンズ!こっちを見ろッ!」ガンダルヴァが叫ぶ。オーバーウェルムは舌打ちした。アコライトはオーバーウェルムに向き直った。ガンダルヴァが喚く。「ビジョンは真実であるぞ!無礼者!キナコ!アナスタシア!どちらも我が教えを身体の芯から理解し、今やセントーの中に……」「セントーだと?」67

2013-02-14 21:26:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンダルヴァ、オーバーウェルム、アコライトは、第四のニンジャの声の方向を同時に見やった。「その者らはオヌシのセントーとやらにはおらんぞ。見ての通り、ここにいる」 68

2013-02-14 21:30:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「誰だ!」ガンダルヴァは闘技園に接する宮殿の屋上を指差す。そこには肩の左右に一人ずつ女を抱えた赤黒のニンジャの姿があった。薄物姿の女の一方はキナコ。一方はナンシー・リーだ。ナンシーが頷くと、彼は彼女をカワラ上に降ろす。ナンシーは朦朧としたままのキナコを支えた。69

2013-02-14 21:43:22