【特別座談会前半:<ふるさと回帰運動の10年を総括する>】

認定NPO法人ふるさと回帰支援センターは昨年で設立10周年を迎えました。発足当初から交流のある方々(大地を守る会会長:藤田和芳氏、元総務省事務次官:嶋津昭氏、元JA全中専務理事:山田俊男氏)をお招きし、代表理事の高橋公と共に特別座談会を開催いたしました。今回は機関誌『100万人のふるさと早春号』に掲載された、座談会の前半部分の発言を一部抜粋してまとめました。
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《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

<ふるさと回帰運動の10年を総括する>(1)【ふるさと回帰運動が始まった時期は日本の転換期だった】山田:「1996年にJA全中の常務に抜擢された。全中は会長が先頭にたって「団塊の世代よ、ふるさとに帰ろう」と提唱した。WTOとの交渉が2000年に始まり山場にさしかかる頃だった」

2013-03-08 14:17:25
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(2)高橋「JA全中の呼びかけで、食糧、農林漁業、環境フォーラムが2001年に発足し、その中で私が座長となりふるさと回帰循環運動のプロジェクトチームをつくりました。」

2013-03-08 14:18:43
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(3)藤田:「この10年は、ふるさと回帰運動が始まる時期というのはある意味で大きな転換期だったと思います。平たくいうと戦後日本という国はそれまで第一次産業や農村、漁村を中心とする社会ではなく、世界的な流れの中で工業を中心とする国づくりをして以降とアメリカ的なものを追いかけた」

2013-03-08 14:20:23
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(4)藤田「われわれ団塊の世代は農村の二男や三男、大量の労働力を都市へと動かしてくる時期です。集団就職、金の単語と言われて、600万人も農村から都市へきた。日本の安い労働力を使うことで、日本の輸出はどんどん盛んになり、工業化社会を作り上げ高度経済成長を達成しました」

2013-03-08 14:22:07
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(5)藤田「でも、団塊の世代がちょうど定年を迎えることになって、はたしてこういう国のつくりかたが良かったのかと。競争社会を作り、他人を蹴落として自分だけたくさんの金やたくさんのものを手に入れればそれで幸せになるという社会。」

2013-03-08 14:24:11
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(6)藤田「でも振り返ったら、農村は崩壊。食べ物、未来に対しても不安が起き、公害問題もでてきた。もう一度、ふるさとや第一次産業に目を向けて我々が持っていた豊かな自然、人と人とが助け合う共同体に目を向けようという流れが、ふるさと回帰運動の一つの思想的バックグランドだと思います。」

2013-03-08 14:26:28
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(7)高橋「バブルが崩壊してからは内閣府の意識調査では『田舎に帰りたい』と30%が答えたという結果もあった。でも当初は、連合内でもいくつかの労組から反対があった。労組は労働者の生活と権利を守るためのもので、ふるさと回帰運動にはなじまないと言われたんです」

2013-03-08 14:29:32
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(8)嶋津「社会的にはバブルが崩壊し、労組も春闘でのベースアップが否定された時期ですね。何か別の運動を考える必要がでてきた。その当時言われていたのが2007年問題という、二つの問題でした。」

2013-03-08 14:31:26
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(9)嶋津「2007年問題とは、団塊の世代1974年から79年生まれの600万人が定年を迎え日本の就業構造自体が大幅に変わるという問題です。もう一点は人口統計からすると、2007年は日本の人口が減少すると言い続けられてきました。」

2013-03-08 14:32:42
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(10)嶋津「しかし団塊世代は60を超えても働き続け、60~64歳までの就業率がその時期に3ポイントも上がった。地方の活性化を考えたときに、団塊の世代を含めた人たちがふるさとに回帰してくれることはどうしても必要だと思いました。だからふるさと回帰運動と地方自治体の連携が必要だと」

2013-03-08 14:35:06
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(11)【社会構造の変化を踏まえ新たなんふるさと回帰運動をどう作るか?】嶋津「一番強く感じるのは、働き方の構造ががらりと変わったこと。地方も年もです。いまや農業を除いて35%は非正規雇用です。正規雇用の生涯賃金が3億円だとすると、派遣社員は1億円弱。パートの人は4~5000万円」

2013-03-08 14:39:35
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(12)嶋津「いわゆる格差社会です。もうひとつ、身の回りの風景の変化です。大都会を除いて街の商店街が全部シャッター通りになってしまった。働き方なり景色が全く変わってきた中で、ふるさと回帰をどう位置付けていくのかという新しい問題があると思います。」

2013-03-08 14:41:03
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(13)藤田「本来、労働運動や農業協同組合の運動は権力との対立でした。しかし、ふるさと回帰運動は対立から、むしろ共感を得ていこうとする。米価闘争だけでは農民のわがままにしか思われません。消費者を巻き込んで初めて、国民の共感が得られます。」

2013-03-08 14:47:55
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(14)藤田「子どもや孫の時代も食べることに困らない社会を作りたいというのが共感に繋がった。労働運動も自分たちだけではなくて環境問題やこれからの社会をどうつくるかというところに踏み込む。自分たちの利害だけではない、全体の社会にたいする 提案が起きた時に共感が生まれていくんです」

2013-03-08 14:49:11
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(15)高橋「私も35年間自治労にいたが変わり者扱いだった。時代が大胆に、ドラスティックに変わってる中で、労働組合が変わりきれない。労働組合が見えない、影響力もなくなってきました。このことを真摯に受け止めるべきだし、ふるさと回帰運動は将来に希望を持たせることにつながっているはず」

2013-03-08 14:51:53
《復興六起》~内閣府認定被災地復興事業~ @fukkou6kki

(16)嶋津「団塊の世代に焦点を当てるというよりは、団塊ジュニア、あるいは今の若者。都会で正規労働の職場が見つからない人達も含めて、いかにふるさとで活躍してもらうのか。都会の人に地域に定着してもらうには、働く内容がどれだけ新しい雇用を地域に作れるのかがポイントです」

2013-03-08 14:54:40