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マルドゥック公式アカウント記念に「小説下書ツイート」を投下します。どれがどの作品のラフスケッチかは八種タグもといハッシュタグとかで推測してみよう!冲方丁拝 #ubukata
2010-11-04 20:30:51虎が泣いていた。悲しくて泣くのではなかった。「紋太夫。大儀なり」光國は囁くと、膝下に捕らえた家老たる男のぼんのくぼを、ぶつりと脇差しで刺した。かつて旗本どもと騒ぎ、半端に殺し損ねた浮浪者に、通りがかった宮本武蔵とかいう老人が見事に施したとどめと同じ手際であった。 #ubukata
2010-11-04 21:48:48《克服あれ》脳裏にまた声――ああ/急に理解/これはモリサンの声だ。棺――狙撃で死んだ青年/花に埋もれたモリサンのカタナ。花を捧げた乙の手が、棺からカタナを引き抜いた。弔問客が息をのむ。一度は拒んだ刃――また逃げたらモリサンの声が聞こえなくなる。#ubukata #spiegels
2010-11-04 21:50:34銃にターンして半月、ついに引き金が引かれた。最悪のタイミングで。銃口の向こうで、バロットが青ざめた。彼女も悟ったのだ。この男は、銃が俺であることを疑っている。道具に変身するネズミの存在を知っている。次の瞬間、男は俺を使ってバロットを撃った。 #ubukata #mardock
2010-11-04 21:51:50今あるアイディアは全部しゃべったって構わない。それよりもっと面白いものを書けばいい。と自分を追い込んでみる。 #ubukata #mardock
2010-11-04 22:13:11劇場公開直前、公式アカウント記念、「OPEN冲方」開催記念、と沢山の人が頑張っているのに、下書ツイートが三つだけというのは少ない気がした。大今さんだって動画OKしたし、二階堂さんだってすごいサイン本書いてるし。もっとやろう。 #ubukata #mardock
2010-11-04 22:18:03「余の右腕になれと申しておる」虎が吠えた。家臣たちは一様に顔面蒼白、震え上がった。だが、その清貧を絵に描いたような男は怯まず、むしろ烈火のごとき怒りをにじませて告げた。「お断り致します」それが佐々介三郎の返答だった。のちに漫遊譚で助さんの名で知られる男である。 #ubukata
2010-11-04 22:27:27「ごきげんよう、冬真さん」彼女の礼儀正しさ/丁寧な微笑/適度な距離――全てが、ぞっとするような確信を冬真にもたらす。彼女は記憶を/僕を忘れた――膝から力が抜ける/耐えて微笑み返す――彼女が去る。吹雪くんのメール=『諦めないで』――涙が流れた。 #ubukata #spiegels
2010-11-04 22:38:14「被害者は車のトランクに押し込められ、放置されて死んだ」ウフコックが言った。アシュレイは目をぱちくりさせて、言葉を喋るネズミを見つめた。それから長い間を置いて言った。「その男が、私の兄を殺した犯人だと言うのかね?」何一つ信じていない調子だった。 #ubukata #mardock
2010-11-04 22:39:22諸々記念の八種タグということで八種の下書ツイート投下完了。黙認して下さった担当さん、ありがとうございます。気づいていない担当さん、そのままで。僕にできることはこれしかないのです。さて執筆に戻ろう。 #ubukata
2010-11-04 22:43:26逃げたい/逃げられない/絶望的な炎――そして雛の頭のどこかで次々に閃く名案。一、死んだふりをして脱走する。二、シャーリーンに連絡する。三、敵に自分を信用させる何かをする。突然、虚無にひたる心が囁く/罪の恐怖に震える――今なら鳳を殺せるかも。 #ubukata #spiegels
2010-11-04 22:52:35「君は行け。僕らと違う大人になれ。そしてろくでもない全てから、あの子を、僕ら全員を連れ出すすべを与えろ」水無月――傲然。「寂しいよ」冬真――小声。「一つ教えてやる」水無月のひそひそ声。「僕も寂しい」冬真――すすり泣き。「嘘だ」「嘘じゃない」 #ubukata #spiegels
2010-11-04 22:53:16ハッシュタグ間違えた、ということで二つ修正&再投下。ものすごい連投本当すいません。失礼しました。冲方丁拝 #ubukata
2010-11-04 22:54:54時は流れて2013年、氏の誕生日に合わせて行われた『OPEN冲方』イベントの一ヵ月後
【WhiteDay御礼】214サミットイベントにお越し下さった皆様ありがとうございました。どうお返しすべきか悩みに悩みましたが、活字野郎ゆえ、現在執筆中のものの一部を投下させて頂きます。全力で完成品をお届けできるよう頑張ります。冲方 #ubukata_summit
2013-03-14 22:44:49【WD】総士M「二十二世紀は、人類にとって戦いの時代となった」爆煙が立ちこめる上空を乱れ飛ぶフェストゥム(シーモータル型など)。総士M「遠い宇宙から来た、未知の存在、フェストゥム」
2013-03-14 22:53:43【WD】総士M「対フェストゥム専用、思考制御・体感操縦式、有人兵器ファフナー。選ばれた者にしか動かせない、僕らの切り札」 #ubukata_summit
2013-03-14 23:03:28【WD】異様な轟き――少女の電子の夢に覆われた意識ではない/驚くべきものの到来――しゅっ、しゅっ、しゅっ、ぼーっ!――圧縮された蒸気が奏でる強烈な音/レール上を驀進する鋼鉄/全都市の電子機器が支配されたにもかかわらず独立したエネルギーで巨大な荷を/長距離移動を成立――鋼鉄の列。
2013-03-14 23:17:16【WD】先頭――黒髪の少女/傷だらけ/アザだらけ/こっぴどく殴られたような顔/敢然とした笑み。わずかに戻る現実感――電子のイバラに捕らわれ眠れる少女の心/イバラを切り裂く黒髪の少女の進撃――急激/届く/少女の意識に/耳に――目に映る。はっきり/この上なく。「よう、あたくし様」
2013-03-14 23:33:26【WD】(わたしは中宮様の番人であるのだ。わたしにできる全てをもって、お見守りするのだ)言葉にするといかにも平凡ですが、とにかくわたしはこのような強い思いを、真実、抱いたのです。他のどんな女房にも負けないくらい強く。胸が熱くなるような誇りとともに。(今もこの先もずっと……)
2013-03-14 23:43:43「香炉峰の雪は、いかがかしら?」中宮様が続けて口にされた問いかけに、胸中に火を熾(おこ)されたような思いを味わったのです。 (このために、たびたびわたしを招き、格子を下げたままにしていたのか――)ようやくわたしは、中宮様のお心を理解しました。
2013-03-14 23:58:41【WD】「エンハンサーとして登録されることになるね」意気揚々と告げるドクター。「強化された人間――つまりエンハンスメント処置を受けた人間さ。チームメイト全員で合法的にドーピングしたフットボール選手とか。指と指の間を手術して動く範囲を拡張したピアニストみたいに」
2013-03-15 00:08:13【WD】「彼を知っていたから協力したわけじゃないんだろう?」何気ない質問。だが彼女はとことん本気で答えてくれる。今も昔も変わらない彼女の流儀。《わからない。笑顔さえ覚えればスターになれるって言ってくれた人は何人もいた。でも、笑顔になる方法を教えてくれたのは、あなただけだった》
2013-03-15 00:20:21