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山本七平botまとめ/孟子が説いた平等社会の「管理システム」

山本七平著『論語の読み方』/第七章「上達」――人望を得るための条件――社会のリーダーとして信用される人物像とは/「神農思想」は古代中国からの伝統/240頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei
①【「神農(しんのう)思想」は古代中国からの伝続】「全員が平等に耕作し、平等に生活すべきである」という考え方は、古くから中国にあった。<『論語の読み方』
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②徳川時代の日本にも、士農工商などという階級はあるべきでなく、全員平等に耕作すべきであると説いた思想家がおり、戦後それが「民主主義」とされて、西欧と断絶した日本に、なぜこの思想があったかと不思議がったり、再評価したりした″進歩的学者″がいたが、(続
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③続>それはその人が『孟子』を読んだことがなく、司馬遷が「農家者(のうかしゃ)流」といった「神農(しんのう)思想」が、古くから中国にあったことを知らなかったことの証明にすぎない。
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④全員が平等に耕作をして平等の生活をするというのは、少々キブツ的な発想だが、それについて記されている部分を『孟子』…から…紹介しよう。 「はじめて農具をつくり、民に農業を教えたとされる古代の帝王神農(しんのう)氏の教えを奉ずるとする許行(きょこう)という者がいた。
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⑤「…そして陳相(ちんしょう)は許行に会い、その説に大いによろこび、儒学を捨てて神農氏流の教えを学んだ。 この陳相が孟子に会い、許行の説を述べて言った。
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⑥『滕(とう)の文公はまことに賢君ですが、本当の古代の聖王の道は開いておられない。 真の賢者は民と並び耕し、自ら炊事をして人民を治めていくものです。 ところが、今では…租税を取って民を苦しめて、自分を養っているという事です。 どうしてこれが真の賢者と言えましょうか』と」
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⑨『四書』(大学・中庸・論語・孟子)は徳川時代の日本人の聖書であり、渋沢栄一の父のように農民までこれを読んでいたから、以上のような考え方が深く日本人に浸透して不思議でない。 そしてこのような「浸透した思想」は、ある時代の「表面的な指導的思想」が急に消えたとき表面に出てくる。
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⑩たとえば戦後だが、はじめての知事公選のときに当選した農民出身のある知事は、牛を曳いた姿で新聞写真に登場し、耕しつつ県民とともに政治をすると言い、それが「民主主義の模範」として大喝采を受けている。 しかし、それは(註:孟子ではなく)むしろ許行の思想であろう。
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⑪確かに、全員ことごとく農民となれば、支配者もなくなり兵隊もなくなり、戦争も税金もなくなるから、みなが幸福になれるといった発想は、常に日本にも潜在してきた。
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⑫これに対して孟子は、まず「許子(きょし)は必ず粟を種(う)えて後に食するか(必ず自分で穀物を作って、しかる後にそれを食べるのか)」にはじまる質問をする。
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⑬【孟子が説いた平等社会の「管理システム」】確かに自耕自食なのだが、衣・冠となるとそうはいかず、炊事道具もそうはいかず、鉄の農具はもちろんそうはいかない。 みな自分が作った作物と交換しているという。
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⑭そこで孟子は、何でも自給自足するのが最高だというなら、「…なぜ、わずらわしい交易などを陶工や鍛冶屋と行なうのか」と言うと、陳相は「…工人の仕事は耕しつつ、かつ片手間でやれるようなものではないから」と言う。
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⑮すると孟子は「では、天下を治めるということだけが、ただ一つ、一方で耕作しつつ、かつ片手間にできることだと言うのか」と反論する。 各人は百工の作ったものを用いているが、いまもし、それらをすべて自耕自食のように自作自用にするなら「…天下の人びとがすべて疲れ果ててしまう」。
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⑯政治も同じで、古語にも「或(ある)いは心を労し、或いは力を労す」とある。 そして「心を労する者は人を治め、力を労する者は人に治めらる。 人に治めらるる者は人を食(やしな)い、人を治むる者は人に食(やしな)わるるは、天下の通義なり」という。
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⑰前にキブツで『孟子』を連想すると言ったのは、まさにこの点であり、この平等社会では「心を労する管理職が人を治め、力を労する作業員は管理職に治められている。 そして作業員は管理職を養い、管理職は作業員に養われている」。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑱まさにこれは、私有財産も貨幣もない平等社会、おそらく人類が現出した最も平等な社会における現実であり、このことだけは、まさに『孟子』のいう「天下の通義」だと思わざるを得ないのである。

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