【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城 2013「民の矜持」

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

【スワローズ妄想劇場】戦国絵巻燕の城2013「民の矜持」 #swamou #swallows

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【戦国絵巻燕の城2013】『民の矜持』南青山城の軍勢が城を出てから１週間。それはそれは酷い有様だった。いや、今年に入ってからというもの、主力として期待していた武将がことごとく負傷するなど、その前から酷い有様だったのだが。 #swamou

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「やっと…着いたか」国境の峠を越え南青山城を目にした小川公は溜息を洩らした。「ええ。やっと。」家老の荒木も同じような疲れた声で応えた。後ろを振り返る。生き残った武将や兵がよろめくように続いている。その数は春の馬揃え時の7割程度しかいない。 #swamou

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本来、軍隊において「全滅」と言う言葉は兵士が全員戦死する事を意味していない。組織的な戦闘が不能になった状態を指す。大体、2割が戦死した時点で士気の面で崩壊し戦闘不能に陥ると言われている。そういった面では南青山の軍勢は全滅以上の損害であった。 #swamou

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「とりあえず城に篭りましょう。直ぐに奴等が」荒木は先程物見から受けた『西国の軍勢が接近中』との報告を気にしていた。「それしかないか」小川公がそう言いかけた時、領地の端の田畑に人影があった。一人や二人ではない。春先とまでは言わないが沢山の民が田畑を耕していた。 #swamou

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「おい、直ぐに敵の軍勢がやって来る。早く帰れ！」と畠山が駆け寄り民に声をかける。民は「でも、耕さなければ収穫出来ないですよ。」と不思議そうに言った。「敵が来たらどうせ荒らされるんだ。後にすれば良いだろ？」と民を説得し避難させようとする。 #swamou

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「でもね、お侍さん達が帰ってきて、あの国境の峠を超えた時、この田畑が荒れ放題だったら寂しいじゃないですか。」周りを見渡しながら続ける。「お侍さん達は国の為、私らの為に戦ってる。それがお侍さんの矜持なら、みんなが帰って来る限り耕し続けるのがわしらの矜持じゃ。」 #swamou

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畠山は困った様に「しかし…」と言った時、背後に気配を感じた。そこには小川公を中心に武将達が立っていた。小川公が前を見据えたまま「荒木、良いな？」と言う。荒木が無言で深く頷く。小川公が馬上から降り民に深々と礼をする。民は慌てたように跪いた。武将達の方へ向き直る。 #swamou

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「我々は故郷へ帰ってきた！そして民の守るこの地を守らねばならん。城へは戻らずここに陣を張り敵を迎え撃つ。一歩たりとも故郷に入れるな。皆の者、抜かるな！戦いはこれからだ！」武将達の鬨の声が響き渡る。この後１週間に渡って繰り広げられる「南青山攻防戦」の開始である(完) #swamou