仮面ライダーW Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー 『チャプター7・Oの告白/始まりの場所で(追加加筆版)』

http://www.pixiv.net/series.php?id=98978 pixivにて掲載している仮面ライダーWの二次創作物です。pixiv掲載版にはなかった加筆部分がございます。 前回:http://togetter.com/li/489795 次回:http://togetter.com/li/499844
0
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

『Oの告白/始まりの場所で』終わり『後編・Oの告白/奴の名は――』に続く #WR

2013-04-22 21:56:02

以下、twitter掲載版用に加筆した部分になります。

イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

それでは、再開します。『後編・Oの告白/奴の名は――』#WR

2013-04-22 22:35:42
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 部屋中に金網が張られ、物言わぬ物々しい機械が数多く置かれたこの場所で、黒いフェルト帽に黒いコートの男は、『六本角の紋章』が描かれたメモリを握り、一人で佇《たたず》んでいる。1 #WR

2013-04-22 22:35:59
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「――半熟に帽子はまだ早ぇ。帽子ってのは、男の目元の冷たさと、その奥の優しさを隠すために被る物……、か。今の俺は……どうなんだろうな」  ――似合わないに決まってんだろ。少なくとも、手前ェみたいなのにはな。2 #WR

2013-04-22 22:37:01
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 仮面ライダージョーカー……、左翔太郎は離れた場所から彼の姿を見て、怒りに満ちた顔で唇を噛み締める。  彼の考えを見透かしているのか、男は楽しげな口振りで「やるねえ」と手を叩いた。3 #WR

2013-04-22 22:38:09
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「倉田やマルはともかく、真理奈まで仕留めるとは。正直、お前がここまで来るのは計算外だった。褒めてやるよ、そのドブネズミみたいな生命力を」  彼の人を食ったような態度や言葉に、どうしようもない苛立ちを覚えた翔太郎は、意を決して口を開く。4 #WR

2013-04-22 22:41:43
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「俺に恨みを持つ奴らだけを選んで、脱獄させてメモリを与え、自由を与えると嘯《うそぶ》いて、負ければ死ぬことは教えなかった。そいつらを風都に解き放つことで、街を守ろうとする俺を誘き寄せる……」5 #WR

2013-04-22 22:42:51
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「その裏で密かに真理奈を刑務所から逃がし、あいつの心に怒りと恐怖を植えつけ、俺を襲わせた。真理奈が他の奴らより、ひと際危険な状態にあることを知っていながら。……全部、俺を殺すためにやったこと、なんだな」6 #WR

2013-04-22 22:43:06
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「そうさ。だったら何だ?」男は悪びれることなく首を縦に振る。 「その為に街が犠牲になろうが、どうでもいいってのか」 「愚問だな。この街に救う価値などない。くだらないこと言うなよ、時間の無駄だ」7 #WR

2013-04-22 22:44:09
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 何故か。どうしてなのか。男の言葉に翔太郎は、手をついて肩を落とし、力無く床に膝をつく。  男はそんな翔太郎を嘲笑い、鼻で笑って言葉を続ける。 「つまらない男だな、えェ? それでよく街を護る仮面ライダーが務まってるもんだ。情けねェ」8 #WR

2013-04-22 22:45:29
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 ――[アギト!][AGITO!]  フェルト帽の男は腰に巻いたベルト――、古ぼけて黒ずんだ「ロストドライバー」に、弄っていた黄色のメモリを挿し込む。  目映い光に包まれた男は、ライダーとも、ドーパントともつかない怪物へと姿を変えていた。9 #WR

2013-04-22 22:46:58
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 真っ赤な複眼に六本角――、いや右側上部が欠けているから五本角か。鮫のような鋭利な歯にくすんだ金の鎧。手の甲には如何ともし難い奇妙な紋様が刻まれている。これまで見てきたどのドーパントよりも細身で締まった体つきだ。10 #WR

2013-04-22 22:48:09
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「ベルトで変身している訳だから、疑似・仮面ライダーアギトってとこか……、お前の実力を試してやるぜ、かかって来い」11 #WR

2013-04-22 22:48:48
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「ふざけんな……。仮面ライダーを、手前ェなんかが! 名乗るんじゃねぇぇッ!」  ジョーカーは一気に相手の懐に潜り込み、左フックをアギトの鼻先に叩き込むが、アギトは左手の甲で軽く払い除けると、自身の右拳をジョーカーの鳩尾に打ち込んだ。12 #WR

2013-04-22 22:49:22
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「ぐ……おォ!」 「おいおい、何へばってんだ。これからが本番だぜ」  よろめいてたたらを踏むジョーカー目掛け、槍のような左横蹴りを叩き込むアギト。未だ消化し切らない風麺特盛が喉元に込み上げ、不快な胃酸が口の中に充満する。13 #WR

2013-04-22 22:50:45
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 仰け反って、思わず頭から倒れてしまいそうになるが、背筋に力を込めて踏ん張り、エビ反りの状態から体勢を立て直す。敵は既に懐まで迫って来ている。ジョーカーは慌てて構えを取り、アギトの追撃に備えた。14 #WR

2013-04-22 22:52:08
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 アギトの左拳が右頬に向けて放たれた。ジョーカーは右腕でそれを凌ぎ、左拳をショートアッパー気味に叩き込む。胸部への直撃でアギトの体が数センチほど宙に浮いた。  今度はアギトがよろける番だ。彼はすぐに体勢を立て直すと、側転で追撃を躱し、ジョーカーの右側に回り込む。15 #WR

2013-04-22 22:53:40
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 アギトは瞬時に摺り足で間合いに入り、素早い裏拳を放つ。対応して防御しようとするが時遅く、裏拳はジョーカーのガードをすり抜けて打ち込まれ、こめかみに稲妻のような痛みが走る。16 #WR

2013-04-22 22:55:21
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 撞木で鐘を叩いたかのような反響が頭の中を覆い尽くし、マトモに立っていることすらままならないジョーカー。アギトは助走をつけたドロップキックで彼を壁まで吹き飛ばす。  背中を打たれ、全身が痺れて動けない。アギトは悠々と歩いて近付き、彼の胸倉を掴み、そのまま持ち上げた。17 #WR

2013-04-22 22:57:00
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「なんだいなんだい。お前、それでも仮面ライダーなのか? あァ?」  ジョーカーを再び壁に押し付け、両拳の連撃を見舞うアギト。乗用車をも凹ます拳の衝撃が五臓六腑に染み渡る。このまま喰らい続ければ間違いなく命は無い。18 #WR

2013-04-22 22:58:40
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 何とかしようと手を伸ばすジョーカーだが、この破壊的圧力の前では拳を握ることすら叶わない。次第に反抗する気も失せ、伸ばした手も力なく垂れ下がった。  抵抗の意思が無くなったためか、アギトは再び彼の胸倉を掴み、ぐいと引き上げる。19 #WR

2013-04-22 22:59:41
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

「他愛の無ェ野郎だ。興醒めだよ。とっととあの世に逝っちまいな」 「そうは行かねえ。相棒と……フィリップと約束したんだよ。俺一人になったって、街を悪党の手にゃあ渡さないってな」 「この状況でよくそんなことが言えるな。お前に打てる手は何も無いんだぜ?」 「そうでもないさ」20 #WR

2013-04-22 23:00:56
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 拳の雨が止んだ隙を突き、ジョーカーは左手でアギトのベルトに収められた金色のメモリを掴む。そのまま取り外して変身を解除させるつもりなのか? 否、そうではない。彼の手はベルトだけでなく、バックルの根本部分まで握っているではないか。21 #WR

2013-04-22 23:04:45
イマジンカイザー(二次創作投稿用) @i_m_z4643

 ――[ジョーカー][マキシマムドライブ]  同時に右手で腰のスロットを叩き、マキシマムドライブを発動させる。ジョーカーはアギトの連撃を喰らい続ける中、気取られぬようにバックルのメモリをスロットに差し替えていたのだ。22 #WR

2013-04-22 23:05:35